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ピアノの先生がBABYMETALを調性で分析。BABYMETAL DEATH、メギツネ他

ここでは、BABYMETALの楽曲を「調性」で分析し解説していきます。

作曲などのヒントなどになれば幸いです。

メギツネ

夏祭り – Whiteberry

ギミチョコ!!

Eのパワーコード、またはホ短調(悲歓、悲痛、不安。早い曲では激烈なものとなる)♯1つ
ホ長調輝かしく、温和で喜ばしい。高貴の調)♯4つ

前奏で、Eからその下の7弦で用いる音域の音があります。

最低音がEではないことから、Eの軽さは失われ、ダークな仕立てとなっています。

歌に入る前からは、ベースラインがE-Fをくりかえしています。

Fがでてくるので、ホ短調ということはできませんが(ホ短調だとF♯)、ホ短調の性質をも含んでいますね。

狂った世界観は、調にも表れているということでしょうか。

パワーコードだけで曲を支配すると、BABYMETALではなくなります。

サビ部分でホ長調になることで、BABYMETAL特有のキラキラした感じが出てきますよね。

しかし演奏はEのまま進んでいきます。

第3音であるC♯がサビで出てくることで、演奏もホ長調になっていますが、基本的にパワーコードです。

METAL感を含んだまま、BABYMETALを表現した1曲です。

たぶん、ホ長調になったことが画期的だったのでしょう。

また、「BABYMETAL DEATH」「メギツネ」が♭系の調なのに対し、この曲は♯4つという、かけ離れた調への驚きもあります。

Eのパワーコードを持ってくることで、違和感なくギミチョコ!!に入れます。

いいね!

嬰ハ短調(最も陰暗な調の一つ。残忍、皮肉、悲愴、不気味)♯4つ
ト長調若人の調、誠意、冥想、優美。静かな田園的な風情。春の調ともいう)♯1つ

ギミチョコ!!と同じ♯4つの調です。

この流れはとても自然です。

しかし何と!サビのところで、いきなりト長調への転調が起こります。

突然さわやかになりました。健全な感じもします。

ト長調といえば、私は「青空」を連想します。

ダークな世界は「」を連想させます。

思いっきりBABYMTAL寄りにぐっと引き寄せたのですね。

親しみが起こるのはこのせいかと思います。

嬰ハ短調でメタルを表現したんです。

そして、実はサビの前で同じ♯4つのホ長調に行くと見せかけています。

「一人きりで~」のところです。

ホ長調とはギミチョコ!!で一度出た調性です。

しかし、まさか、ト長調に行くとはだれも思いません。

期待を裏切り、(あえて予感的なものといえば、サビに入る二つ前のコード「A minor」である)その三度上のト長調に行くという、驚きの展開を、サビで行なっています。

