ベリンガーのアナログシンセサイザーDeepMind 12ってどうなの?
今回は、BEHRINGER(ベリンガー)から発売されているアナログシンセサイザーDeepMind 12のレビューです。
すでにシンセサイザー好きの間では、発売前から話題になっていますね!
周りの人たちも「正直どうなんだ……」とSNSでつぶやいているところを見かけました。
なんせ、BEHRINGERはこれまでにシンセサイザーの製品販売はありませんし、価格設定も他のラインナップよりも少し高めですから。
- アナログシンセに憧れている
- アナログサウンドの質感が大好きだ
- デジタルの整った音色にはもう飽きてしまった
- そろそろ制作にアナログシンセを取り入れていきたい
そんなあなたへ、参考になれば幸いです。
ここでは、ひと通りの試奏を終え、感じたことをサッと述べようと思います。
高性能エフェクター内蔵
本製品の魅力をひとつ挙げるとすれば、TC Electronic(ティーシーエレクトロニック)、Midas(マイダス)、Klark Teknik(クラークテクニック)など、音響機器を扱う名門ブランドのアルゴリズムを用いたエフェクターを搭載している点です。
4つのFXエンジンから、33以上のアルゴリズムを使用したエフェクトを使用し、ラックを組み同時に使用できます。
最大の魅力として、的外れと思う人がいるかも知れません。
しかし、内蔵エフェクターは音作りをする上で大変重要な機能であり、サウンドの決め手を担うポイントでもあります。
結果、一番の強みとして、制作に活躍するポイントだと思いました。
中でも一際目立っていたものが、空間系のエフェクターです。
簡単な設定でゴージャスなサウンドへと導いてくれます。
TC Electronicのエフェクト。
ギターを弾く人なら、なじみがあるかもしれません。
デジタルディレイの金字塔であるTC2290や、ハイエンドリバーブのM5000を世に生み出した、創造性に富む優れた音響機器メーカーです。
澄み切った残響の中に浮き上がる、音の粒子……。
https://twitter.com/kawaramachi_rag/status/885054247158546434
このエフェクト、本当にうっとりとする音です!
正直なところ、逆に素音はすこし無難な印象でしょうか。
目新しい音色ではありませんし、古くから受け継がれてきた、アナログサウンドという感じもしませんでした。
あえて、昔のシンセサイザーの音に分類するならばMoog(モーグ)系統のサウンドにあてはまると言えます。
太く、艶やかな(あでやかな)、あの手のサウンドに影響を受けているように感じます。
BEHRINGERのアナログシンセサイザー「DeepMind 12」😀シンプルな操作性で、初めてアナログシンセを使うなら扱いやすい機種です◎🎹 #スタジオラグ河原町店店頭にて試奏できます。#アナログシンセhttps://t.co/QkVY9935Aapic.twitter.com/PMv1LphfzN
— 【京都のリハスタ】スタジオラグ河原町店・音楽教室・防音室 (@kawaramachi_rag) July 12, 2017
外観
恐らく、伝説的アナログシンセサイザーへのオマージュだと思われます。
基本的なレイアウトデザインはRolandの名機JUNO106の並びを採用しています。
左からARP/SEQ、LFO1、LFO2、OSC1&2、POLY、VCF、VCA、HPF、ENVELOPES。
特に、OSC1&2という表記はJUNOらしさを感じさせます。
このパネルにいっそ色をつけてしまえば、JUNO106に見えてしまいそうです(笑)。
それぞれのパラメーターについてはここでは長くなるので、割愛させていただきます。
サイドの木枠は赤めの茶色で塗装されていますので、遠くから見るとNord(ノード)に見えなくもないです。
見た目はアナログシンセサイザーらしい定番さがあり、良いですね。
左端に配置されたピッチベンドとモジューラーは内部にLEDを使用しています。
動きに呼応して明度が変わり、ステージングを意識した、遊び心を感じさせる作りとなっています。
設計品質・堅牢性(けんろうせい)
同価格帯の製品と比べ、作りは少し粗いです。
中でも、フェーダー。
左右の遊びや、上げ下げの滑らかさは頼りなく、マイナスポイントに感じる人がいるかもしれません。
短い期間の使用に問題はありませんが、長く使った時にどのような影響があるか、心配です。
演奏する上では、何の問題もありません。
しかし、アナログシンセ好きの評価は厳しいもの……。
包み隠さず、率直な意見を書かせてもらいますね。
ちなみにキータッチはライトウェイト鍵盤を採用しています。
こちらは一般的な堅牢性を有しています。
外部端末でコントロールができる!
特筆すべき点は、リモートコントロールでしょう。
iPad、PC、MacなどとUSB、MIDI、Wi-Fiを用いて同期することが可能です。
スムーズかつ、細やかな(こまやかな)音作りをサポートしてくれます。
シンセサイザー業界のトレンドをおさえていますね。
Wi-Fiを使った無線接続も音響業界では珍しくなくなってきました。
リアルタイムで波形を追従し、編集画面をディスプレイに表示させることが可能です。
最後に
アナログシンセというと、どうしても太く荒々しいクラシックなサウンドを想像する方が多いかと思います。
ですが、本製品はピーキーでない、優等生タイプの印象です。
もしかしたら、クレイジーな音作りができるかもしれません。
そればかりは、時代の求める音作りを意識しているのかもしれません。
良くも悪くも、幅広い音作りに対応した万能選手だと思います。
個人的には、直感に頼れるインターフェースを採用し、アナログシンセサイザーのもつシンプルさをウリにしてもよかったのでは?と感じました。
もちろん、伝統的な音色に近づけることは十分に可能ですが、その手の音作りにはあまり向いていないと考えて良いでしょう。
この記事を読んでいて、今後購入をお考えの方は気をつけるポイントだと思います。
海外ではすでに売り切れになっているという噂もちらほら聞きます。
迷っている場合は、急いでお近くの楽器店で試奏されることをオススメします!
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