僕がCDを全国流通させた理由とその方法
バンドが動き出してから丸8年、バンドメンバーと仲間内の5人だけでレーベルを設立し、全国流通でCDを発売しました。
なぜ今このタイミングで全国流通という手段を選んだのか。
その理由と方法を、バンドの歴史や状況も踏まえつつ書こうと思います。
インディーズバンドの内情や、全国流通の仕組みに興味がある方はぜひご覧ください。
もくじ
全国流通ってなに?
全国流通というのは、CDを全国の大手CD屋さんで買えるようにすることです。
大手CD屋さんとはタワレコやHMV、ヴィレッジヴァンガードやディスクユニオンなどですね。
これはおまけですが、AmazonやiTunesなんかでも一括で取り扱ってくれたりもします*1。
僕らのようなインディーズバンドは、全国流通をしていないバンドの方が多いです。
店舗に営業をしたり実際に商品を納品したりする流通業者(問屋のようなもの)を介さなければ全国流通はできないからです。
流通業者とバンドが直接やりとりをする場合もありますが、多くはバンドが所属するレーベルが流通業者とやりとりをします。
バンドが所属するレーベル or やる気のあるバンド → 流通業者 → 全国のCD屋さん
というのが全国流通をする際の流れです。
それ以外の多数のインディーズバンドが取っているCD販売方法が、ライブ会場での直接販売。
それに加えて自分のバンドのサイトで通販をやったり、個人経営のCD屋さんやウェブショップでCDを取り扱ってもらうという方法もあります。
これが全国流通と、そうでない場合のCDの売り方です。
*1:このあたりはちょっと頑張れば個人でもできます。逆にタワレコなどは頑張っても個人じゃほぼ受け付けてくれない。
なぜ今、全国流通をしたか
最初に、なぜ今CDを全国流通でリリースしたのかというと、シンプルに全国流通というアイディアが出てから最短のタイミングが今だったからです。
林修先生の「今でしょ」は物事の真理なんじゃないかと僕は思っている節があるんですが、やった方がいいこと、やりたいことがあったら、それをやるタイミングは今なんじゃないかと思うのです。
小さくちまちま活動していても、チャンスがいつやってくるかはわかりません。
それならチャンスを作ればいいと思ったんです。
そう思い、レーベルを立ち上げて、自主レーベルで自分のバンドのCDを全国流通しました。
それでも物事にはタイミングというものがある
この2016年3月というのがcolor chordにとって全国流通でリリースするタイミングとしてベストかと
いうと、全然ベストではなく、むしろ悪いくらいでした。
完全にタイミングを逃してしまっていた。
ではいつがベストだったかというと、それは2013年の秋ごろだったと、今となっては思います。
2013年8月、color chordはUSインディーバンドDawesのカバーコンペティションで優勝をし、アメリカを中心とした北米圏でちょっとした賛否両論を巻き起こしました*2。
DawesのオフィシャルFacebookページのコメント欄でひどく罵倒されたり震えるほど絶賛されたりしました。
どちらも強い感情でうれしかったです。
札幌の僕らの知り合いのバンドマンやその界隈(かいわい)の方たちにも「color chord、やってんな」という印象を与えられたし、「世界規模の大会で優勝」という情報はインパクトがあります。
その鮮度が残っているうちに、バンドの勢いが感じられるうちに、遅くても2013年内に新譜を出しておけばタイミング的にはよかったのだろうなと今となっては思います。
でもそういうことって過ぎてからじゃないとわからない場合が多くて、実際今回リリースをしてみてから「今バンドの勢いないな!」というのを実感したりしています。
そうです。ものすごくぶっちゃけています*3。
リリースのタイミングが大事ということを勉強できたのも、今回のリリースの成果だとすら思っています。
ヤバいでしょ。こんな初歩的なことすら人って忘れてしまうのです。
人は悲しいくらい忘れてゆく生き物なんです。
それでも後悔はしていなくて、このタイミングでリリースをしてよかったと思っています。
タイミングが大事だということを勉強できたのと同時に、リリースに付随するさまざまなことを当事者として経験することで身をもって学べたからです。
そしていろいろな可能性が広がっていくのを感じることもできました。
*2:本当にちょっとですがDawesファンにはある程度知られたのではないかと思われます。
*3:ちなみに音楽的成熟度とライブの完成度は今が一番高いんですが、それとバンドの勢いはまったく別物です。バンドの勢いは「周りからバンドがどう見えているか」という部分が大きいです。
そもそもなぜ「全国流通」を選んだのか
タイミングの話ばかりしてしまいました。
全国流通という手法を選択したそもそもの理由について書きます。
全国流通でリリースした目的は、「これで一発当ててやろう」なんていう夢見がちなものではありませんでした。
もちろんドカンと売れたらそれはうれしいけど、そんな理由なく急に売れるなんて思えない。
売れてる人は何らかの理由があるはずです、音楽が良いということ以外に。
業界に詳しくて、マーケティングに精通していて、各方面にコネがあるなら別ですが、そのすべてを持たざる僕たちが全国流通をしても売れるとは思えません。
それでも何かを変えたかった。
何かを変えるために無理くり全国流通してみようじゃないか!と思いました。
バンドをなんとなく続けていって、誰かがバンドに何かをしてくれるのを待っているだけだと、それはいつ訪れるのかわからないなと思ったんです。
とにかくバンドが外に広がる可能性のある大きな手を打とうと思いました。
自分から仕掛けていって失敗したら、失敗した分だけ勉強になるし、また次挑戦したときにもうちょっとうまくやれるんじゃないかと思ったんです。
バンドと世間のつながりに対するカンフル剤としても、バンドという生き物自体への刺激としても、何か大きなことをしなければならないと思ったんです。