ドップラー効果・カクテルパーティー効果・音の不思議あれこれ
日常で何気なく聴いている音にも、様々な効果を利用したものがたくさんあります。
音の効果・現象についてご紹介します。
ライブ会場設営やBGMを制作する際にも応用できると思うので、ぜひ参考にしてみてください。
普段の生活の中で応用されている音の効果の数々
ドップラー効果
音が近づくときと、遠ざかるときに音の高さが(周波数)が違って聴こえる現象のことです。
- 音が近づくとき→波長が短くなり高く聴こえる
- 音が遠ざかるとき→波長が長くなり実際より低く聴こえる
例:救急車が通りすぎるときに音程が変わったように聴こえる
カクテルパーティー効果
色々な雑音の中でも必要な情報を聞き分ける事ができる、マイクではできない人間の耳にしかない現象のことです。
例:パーティーに参加しているときに周囲が騒がしくても、自分の名前や知人の声を聞き分けられる
例えばお祭りなど混雑した場所で遠くから自分の名前を呼ぶ声が聞こえた気がして振り返ると友人が自分を呼んでいたなどの経験はありませんか?
周りの音がうるさくて近くで会話するのがやっとの状況で遠くからでも自分に関連することは聞こえることがあります。
カクテルパーティー効果はこのように自分に関係する情報に対しては注意を向け自分に関係ない情報は無視するという現象です。
遠くに離れてるから聞こえないだろうと悪口をヒソヒソ話で言っていても意外と相手に聞こえていたりするものです。
マスキング効果
2つの音が鳴っている時、片方の音にもう一方の音がかき消されて聞き取りにくくなる現象です。
例1:テレビを見ているとき、近くで電車が通ると音で聞こえにくくなる
例2:ライブハウスなどの大音量の場では、人の話声が聞こえなくなる
例3:トイレの音姫
ハース効果
複数のスピーカーから同一信号を出した場合、最初に耳に到達した音が出ているスピーカーからすべての音が出ているように聞こえる現象です。
大きなホールでは、客席の前と後ろでは音に時間差ができます。
この時間差を解消するために客席の後ろに行くに従ってスピーカーから出す音を遅延させることによって、その時間差を補正することができます。
また、左右のスピーカーのいずれかの信号を遅延させると、同じ音量でありながら遅延させていない方のスピーカーから音が聞こえているように感じます。
これを「ハース効果」と言いますが、この効果を利用すると、各スピーカーの音量を変化させずに音像の定位を操作することができます。
これは「お客さんすべてにまんべんなく音を提供する」というPAにとっては便利な効果です。
近接効果
マイクに音源が近づくと低域が強調され、明瞭度が下がってしまう現象です。
SM58のような「ボーカル用マイク」は、口元にマイクを持ってきて近接効果が加わったときにベストな周波数特性になるよう設計されています。
共振効果
ある特定の周波数でよく振動する現象です。
例:飛行機が低空で飛んだときエンジン音で窓ガラスが鳴り出す
吸音
空間の音圧レベルを下げるために音のエネルギーを材料などに吸収させる現象のことです。
例:布団、森林など
最後に
音楽は無意識の領域に働きかけることができます。
音=空気の振動です。
音をうまくコントロールすることで、聞こえ方も変わるかもしれません。
普段から何気なく鳴っている音に1度耳を傾けてみてはどうでしょうか。
ライタープロフィール
スタジオラグ
中尾きんや
スタジオラグスタッフ
ウェブサイト:https://www.studiorag.com
Twitter:kin_kinya