【リペアマンが教える】管楽器のメンテナンス。各症状の対処術まとめ
「自分でできる管楽器のメンテナンスについて」前回の続きです。
前回:【リペアマンが教える】管楽器のメンテナンス。基礎知識編
症状と対処術をまとめました。
日々のメンテナンスで役に立つと思いますので、ぜひブックマークしておいてください。
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もくじ
- サックスなどの木管楽器のメンテナンス
- なぜかキーが押しても戻ってこなくなってしまった
- ケースの中にいれたものがなくなっている
- 木管楽器で、ふだんから吹き終わったらスワブを通すだけであとは水分放置ということによりトラブルが発生
- サックスのマウスピースを新調してすぐ本番に使いたいのに音程をあわせるために、抜き気味にセットしたらコルクがゆるくてカタカタゆれてしまう
- 車の中や半二階のロフトに木管楽器を保管していたら、夏などケース内が高温化しコルク、フェルトが外れてしまった(時にはサックスのネックコルクがそのままはがれてしまうこともあります)
- 演奏後水分を十分に除去しないで、閉じたまま放置したらケース内がカビだらけ。
- トランペットほかの金管楽器
- 金管楽器でのウォーターキーが漏れているかもしれない?
- 金管の管内洗浄を一年以上やってない、ピストンオイルもたまにさす程度にしていたら、ある日突然ピストンの動きが悪く戻ってこなくなった
- 普通につかっているだけなのに、なぜか音色や抜けが悪くなってきた
- ピストンを分解、クリーニングして組み立てたら、なぜか息が詰まって吹けない、動きが悪くなった、バネのノイズがするなど(金管初心者によくあることとして)
- リペアマンに任せるケース
- 最後に
サックスなどの木管楽器のメンテナンス
なぜかキーが押しても戻ってこなくなってしまった
この場合、バネの外れがかなりの確率で起こっています。
そして、聞いてみるとサックスに一緒に入っているタオルなどをいれているケースが多いのです。(時には昨日演奏時に着ていたセーターにひっかって外れた可能性もありました)
対処法
動かないキーの裏側や付け根をチェクし、外れているバネを見つけ、編み棒やドライバーなどを使って押すか引くことでひっかけなおしてあげてください。
その際反対方向に引っ張りすぎないように注意が必要です。
ケースの中にいれたものがなくなっている
大きな楽器の管体の中からいろんなものがでてきます。
バリトンサックスのネックが管の奥からでてきた。(例:バリトンのネック、チューナーなど……)
一方、金管のマウスピースはよくクッションの下にもぐって失踪したり、ユーフォニウム以上の大きい楽器の奥から、なくなっていた小物が見つかったりします。
対処法
ケース、楽器を空中で揺らしカタカタ音がしないか確認してみましょう。
その前に、ケースの中に極力楽器や揺れ止め以外のものは入れないのがベターです。
木管楽器で、ふだんから吹き終わったらスワブを通すだけであとは水分放置ということによりトラブルが発生
木管楽器で頻出する、パッドのべたつき、クローズドキー特にG#、LoC#がはりつき開かない。
オクターブキーがちゃんと動くのにオクターブ上のソから下の音が上がらない。
さらにオクターブホールに唾液がたまって詰まっている。
オクターブキーの芯金がさびて動きが悪い。
対処法
トーンホール、パッドのクリーニングペーパーで水分除去、管体の水滴も除去後、zippo oilを綿棒やクリーニングペーパーに垂らし、パッドをクリーニングします。
パッドの轍の奥深くまで、粘り成分である悪玉菌が繁殖する前にクリーニングしておきましょう。
ここまで育っていると激変するわけではないので普段から吹奏後にやっておくことをお勧めします。
zippo oilの優れている点は価格の安い割に、揮発性の油分除去、殺菌する機能で他を抜いています。
これはオイルでコーティングするものではなくむしろべたつきの原因除去するもので多くのの工房で油分除去、洗浄に使ってます。(金管のピストン、ケースクリーニングでも使えます)
サックスのマウスピースを新調してすぐ本番に使いたいのに音程をあわせるために、抜き気味にセットしたらコルクがゆるくてカタカタゆれてしまう
対処法
しばらくの間の有効な対症療法として、ネックコルクを水で濡らしてドライヤーで少し熱くなるくらいまで温めてください。
温めすぎると剥がれることもありますので注意しながらやりましょう。
人によってはクリーニングペーパーをスペーサー代わりに巻き付けている人もいますが毎回の抜差しの状態は安定しません。
これらは短期の対象療法ですの時間のある時に巻き替えてもらいましょう。
車の中や半二階のロフトに木管楽器を保管していたら、夏などケース内が高温化しコルク、フェルトが外れてしまった(時にはサックスのネックコルクがそのままはがれてしまうこともあります)
対処法
タイミング系のコルクやフェルトは精度が必要ですのでリペア工房に任せましょう。
ノイズダンパー用のコルクフェルトの場合は、ゴム系接着剤で両面塗布して規定時間乾かして付け直し圧着してください。
そして、キーノイズ、オープニングのならびをチェックし音程バランスも確認して仕上げましょう。
物質は熱によって変化が起こりやすくなります。
なるべく気温の低い安定した場所に置きましょう。
演奏後水分を十分に除去しないで、閉じたまま放置したらケース内がカビだらけ。
木管楽器でも金管楽器でもです。
水分を拭いたスワブを楽器と同じ空間に入れておくことも、かび、錆(さび)による固着オイル酸化による動作不良化などのダメージが起こりやすくなります。
さらに夏期の高温期や長期放置でより致命的な事態にも陥りかねません。
また最近ではカビは肺炎の原因になるともいわれており副次的なダメージも発生します。
対処法
こうなたったらまずはケース日干し、楽器乾燥(木製の楽器以外)
ただしカビはしつこく1回だけでは完全に除去できませんのでその後もしっかり管理しましょう。
普段吹奏後はケースに入れたあと、半開きにして一晩放置し乾燥させてから翌日ホコリが入らないように確実にケースを閉じるということでいい状態は維持しやすくなります。
トランペットほかの金管楽器
金管楽器でのウォーターキーが漏れているかもしれない?
ウォーターキーの替え時がわからず音色ダウンをウォーターキーが原因と疑い頻繁に交換する方がいます。
対処法
見た目ではなくスライドの片方をふさぎもう片方から息を強く吹き込み息漏れをチェック。
微妙な場合はは水を小さじ一杯くらい入れて同じ方法で水漏れチェックしてみましょう。
金管の管体には、これ以外にもいろいろなジョイント部の不具合が原因(MPレシーバー部変形、スライドの変形フィット不良、メインチューニングスライドオイル抜け)となる可能性があり的外れの追い込みにならないようにすべきです。
一方、ウォーターキーを自分で交換するにはコルク3~4mmの厚みの程度を入手し、キーのカップ内径に0.5~1mm加えた皮用のポンチを用意し押さえながらぐりぐり回して円盤状に抜き小口を紙やすりなどできれいに仕上げます。
あとはほんの少しのゴム系接着剤をコルクの真中につけてウォーターキーに徐々に周りを追い込みながら押し込みます。
最後にカップをウォーターキーホールに押しつけ結束バンドなどで押さえ癖付けします。
その後1晩くらい結束バンドで固定定着してあげればかなり気密性の高い状態に仕上がります。