ジャケ買いって最近していますか?
CDが売れない時代。
要因はいろいろある。
その一つがネット配信の普及だと言われている。
確かに僕自身、CDを買ってきてそれをパソコンで読み込んで、手持ちのiPodに入れれば満足でCDはもう聴かないことはよくある。
けれども、CDを買っている。
その理由として、作りがある。
今回は、いくつかの面白いパッケージの例から作品としてのCDを見ていく。
アルバムと本の同時展開(クリープハイプ)
まず、クリープハイプのアルバム「世界観」である。
これは、それよりすこし前に発売されたボーカルの尾崎初の初小説「裕介」と対になる作品である。
尾崎の芸名である尾崎世界観を冠したアルバムと本名の尾崎裕介を冠した本という関係だ。
ここで面白いのは、その中身も対になっていることだ。
まず、大きさ。
通常のCDアルバムよりもかなり大きく作られている。
これにより、小説と同じ大きさになり、より二つの作品が対であることが強調される。
また、中身にも工夫がある。
本というのはフォントに特徴がある。
この小説で使われているフォントと同じものが、アルバム「世界観」の歌詞カードに用いられてる。
また、小説は縦書きであるため、歌詞カードは徹底して横書きになっている。
クリープハイプは、フェス文化の中で単に「セックスしよう」を言うためだけに集まった軽音楽部系大学生に消費されるのを嫌がってきた。
単に音楽を音だけで楽しむのではなく、ちゃんと歌詞自体も聴いてほしい、理解してほしいという思いを強く持ったバンドである。
だからこそ、このアルバムでは、歌詞カードも小説のようにちゃんと見てほしい、読んでほしいという意味が込められている気がする。
自由なライブDVDのジャケット(ドレスコーズ)
次に紹介するのは、ドレスコーズのDVD作品「SWEET HAPPENING」である。
この作品はライブを収めたDVDである。
ここでドレスコーズの基礎知識を振り返ると、毛皮のマリーズのフロントマンとして活躍していた志磨遼平が毛皮のマリーズ解散後に組んだバンドである。
紆余曲折を経て、現在は一人でドレスコーズとして活動している。
けれども、このバンドが特異なのは、ライブやアルバムごとにさまざまなアーティストを起用して作品を作り上げている点である。
例えば、最新作では人間椅子の和嶋さんや凛として時雨のピエール中野が名を連ね、過去には元毛皮のマリーズの西くんやウエノコウジ、OKAMOTO’Sなどが起用されている。
詳細は以下を参考にしていただきたい。
Members | ドレスコーズ[the dresscodes]オフィシャルサイト
さて、そんな 変幻自在なバンド、ドレスコーズのDVDもまた変幻自在である。
これはクリアケースに数枚の写真やCDなどがバラバラに入っているというパッケージになっている。
とても不安定な形である。
しかしこれはドレスコーズの歴史を考えると、いつでも形を変えてきたドレスコーズそのものを表しているジャケットだと言える。
作品ではそのライブ単体しか表すことは出来なかったが、ジャケットとして歴史を含めて表現している良い例である。
CDには重さがある
当たり前のものかもしれないが、CDには重さがある。
一方、音楽には質量がない、データだからだ。
そのCDの質量こそが音楽を所有している気分にさせてくれる。
そんな所有する欲求を満たしてくれる。
実際、所有欲、マニア気質のある日本ではアメリカよりもCDがまだ売れている方だと言われている。
ただ近年、それだけではなく、音楽の枠だけでない作品を表す手段としてCDのパッケージや装丁が用いられている。
だからこそ、CDの作りをちゃんと見るべきだと思う。
CDをアーティストのやりたいことがつまった作品として見ることこそがCDを買う理由だと私は考える。
ライタープロフィール
ブロガー
まちだねこ
音楽とか映画とかにいろいろ言う人
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