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【ケーブルの基礎知識】バランス、アンバランスって?
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【ケーブルの基礎知識】バランス、アンバランスって?

マイクケーブルや楽器で使うケーブルには、それぞれ役割があります。

今回は基礎知識として、2つのケーブルの種類、バランスケーブルとアンバランスケーブルについて説明します。

ケーブルには電気信号が流れている

スピーカーから音を出す基本的な仕組みをご存じでしょうか?

まず音は「空気の振動」です。

空気があるから音として人間の耳まで到達するのです。

そして楽器やマイクなど音声をスピーカーから出す際に、つながれているケーブル。

ここには電気信号が流れます。

マイクやピックアップを使い、空気の振動を音声信号(電流)に変換 → ケーブルを使い電気信号を伝える → 電気信号を空気の振動に変換し、スピーカーから音声として出力します。

これが、機材を使って音が出る基本的な仕組みです。

その電気信号の伝送方法には2種類(バランス、アンバランス)あります。

位相(いそう)ってなに?

バランス、アンバランスの説明の前に、位相(いそう)について少しだけ説明します。

位相とは、交流の波形の周期中の位置のことを言います。

交流(こうりゅう、英: alternating current: AC)とは、時間とともに周期的に向きが変化する電流(交流電流)を示す言葉であり、「交番電流」の略。

交流 – Wikipedia

位相

音声信号は交流電気です。

位相には同相(どうそう)と逆相(ぎゃくそう)があります。

まず同相とは2つの同じ波形の位相が同じであることを言います。

AとBを足すと、倍増します。

同相

逆相とは2つの同じ波形の位相が、時間のズレなどにより逆転していることを言います。

AとBを足すと、打ち消しあいます。

逆走

以上のことを理解した上で、続けて読んでください。

バランスケーブル

バランスケーブルは同じ信号が並走しているケーブルのことを言います。

マイクで使うケーブル(XLR)はバランスケーブルの1種です。

他には、3P-3P(TRS-TRS)ケーブルがあります。

ケーブルの中は、このように3つの線があります。

  1. グランド(Gnd)
  2. ホット(Hot)
  3. コールド(Cold)

と言います。

マイクケーブルの中

ホットとコールドは芯線と呼ばれ、音声信号を流します。

バランスケーブルの場合はグランドには音声信号は流れません。

グランドについて

接続したシステムの電位を保つ、統一する役割があります。

音響システムにおいては、正しく動作させるために電位差をなくす、ゼロに統一させなければなりません。

電位差については以下で説明しております。

参考:マイクに唇が触れた瞬間にバチッ!感電を防ぐ方法

もう1つは外部からのノイズを防ぐ役割があります。

シールド状のグランド線が、ノイズから芯線を守ります。

マイクケーブルの中

芯線について

混入したノイズをキャンセルする役割があります。

音声信号は、ホットとコールドそれぞれに逆相で入力されます。

芯線は空間を飛び交う電磁波におびやかされます(ノイズの混入)。

ノイズはホットとコールドに同量飛び込みます。

逆相

ホットとコールドが逆相のままだと打ち消し合ってしまうので、コールドの信号を機器側で逆転させます。

コールドを逆転させると信号は同相になり2倍に、ノイズは逆相になり打ち消されます。

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バランスケーブルの長所

ちなみに、バランスケーブルはコンデンサーマイクを使用するのに必要なファンタム電源を送ることができます。

アンバランスケーブル

1本の芯線とグランドで、同じ音声信号が平衡していないのでバランスではない(アンバランス)が特徴です。

2P-2P(TS-TS)のケーブルが代表例です。(エレキギターなどで使われるケーブルです)

他には、RCAピンなどがあります。

アンバランスケーブルでは、グランドをコールドとしても使用する方式です。

音声信号

この場合、ノイズにも弱く、レベルもバランスの半分です。

ヘッドホンのケーブルは?

プラグの種類が、3Pフォーン-3Pフォーンはバランスケーブル、2Pフォーン-2Pフォーンはアンバランスケーブルですが、ヘッドホンやイヤホンの3Pプラグはどうなるのでしょうか。

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Left用の芯線とRight用の芯線、そしてLeftとRightのシールド線が共通になっています。

なので、アンバランスが2つと考えます。

最後に

バランスとアンバランスについて書きましたが、こうしてみるとバランスの方がノイズに強かったり、大きいレベルも扱えるので、プロ音響の方はすべてバランス接続しているのか…と言われると、そうでもありません。

アンバランス出力しか持たない機材もあるので、ノイズの影響をさほど気にしなくていい状況の場合は、そのままアンバランス接続します。

楽器(キーボードやベース)などは、通常DI(ダイレクトボックス)を使用してバランス変換します。

普段は何気なく使っているケーブルもどんなふうに信号が流れているかを知れば、全体的な音の流れも分かりやすくなると思います。

さまざまな機材を扱う場合、覚えておいて絶対に損はないので、この機会にぜひ覚えてみてください。

どんな用途で使用するかは、以下でも説明しております。

参考:楽器用ケーブルの種類と特徴。バンドマンのための基礎知識

ライタープロフィール

チェックワンえんちゃん

PA・音響

チェックワンえんちゃん

音響フリーランス女子。

専門学校卒業後に所属していた会社(フリーランス集団)が解散後、完全フリーとなり今に至る。

生き抜くために奔走中!

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