【ベースアンプ】「SEND RETURN(センドリターン)」端子の裏ワザ
アンプの裏に設けられているSEND RETURN端子のことは皆さんご存じでしょうか?
通常はSEND RETURN端子を使う場合でも楽器はアンプのINPUT端子に接続しますが、今回は少し違った使い方をご紹介します。
SEND RETURN(センドリターン)端子の裏技
本日、小岩のBack In Timeさんにて昼のセッション。
いつも一緒にセッションを開催させていただいている、ピアニストの中村尚子さんがホストでしたので、エレアコベース持って遊びに行ってまいりました!
持って行ったのは、ZENNの「ZB22CE」。
「ZENN」はサウンドハウスさん↓のオリジナルブランドです!
ジャズを演奏するときによくやるアンプの裏ワザがあるのですが、今日はエレアコベースでそれを試しに!
いや、そんなたいしたことじゃありません。
大げさでごめんなさい……。
ただの「RETURN端子直差し」のことです。
ご存じでしょうか?
アンプのSEND – RETURN(センドリターン)端子の使い方。
センドリターン端子は、もともとエフェクターを原音と別系統に切り離して音の芯を失わさないようにするもの、また同時に、エフェクターのトラブル時にも音が途切れないようにするためのものです。
通常の接続は、ベース本体からのシールドはそのままアンプの「INPUT」に差し、別系統で「send端子」からエフェクターに信号を送り、エフェクターからアウトした信号を「return端子」に返してきます。
こうすることで原音とエフェクト音が両方ミックスされてアンプから出力されるのですね。
仮にエフェクターにトラブルがあって音が出なくなっても、原音は生きていますので音は消えません。
(写真の「SEND EFFECT」からシールドでエフェクターに信号を送って、「RETURN EFFECT」に返すわけです)
ここで(詳細は省きますが)、「RETURN」に戻された信号は、そのままパワーアンプ部に送られます。
アンプヘッド内のプリアンプは通りません。
つまり、「RETURN端子」にベースからのシールドを直接差せば、アンプ内部のプリアンプを通らずにパワーアンプに直接信号を送れます。
アンプのパワーアンプ部だけ使えるわけですね。
これは、手持ちのアウトボードのプリアンプの音をそのまま増幅できることを意味します。
逆に言うと、アウトボードのプリアンプを普段お使いの方はそのままINPUTに差して使うとプリアンプを二回経由していることになります。
音は増幅されます。
ただ、ジャズなどにおいて繊細な表現をしたいときは音がブーミーすぎて、ちょっと私にはしっくりきません。
音が太すぎるのです。
本日はそのセッティングで、エレアコベースを使ってセッションに参加(ベースの参加者がいなかったので、そんなセッティングまでできました。人数多いと無理です。念のため)。
エレアコからプリアンプ→空間系用のZOOM MULTISTOMPを通した後、直接アンプのRETURNに差しました。
アンプヘッドは(自前の)MARK BASS「LITTLE MARK Ⅱ」です。
結果は上々
プリアンプはいつものFREEDOMでしたが、使い慣れた手持ちのプリアンプの音がそのまま適度に増幅されるので、扱いやすいです。
音が柔らかいままです。
ただ、機種によってはこうすると音がでなくなるものもあるのでご注意を(コンボアンプとか)!
「RETURN直差し」、たぶんライブな(反響音の多めの)箱で、繊細な音の表情のコントロールをしたい時などにもっとも威力を発揮します。
特にパッシブのジャズべなんか使ってジャズをやっている方など、ぜひ一度試してみてほしいです!
なお(ここから先はさらにマニアックな話です)、今回使ったMARK BASS LITTLEMARKというアンプヘッド、上述のようなセッティングをしても、ヘッドのイコライザーがすべて効きました。
「GAIN」以外のつまみは生きていたのです。
あれ??ということはどういうことなのか?
やはりプリは通っている?
プリ部とイコライザー部が厳密に分かれている?
ちょっと回路図まで見ないとはっきりわからないのですが、結果的にはそれが良かったです。
最後の補正としてアンプヘッド側のイコライジングもすこしだけしてみたら、簡単にセッティングが決まりました。
ほかのアンプではRETURN直差ししたら、アンプヘッドのイコライザーは使えないと思います。
もし、使える機種などあったら、ぜひ教えてくださいませ!
※追記:この点、回路図にて確認。
RETURN後の信号は、「バッファ後、イコライザーの前」に戻ってきております。
(https://www.manualslib.com/manual/564507/Markbass-Little-Mark-Ii.html?page=10#manual)。
Nさん、情報ありがとうございました!
ライタープロフィール
ベーシスト
野々口毅
25才頃よりプロ活動を開始。
インディーズレーベルでのレコーディングやライブ、セッションなどにおいて、ロックからジャズ、R&Bまで幅広い音楽を経験。
2001年よりヤマハポピュラーミュージックスクール・ベース科の講師として、後進の指導にもあたり、2005年より、自己のジャズバンドにて活動。
主にフレットレスベースを自在に駆使し、メロディーやソロを積極的に奏でるそのスタイルは、大いに注目を集める。
同時に、ベースソロでの書家とのコラボレーション、jazzセッションの開催や、クラシック・POPS系吹奏楽団(東京吹奏楽団…etc)・各地のビッグバンド・ボーカルサポートなど、多彩な活動を展開。
2009年、自身の活動の拠点として、「jazz unit DRASCO(ドラスコ)」を結成。
アルバム「Theater」発表。
その独創的な楽曲は、ジャンルという特定のカテゴリーに収まるものではなく、そのベース奏法スタイルとともに、さらなる注目を集める。
2013年より、ユニット「藍色の空」に参加。
アルバム「金と銀」作成。
オリジナル曲4曲を提供する。
2014年、Diners Club Social Jazz Session 2013-14において、最優秀ベーシストとして選出。
続けて行われたブルーノート東京での公演において、Lee Ritenour(G)、Patrice Rushen(Key)、神保彰、Abe Laboriel、クリスタル・ケイらと共演。
現ヤマハポピュラーミュージックスクール・ベース科講師。
ウッドベースの奏法も取り入れた独自の理論に基づき、基礎を最重視したレッスンを展開。
個人個人に合わせた音色の構築、およびジャズ等におけるアドリブ手法まで、楽しく、幅広く指導を行っている。
ウェブサイト:http://eleacobass.com