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ライブ後の耳鳴りの正体!?音響外傷とは?

みなさんライブには年に何回ぐらい行かれるでしょうか?

年1回ぐらい?それとも10回以上でしょうか?

ここ10数年でフェスなど大型のライブも増える一方で、50人ほどのキャパシティのライブハウスには手軽に行ける環境にあり、1シーズンに複数のライブに行く方もおられるでしょう。

そういう方々から時々ライブ後の耳鳴りで相談されることがあります。

同じように、ライブが終わった後に1〜2日ほど耳鳴りに悩まされたことのある方は多いのではないでしょうか?

放っておけば耳鳴りが治まるので、あまり気にしないという人も多いかもしれません。

しかしこの耳鳴り、実は体に大きな傷を与えている証拠なのです。

今回はライブで起こる耳鳴りを医師の視点から徹底的に解説していきます。

耳鳴りとは

みなさんが普段の生活で時々経験する耳鳴りと、ライブ後に起こる耳鳴りはどのように違うのでしょうか?

まず普段経験する耳鳴りについて説明します。

これは他人に聞こえるものではなく、日常のふとした時に気づくもので、「自覚的耳鳴り」とも呼ばれます。

この自覚的耳鳴りはもちろん病的なものではなく、数秒から数十秒程度だけ続くもので、大半の方に起こる正常なものと考えられています。

次にライブ後に起こる耳鳴りです。

これは鼓膜が耐えられる音量を超えて、長時間大音量にさらされた場合に起こるもので、医学的には「音響外傷」と呼ばれます。

まさに音によるケガと言っても過言ではありません。

ヘッドホンやイヤホンを付けて長時間大音量で音楽を聴くことも、狭い空間で生じる「音響外傷」と言えます。

「音響外傷」は危険?

音響外傷について詳しく掘り下げる前に、先に音の伝わり方と耳の機能をお伝えいたします。

ここから専門的な名前がいくつか出てきますが、こんな名前があるんだなと割り切って知っていただければ幸いです。

音の伝わり方

外耳道→鼓膜→ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨→蝸牛→蝸牛神経

これらの経路を通って音が脳へ伝わっていきます。

耳の構造図

http://medical.i-illust.com/picsdb

各器官の働き

  • 外耳道:外から入ってきた音を伝える管として働く
  • 鼓膜:外耳道から入ってきた音を拾うマイクとして働く
  • ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨:名前の通り3つの骨が組み合わさった器官で、鼓膜が拾った音を伝導する
    また、鼓膜の張りを調整する働きもある
  • 蝸牛:カタツムリ状の器官で、音を増幅して大きくする
    ホルンやチューバなどの楽器も同じ構造で音を増幅している
  • 蝸牛神経:蝸牛で増幅された音を脳に伝える

各器官では以上のような働きがあります。

音響外傷の危険性 ~耳の構造と働きをふまえて~

小難しい話はもうすぐ終わりです。

音響外傷の危険性について説明します。

音響外傷の原因は、「蝸牛神経の障害」とされており、蝸牛神経の炎症が続くことで耳鳴りを引き起こします。

では蝸牛神経に異常があるとどうして危険なのでしょうか?

理由は、一度障害が起こってしまうと治らないとされているためです。

そのため、何度も大音量にさらされ続けている方は可聴音域も狭くなってしまうこともあるのです。

せっかくライブを楽しみに行ったのに、音が聞こえなくなってしまうのでは本末転倒です。

音響外傷の対策 ~音響外傷にならないために~

スピーカー

ライブ会場で音響外傷にならない方法に絞ってお教えします。

まず、スピーカーの近くに居続けないこと

スピーカーの近くは音量がもっとも大きい場所のひとつであり、音源から離れることが大事です。

次にイヤープラグ(耳栓)を使うこと

イヤープラグを使うことで耳に入ってくる音量を下げると同時に、耳に刺さりやすい高音域もカットできます。

お客さんからPAさんに音量を下げてくれとは言えませんし、自分から耳を直接守る手段としてはイヤープラグが最適でしょう。

購入を考える場合の注意点として市販の安価なものでも構いませんが、ここはやはり音楽用のイヤープラグをオススメします。

音楽用のイヤープラグは、音を聴くことに適した設計がされており、ものによってはドラマー向け・ボーカリスト向けなどさまざまな種類のイヤープラグを出しているメーカーもあります。

筆者もライブを見に行くときや、バンド練習の際にイヤープラグを着用しており、ETYMOTIC RESEARCHのER-20を愛用しています。

ETYMOTIC RESEARCHイヤープラグ

特徴としては、3連のイヤピースが耳にフィットし、音量を下げてくれるだけでなく、ピッキングハーモニクスなどの高音域を抑えてくれます。

その他さまざまなメーカーがありますが1500~3000円程度の金額なので、耳の大きさなどを考えて自分に合うイヤープラグを1つ持っておいてはいかがでしょうか?

音響外傷になってしまったときは

とにかく耳を休める、これに限ります。

音響外傷になってしまった場合、鼓膜の状態も一時的に不安定になっているため、短時間であったとしても音楽を大音量で聴くことは必ず避けてください。

そして、数日~1週間程度耳を休めても耳鳴りが続くようであれば病院にいくことをオススメします。

1週間たっても症状が治まらない場合は、音響外傷以外にも別の原因があるかもしれませんので、近くの医院や病院でしっかり診てもらいましょう。

最後に

音楽を長く楽しむためにも、普段から音量はほどほどに、ライブ会場でもスピーカーに近づかない、近くなってしまったときは必ず耳栓を装着するよう気をつけてください。

これらを守って、よりよい音楽生活をエンジョイしましょう。

プロフィール

内科医・8弦ギタリスト

Dr.みけ

8弦ギタリストのお医者さん。

関西の医科大学卒業後、小児から成人まで幅広く診療する内科医であり、バンド活動など音楽に携わりながら医師として働いています。

6歳からピアノ、12歳からギターを始め、15歳からバンド活動を続けています。

機材の修理やPAも趣味で行っています。

音楽関係の医療ネタが主ですが、機材オタクなので機材レビューも時々してみたいと思います。

中学の頃からプログレ・メタル・HRなどのジャンルに傾倒し、気が付けば8弦ギターを手にしていました。

時々ポップスの曲などで、アコースティックギターやクラシックギターを弾いたりもします。

年5〜8回ぐらいライブ鑑賞、ギタリストとしてのライブは年数回程度。

演奏動画もときどき投稿してます。

「音楽が好きな方のために、音楽のある生活をより豊かにしていく」を目標に、身近な医療の疑問を正しく知ってもらいたいと思います。

音楽のある生活を健康にエンジョイしましょう!

Twitter:mikemike68gt

YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UC7b-yO0dTqzhzATdvb8Hc-A

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