良く分かるアコースティックギターの録音
バンドではなく、ソロで音楽活動をされている方も多いと思います。
今回はシンガーソングライターやソロアーティストなど、弾き語りミュージシャンのレコーディングで気をつけるべきことをわかりやすくまとめました。
主に、アコースティックギター、ピアノについてです。
もくじ
音楽に必要な三要素
ソロ編成はどうしてもバンド編成より「音の数」「音の情報」が少なくなります。
ます理解したいのが、音の三要素の
- 音の大きさ
- 音の高さ
- 音色
昔、音楽の授業で習ってて思い出した方もいらっしゃると思います。
普段聴いている音のこれらの情報の組み合わせで成り立っており、時間とともに、どう変化したかによって、聴こえてくる音の性質(特性)が決まります。
次に音楽の三要素です。
- メロディ(旋律)
- ハーモニー(和声)
- リズム(律動)
であると言われています。
これらは楽器パート事に置き換えれます。 バンド編成で分かりやすくざっくり分けると メロディ=ボーカル、ハーモニー=ギター、コーラス、リズム=ベース、ドラムとなります。
オーケストラなどを思い浮かべてもらうとそれぞれの役割があることがあります。
その役割を楽器一つでカバーできるのが、ピアノ、アコースティックギターです。
ピアノは「楽器の王様」と呼ばれ、元々は「一人でオーケストラを再現」する目的で作られた楽器です。
アコースティックギターもそれが進化した形で同様です。
楽器の調律が大事
グラウンドピアノやアコースティックピアノなどの生ピアノの場合は、調律が必要になってきます。
調律師に依頼することが多く、必ず演奏する前の時間帯、静かな場所で行わないといけません。
時間は定期的に調律をされているピアノでも平均2時間~3時間程度の時間がかかります。
アコースティックギターは奏者がその場でチューニングできる楽器ですが、 ただオクターブチューニングなどの細かい調整は、パーツ自体を調整しないといけない場合もあり、楽器店などに依頼することになります。
「録り音」が命
楽器や音数が少ない分、可能な限り多くの音の情報をレコーディングしなければなりません。
よく「太い音で倍音を収音する」と言われますが、このことを指します。
そしてその楽器が鳴ってる音を最大限に生かすためには、楽器の「音の出口」とレコーディング時レコーダーへの「音の入り口」が大切になってきます。
エレクトリックピアノやプリアンプやピエゾピックアップが内蔵されたアコースティックギターでは、ケーブルもしっかりしたものを選びましょう。
マイクで収音する場合は、レコーディングエンジニアと相談しながらマイクをセレクトし、様々なマイキングを試し音を追い込んでいきます。 マイクプリアンプやDIを選べる環境の場合は可能な限り試してみましょう。
レコーディングする曲や最終仕上がりのイメージにぴったりなレコーディング環境を作るところからのスタートです。
レコーディングは短時間集中型
バンドでのレコーディングは、メンバーにバトンタッチしながら進められますが、ソロの場合だとレコーディング時〜編集、ミックスに至るまでの作業にすべて一人で関わらないといけないので、大変な労力がかかります。
その中で集中力の維持も必要になってきますが、作業工程の一つ一つを大切にするには可能な限り少ないテイクでOKテイクを出さないといけません。
レコーディング当日スムーズに進めていけるようにするためにも、普段からの練習や訓練が大切になってきます。
セルフでレコーディングする労力はもったいない
現在は、自宅でレコーディングできるDAW環境も整いやすい時代ですが、セルフでレコーディングする労力は計り知れないと思います。
肝心な「練習時間」「作曲時間」を削ってしまっては本末転倒です。
本格的な音源を目指す場合においては、レコーディングエンジニアと協力し合い作業を進めていくことをオススメします。
わたくしの感覚では、「音楽の三要素」はミュージシャンが表現し、「音の三要素」はエンジニアが追求するものだと思っています。
この役割分担こそがいい音源への一番の近道なのは忘れてはなりません。
音がいいと長く聴いてもらいやすい
レコーディングで出来上がった音源は、様々な環境で聴かれます。
特にアコースティックな音源を聴いてもらえるシチュエーションは少なくないはず。
レコーディングをきっかけに技術も向上する
何度も自分の音を聴いて、練習したりレコーディングすると自然に演奏技術は向上します。
あとは客観的に自分の演奏をたくさん聴いてもらうこともできます。
1曲通しでレコーディングできるように
弾き語りでのレコーディングでは、基本的に歌と楽器の両方を同時に録音することも珍しくないです。
そのほうが、ライブなどでいつも演奏してるように「楽器」と「歌」の呼吸が合いやすいです。
もちろんクリックをガイドに、それぞれのパートを録音する場合もありますが、「楽器」「歌」とレコーディングの時間は単純計算で倍になります。
同時録音に比べて録り直しの時間、編集の時間が倍になり結果労力をかけることになるので、集中力が問われます。 その変わりに別で録音したほうが、それぞれのマイクに被り込みが少ないので音の純度は上がります。
どちらにせよレコーディングがスムーズにゆくためにはやはり技術的な事も関係してきます。
無音部分もレコーディングしよう
音楽には「休符」というのが存在します。 音を伸ばしたり、ブレイクする箇所の空気感もレコーディングするような意識で取り組みましょう。
レコーディング時は「服のこすれる音」や「人の息の音」までもがマイクに収音します。
体全体が楽器になっているので、「息継ぎ」の音にもリズムが必要です。
そのためには極力ハイエンドなレコーディング環境でノイズなどもなくした環境が理想です。
録音対象がダイナミクスの大きなものという理解をする
ダイナミクス=音の強弱、小さい音から大きい音の差。 ピアノやアコースティックギターなどの弾き語りはダイナミクスが非常に豊かです。
例えば「ここの一言の歌詞だけ聴き取れない」「ここが強調されて聴こえる」など自分の曲のどの部分がどのように聴こえてるかを理解し、レコーディングします。
レコーディング中のチューニングは徹底的に
可能な限りテイク事にチューニングを行います。
もちろんチューナーは忘れずもっていくようにしましょう。
予備弦、メンテナンスセットは持って行く(アコースティックギターの場合)
これも意外と忘れがちなことなので上げます。 レコーディング当日に「弦が切れた」なんてことがあった場合、即座に対応しなければなりません。
メンテナンスセット(ニッパー、ドライバーなど)はいざと言うとき便利です。 いつも使い慣れてるピックの予備も必要です。
マイク録音
ギターにマイク近づけて録音することを「オン・マイク」といいます。
アコギ特有の繊細なフィンガリング、ピッキング音までをよりリアルに集音できます。
「オフ・マイク」というのは音源から近くにマイクを置く「オン・マイク」に対して、音源から距離をおいてマイクを置くことをいいます。
クリアな音やアタックのしっかりした音をとることは難しいのですが、部屋の反射音を利用したリバーブ音などを録りたい時などに使うセッティング方法です。「アンビエンスマイク」とも言います。
コンデンサーマイクを使用するのが基本的ですが、強いストロークやパワーコードを多用する場合はダイナミックマイクを使用するときもあります。
最後に
まだ慣れないうちは、レコーディングエンジニアの意見を聴きつつ演奏に集中するようにしましょう。
回数を重ねてるうちに、自然とレコーディング環境での「自分の音」がはっきり聴こえてくるようになります。
自分一人で演奏してるからこそ、自分の音楽の理解がより重要になってきます。
まだレコーディングにチャレンジしたことがない人は是非してみてください。
ライタープロフィール
スタジオラグ
中尾きんや
スタジオラグスタッフ
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Twitter:kin_kinya