サラリーマンDTMerのための通勤時間の有効活用術。DAWの前で聴く時間がもったいない
日頃音楽制作を趣味でされている方な通勤時間などの有効活用のご提案です!
ぜひ参考になれば幸いです。
音楽制作の作業工程
音楽の制作には膨大な作業工程があります。
作曲、アレンジ、録音、下処理、音作り、ミックス、マスタリング……
途方もない一連の作業の中で、おびただしい変数に気を配り、自分のポリシーが許す範囲で妥協し、少しずつ積み上げていくのが作曲活動です。
誰にとってもそれなりに時間のかかるもののはず。
でもそこがやっぱり楽しいんですよね!!!
各局面で悩んで選んでいくことこそ作曲の醍醐味だとは思うものの、やはりかかる時間は短い方がよいことが多いです。
時間をかけ過ぎると必要以上に自分の直感を疑います。
直感的によいと感じたものから遠ざかるのは100%ダメとは言わないまでも良い結果を生まないことが多い。
通勤時間で聴きましょう
僕もそうですが、サラリーマンにはとにかく時間がない。
1日最低でも8時間は拘束されているわけですからそりゃそうです。
そんなサラリーマン作曲家の皆様に効率の良い時間の使い方をご提案します。
それは……
通勤時間の有効活用
出たよ!
よくあるやつじゃん!!
そう思われた方すみません。
やっぱりそういうところになっちゃうんですが、ここで紹介するのは「通勤時間に聴く」というものです。
聴くのは愛すべきアーティストの模範楽曲ではありません。
聴くに堪えない作りかけの自分の楽曲です。
具体的には
- DAWを閉じる前に曲を書き出す
- ポータブルのリスニング端末に落とす
- 翌日の通勤時間でそれを聴きこんで課題点をスマホなどのメモで洗い出す
- その日の晩にメモに沿って修正
- 最初に戻る
これを繰り返すというものです。
ものすごく画期的というものではありません。
作業にかかる時間
とある日のodasisのメモ。
- ワウオートメーション
- ボーカル小さい
- Aメロ上コーラス歪み
- スネアハイハット
- オルガン音色(おもちゃみたく)
- ボーカル歪み
- コーラス全体あげる
意味不明なものもいくつかありますね。
自分で解ればよいのです。
このメモであればto doは
- ワウのギタートラックのオートメーションを部分的に修正
- ボーカルのフェーダーを少し上げる
- Aメロのコーラスを少し歪ませる
- スネアとハイハットのHighをブースト(楽器の名前だけのメモは「抜けをよくする」という意味にしています)
- オルガンの音作り(これは少し時間がかかりそうですね)
- ボーカルを歪ませる
- コーラスのバストラックのフェーダーを少し上げる
と言ったところです。
ミックスの中盤から終盤にかけてのメモですが、これくらいの修正であればかかる時間は20分程度でしょうか。
そうなのです。
PCの前で我慢比べになりがちな作曲活動も、かかっている時間を分析するとDAWの操作が曲作りの中で占める割合は実はとても小さく、その他の時間はもっぱらのリスニングに充てていることが分かります。
通勤時間に集中してリスニングし、家に帰ってからは迷わずエディットに入ることでDAWの前で無目的に鎮座する時間も短縮できるのです。
曲全体を俯瞰(ふかん)できる
DAWが操作できない不自由な環境(ここで言うと通勤時間)でリスニングに集中することで修正点がはっきりすることは多々あります。
DAW上では曲のどの場面でも再生・停止・編集ができてしまうため、曲全体を俯瞰して聴くことが案外難しかったりします。
アレンジなど、細部の音作りよりも曲の文脈を練るべき段階では、このようなマクロな聴き方は意外と効果があったりします。
一般のリスニング環境に近い
公共交通機関の車両内はNoisyです。
「そんな環境で制作のリスニングをしても意味ないんじゃないの?」
一理あるとは思いますが、完全に自己完結した制作でない限り、作曲家がリスナーのリスニング環境を全く想定しないというのは不可能なことです。
多くの人に聴いてもらいたいとたぎるPassionを込めたとしても、例えば電車の中で聞こえなくなる帯域で音作りをしては意味がないのです。
当然ながら最終のジャッジメントは自身の最良のリスニング環境で(多くの場合自宅スタジオ)下すべきものですが、その参考情報として通勤時間で仕入れた情報はきっと役に立ちます。
イヤホンの特徴を知ること
通勤時間の有用性をくどくど書いてきましたが1つだけ注意点があります。
それは自分のイヤホンの特性を十分に把握することです。
イヤホンはそれほど高いものを使う必要はありません。
むしろ市場により多く出回っている価格帯のものの方が一般のリスニング環境をシミュレートする意味でも良いです。
繰り返しになりますが、特に音作りやミックスにおいて通勤中の聴こえ方はあくまで参考として理解すべきものです。
そこでの聴こえ方だけを頼りに制作を進めるのは危険です。
自宅のリスニング環境と比較がしやすいイヤホンを選び、他の曲も聴きながらそのイヤホンの周波数特性を耳で理解しましょう。
まとめ
「時間を言い訳にするな!」とはよく聞く筋肉質な文句ですが、時間はやはり細かいコツの積み上げで生み出せるものです。
限られた時間をやりくりするのもそれはそれで楽しいですよ。
皆さまも通勤時間の使い方をあらためて考えてみてはいかがでしょう?
ライタープロフィール
作曲家・ギタリスト
odasis
サウンドクリエイター・ギタリスト。
・島村楽器「録れコン2017」グランプリ。
・島村楽器「録れコン2015」ベストプレイ賞。
・クレオフーガ「ラフ・ダイアモンドVOL.2」入賞。
ウェブサイト:http://odasis.net
Twitter:odasis