サビが終わると、もとの嬰ハ短調へすぐに戻ります。

これだけ思い切ってト長調に入り、すぐ何だったのだろうというような感じですぐに戻られてしまうと、
またト長調のサビが来ることを期待せざるを得ません。

メタルとアイドルの融合をテーマにしたように思います。

紅月-アカツキ-

嬰ヘ短調暗く神秘的、妖怪的、同じに情熱的)♯3つ

su-metalのキャラクターをどのように作っていくか、と考えて、この嬰へ短調という調を選んだのだろう、と思います。

同じ♯調のロ短調♯2では、少し「か弱い」感じ、嬰ハ短調♯4だと、強い感じ、男性的。メタルそのものの感じすらします。

嬰ト短調♯5は、美しい。

これもいいんだけど、歌の音域が高くなりそう。

紅月はこの調でもいい感じがします。

高い音が問題なければですが。

この嬰ト短調という調の曲は、同じく♯5つのロ長調とともに、まだBABYMETALには使われていません。

少し大人っぽい曲が合うような感じがします。

次のアルバムでチャレンジするのではないかと思います。

勝手な予想と希望でした。なにも根拠はないですよ(笑)。

やはり、程よくメタルと美しさを合わせられそうなのが嬰へ短調なのかな。

また、比較的長い曲であるにもかかわらず、嬰へ短調で首尾一貫していることから「1つの強い信念が通っている」ということを表現したように、感じます。

ド・キ・ド・キ☆モーニング

イ長調輝かしく確信と希望に満ちる単純、純粋、快活、誠実な感情に適する)♯3つ

紅月と同じ♯3つの調で始まるので、調性という観点からすると曲のつながりに違和感はないということになります。

なぜ違和感がない、と言えるのかというと、調性には、近親調という考え方が存在します。

♯や♭が同数の長調と短調(ここでいうところの紅月の嬰へ短調とドキドキモーニングのイ長調)は近親調です。

使われている音階が基本的に同じものを使うことになるので、長調と短調の違いはあれど、同じ音が多いので似ているのです。

また、ハ長調とハ短調のように、「ハ」の部分が同じでも近親調ですし、♯や♭の数が隣同士の調でも近親調です。

いきなりサビのメロディから始まるこの曲ですが、実はサビのところだけがイ長調というほとんどメタル寄りの曲です。

そしてメタルの部分が、AまたはDのパワーコードを軸に動いています。

だから、フロントの3人の可愛らしさを表したサビの部分ですが、実は曲全体からするとほんの1部なのに、サビで始まりサビで終わる、そしてサビだけ底抜けに明るいイ長調ということで、とても印象が強い作りになっています。

もちろんメロディーやリズムの影響も大いにありますが、ここでは調性についてのみ追及することにします。

美味しいところだけ持っていった3人、というわけですか(笑)。

カワイイから許してね、という感じですね。

ダークな部分のギターのリフは「ド・キ・ド・キ☆」を表現していますよね。

ホント、邪悪すぎてドキドキしてしまいます。

おねだり大作戦

ハ短調(柔和の中に、真剣な情熱を持つ。悲劇的な力、超自然的な感情、激烈な感情)♭3つ

この調は、大変強く、ただただ恐怖を感じます。

あまり複雑な感情を抱かせることはなく、まさに、超自然的な強さを感じ続けます。

「BLACK BABYMETAL」はBlack Metalとのつながりを意識したものだと思いますが、BLACK、つまり黒は、ハ短調にとてもよく似た印象で、おそらく、ハ短調をBLACK BABYMETALの調と定めたのではないかと思います。

そんなBLACK BABYMETALがおねだりをする、黒い心もしっかりみえる、かけてますね〜。

このハ短調、実は2つのアルバムを通してこの1曲しかありません。

BLACK BABYMETALとしての新しい曲が、きっと次のアルバムで出る!

ことを期待したいですね。

以上、1stアルバムの前半を分析してみました。

通しで分析したいので切りたくないのですが、あまりに長すぎるので、続きは次回の記事で!

お楽しみに。

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ライタープロフィール

西岡裕美子

ピアノ講師

西岡裕美子

【プロフィール】 幼少からヤマハ音楽教室に通い、音楽の研鑽を積む。

北海道札幌北高等学校普通科卒業。

北海道教育大学札幌校芸術文化課程音楽コース卒業。

現在、(株)エルム楽器ヤマハ音楽教室講師。

石山東音楽教室主宰。

合唱や声楽の伴奏、自身の音楽活動も行っている。

読み聞かせユニット「ピアノストーリア」での作曲・語り、童謡・お子様向けピアノアレンジ楽譜サイト「童謡楽譜わらべえ」での童謡編曲・BABYMETAL「イジメ・ダメ・ゼッタイ」ピアノ用編曲なども手がけ、活動の幅を広げている。

【講師歴】 講師歴は、16年になります。

ヤマハ音楽教室のシステム講師として、2歳からご年配の方まで指導経験がございます。

北翔大学にて幼稚園、小学校の免許取得に必要な、音楽の実技指導経験がございます。

信念と情熱で石山東音楽教室を盛り上げていきます。

【取得資格】 中学校・高等学校教諭一種免許(音楽)ヤマハピアノ演奏グレード3級 ヤマハエレクトーン演奏グレード4級 ヤマハ指導グレード3級 【受賞歴】 2004年 東京国際芸術協会第新人賞受賞 2007年 ピティナ・ピアノコンペティション(デュオ部門)奨励賞受賞 2007年 旭川市新人賞(ピアノ部門)受賞 2008年 ANP全日本ピアノデュオコンクール奨励賞受賞 2008年 ヤングアーチストピアノコンクール(2台ピアノ部門)奨励賞受賞 2008年 旭川市新人賞(アンサンブル部門)受賞 などとありますが、やはり現在の演奏に対する心・姿勢と、向上心を大切にしています。

【師事歴】 下家香世子、秋山由美子、佐々木朋香、二宮英美歌、石橋克史、各氏のもとで、ピアノを学んでまいりました。

【所属している会】 東京国際芸術協会、フェリーチェ楽友会、ハイメス・アーティスト、各会員。

【ブログ】ピアノ演奏と音楽教室の意義について

http://ihmusichappy.blog.fc2.com/

【YouTube】童謡楽譜わらべえ

https://www.YouTube.com/channel/UCvv2tm3e8_-T02tZM2Hx_xA

【お問い合わせ】 ishiyamahigashi.music@gmail.com

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