「コンセプト・アルバム」ってどういう意味?
「コンセプト・アルバム」というアルバムの種類をご存じですか?
数多くのアーティストがこれまでに、さまざまな「コンセプト・アルバム」をリリースしていますが、どのようなアルバムかわかるようなわからないような……。
そんな「コンセプト・アルバム」の意味を、実際の作品をピックアップしながら考えていきたいと思います!
もくじ
筆者のコンセプト・アルバムとの出会い:ANGRA『Temple of Shadows』
復活作「REBIRTH」に続く待望の新作遂に登場!
11世紀十字軍騎士のストーリーが現代の我々に警鐘を鳴らす
一大コンセプト・アルバム『テンプル・オブ・シャドウズ』
コンセプト・アルバムという言葉をはじめて知ったのは高校生のころで、2004年にリリースされたブラジルのメタルバンドANGRAの5thアルバム『Temple of Shadows』でした。
コンセプト・アルバムという言葉は、キャッチコピーやこのアルバムの紹介に必ず書かれている言葉でした。
十字軍をテーマにしたアルバムということはアルバムジャケットを見るとすぐにわかりましたし、歌詞カードには壮大なプロローグがあり、曲ごとに小さな物語の説明(バンドメンバーによる解説)までついていました。
なにより、歌われている歌詞がまるで小説を読んでいるかのような物語性にあふれていました。
プロローグ的な位置付けの1曲目に続いて、2曲目の「SPREAD YOUR FIRE」にこんな歌詞があります。
十字軍の兵士が預言者に出会い、旅のスタートを感じさせる歌詞です。
栄光あれー恐るな
汝の県で導いていくのだ
栄光あれーお前こそが選ばれしもの、行け!
12曲目の「LATE REDEMPTION」は十字軍の兵士が人生の終わりの時に、過去を思い出しながら自問自答するような歌詞で、13曲目はエピローグとなります。
もはや終わった
決して……
……総ては終わった
こんなかんじで、曲と曲がリンクして1つのスリリングな物語をつくっている、ファンタジックなコンセプト・アルバムです。
これは「普通のアルバムと全然違うゾ!」と思ったことを覚えています。
さて、コンセプト・アルバムとはどんなものか、なんとなくお察しいただけたのではないでしょうか……?
コンセプト・アルバムの定義
コンセプト・アルバム(Concept Album)は、ある一定のテーマまたは物語に沿った楽曲によって構成されたアルバム。アルバム全体でひとつの作品になっており、トータル・アルバムとも呼ばれる。
つまり、アルバム全体を見渡したときに、一定のテーマや物語があるものをコンセプト・アルバムと言うようです。
「Concept」という名詞は概念や構想の意味がありますから、すんなりと納得です。
コンセプト・アルバムではアルバムを通してアーティストが作り上げた物語を堪能できます。
1曲ごとにバラバラではなく、アルバム内で曲同士が共鳴しあうかのような表現が魅力だと思います。
では、有名なコンセプトアルバムをふたつピックアップしてみようと思います。
有名なコンセプト・アルバム
The Beatles『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』
諸説あるが、一般的には有名になった「史上初のコンセプト・アルバム」はビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(1967年発表)である」と言われている。
諸説あるそうですが、The Beatlesの1967年のアルバム『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』がコンセプト・アルバムの先駆けだそうです。
このコンセプト・アルバム、架空のバンド、サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンドのコンサートが再現されていて、バンドのテーマソングからはじまり13曲目「A Day in the Life」のアンコールで終わります。
弾き語りから始まるしっとりとした曲ですがドラマチックな曲調の展開と深い歌詞をそなえた、まさにコンサートのラストを飾りそうな曲です。
まるでコンサートを楽しむかのようなコンセプト・アルバムではないでしょうか。
バンドメンバーも架空のバンドをイメージしつつ、楽しんで作ったのだろうなと思わせてくれるような作品だと思います。
Green Day『American Idiot』
2004年にリリースされたGreen Dayの7枚目のアルバム『American Idiot』は「反戦」をテーマとした、メンバーのイラク戦争への反発精神から作られたポリティカルな物語のコンセプト・アルバムでした。
ジーザス・オブ・サバービアという青年と、パンクという武器を手に入れた彼のもうひとつの人格セイント・ジミーの成長の物語がアルバムの中にはあり、社会と戦う青年の姿が描かれています。
そんなとてもパンクな背景のあるアルバムでしたが、アメリカでもイギリスでもダブルどころではない、大ヒットしたプラチナアルバムとなりました。
なかでも、2曲目の「Jesus of Suburbia」と12曲目の「Homecoming」はどちらも、複数の曲をつなげた組曲で9分をこえる曲です。
パンク・オペラと呼ばれたりもするようです。
キャッチーな曲がたくさん収録されていて、ラジオや街中で流れていた曲がたくさんありますが、アルバムを通してじっくり聴き込むと、バラバラで聴いていた時には気がつかない物語がたくさん秘められています。
時代の空気をいっぱいに受けたパンクマインドがあふれたコンセプト・アルバムと言えると思います。
ほかには……
Pink Floydのアルバムジャケットが有名な『狂気』(原題:The Dark Side of the Moon、1972年)やDavid Bowieの『ジギー・スターダスト』(原題:The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars、1972年)Judas Priest『NOSTRADAMUS』(2010年)……などなどまだまだたくさんのコンセプト・アルバムがあります。
もちろん邦楽アーティストのコンセプト・アルバムもたくさんあります!
さいごに:じっくりアルバムを聴き倒すという音楽のたのしみ
実際のコンセプト・アルバムを例にあげながら、コンセプト・アルバムについて紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか(ピックアップしたアルバムが洋楽だけなのはお許しください……汗)?
コンセプト・アルバムの収録曲は1曲でも、もちろん聴けます。
ですが、せっかくでしたら歌詞を見ながらアルバムを通して聴いて、アーティストの生み出した魅力的な音楽と物語の世界にひたってみるのはいかがでしょうか?
アーティストが作り出すファンタジックな物語や時代を反映させた物語など、魅力的なコンセプトがたくさんあるからです。
1曲ではなく、アルバム全体の楽曲を通してアーティストが私たちに語りかけてくる、壮大なメッセージを読みとくというのも、音楽の楽しみ方のひとつかと思います。
ぜひ、お試しください〜!
ライタープロフィール
ライター
まよ
メタルヘッズでK-POPペンで、アートコレクターになりたい、おっとりした平成元年女子。
映画も好き。
じつは演劇の中の人。
普段は無の表情で、静かに着席して音楽を聴いているのでメタルヘッズだと思われない。
かつて、おこづかいでとっておきの新盤を買って帰って、歌詞カード片手に音楽しか聴かない時間を楽しんでいたのに、最近しなくなったので、そういう時間を取り戻したい今日この頃。