名機メロトロンのサウンドをギターで再現!?electro-harmonix Mel9
「もう普通のエフェクターサウンドは飽きた!」
そんなギタリストに、新鮮なおかつ刺激的なギターのサウンドを追求できるelectro-harmonixのMel9(メルナイン)を紹介したいと思います。
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もくじ
electro-harmonix Mel9 とは?
electro-harmonix(エレクトロ・ハーモニックス、通称:エレハモ)社の独自の技術により、ギターを特にパーツ交換なく鍵盤楽器の音に変換するシリーズの一つです。
このMel9(メルナイン)は歴史的な鍵盤楽器である「Mellotron(メロトロン)」のシミュレーターです。
シンプルなコントロールでややこしい操作は必要ないので、知識がなくても直感的に使用していけますね。
またギター特有のチョーキングやスライド、アームなどの操作にも追従できます。
ちなみにベース(下限:開放A音)、キーボードでも使用できます。
その前にメロトロンってなに?
そもそもメロトロン自体に聞き覚えがない……
という年代のミュージシャンも多くなってきたことでしょう。
メロトロンとは60年代に開発された「アナログ再生式サンプル音声再生楽器」なんです!
これだけじゃ何を言っているのかわからないですね……
ざっくり説明すると、現代でいう「サンプラー・シンセサイザー」の元となった楽器といえるでしょう。
音程に合わせてテープに録音された各楽器を鍵盤の音程操作に合わせて再生するという、理屈は分かりますが正直、無茶な代物です。
ちなみにテープを交換すればなんでもできたので、トラックサンプラーのような感じで一人伴奏などにも使用されていました。
オーケストレーションなどの代わりを担えるかもと期待されましたが、その音質は生演奏の代替えとはなりえずその野望は実現されませんでした。
しかし、その独特の音質から生まれる斬新なサウンドは、当時のミュージシャンに支持され人気を博しました。
ちなみに現在も生産されています。
レッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズは1972年にメロトロンを導入。
スタジオでは聖なる館、ライヴでは同年の日本ツアーでお披露目された。
よく誤解されるが、「天国への階段」のスタジオ録音では使われていない(リコーダーの多重録音)。
ツアーへの導入がされていない時期を収録したライヴ版「伝説のライヴ:How The West Was Won」では実際にはハモンドオルガンで演奏されていた冒頭のパートが、レコード化されるにあたって別時期のライブで演奏されたメロトロンに差し替えられている。
electro-harmonix Mel9 各部ツマミの説明
シンプル操作で扱いやすいですね。
ジャックもドライ(生音)とウェット(エフェクト音)を同時にパラレルで出すことも可能です。
通常はウェットのみにさしてミックスバランスを操作することになります。
DRY
その名の通りギターの音の量をコントロールします。
音色を活かす場合や初めは「0」に設定しましょう。
EFFECT
メロトロンサウンドの量を決定します。
センターを中心に設定しましょう、フルだと少しくどい音になります。
ATTACK
弾いてからボリュームが上がるまでの時間を設定します。
左に振ると短くなります。
立ち上がりが早いほうがいい音色や用途の時は左に振っていきましょう。
基本的にはセンターに設定します。
SUSTAIN
弾き終わってから音が消えるまでのリリースタイムを設定します。
右に振ると長くなります。
余韻のほしい時や空間を広げたいときは右に振りましょう。
コチラも基本的にはセンターに設定します。
こんなサウンドが収録されている
それでは一つ一つ見ていきましょう。
1. ORCHESTRA
重厚なオーケストラサウンドです。
ギターに対して1オクターブ下の音をプラスして発音されます。
3〜4和音くらいのシンプルなコードが合います。
2. CELLO
チェロの音色を使用できます。
5、6弦を使用した時はかなりリアルなサウンドです。
3. STRINGS
4ピースストリングスで美しいシンプルなサウンドです。
コードワークで演奏してみましょう。
4. FLUTE
フルートサウンドですね。
有名なビートルズの「Strawberry Fields Forever」のイントロはメロトロンのフルートサウンドなんですね。
5. CLARINETT
その名の通りクラリネットです。
少し低めからの単音アルペジオがおすすめですね。
6. SAXOPHONE
ほかの音に比べるとやや再現度が鈍い気がします。
ギター音とのミックス、クランチ気味のサウンドとの相性が良いです。
7. BRASS
サックスと同じくです。
コチラもギター音とのミックスがおすすめですね。
軽く歪ませると面白いサウンドです(下記おすすめセッティング参照)。
8. LOW CHOIR
実音に下の音をプラスするクワイアサウンドです。
荘厳な感じのサウンドですね。男声のような印象です。
9. HIGH CHOIR
こちらは上の音をプラスするクワイアサウンドです。
印象的に女声のように聞こえます。
個人的おすすめセッティング例
※シングルコイルのソリッドギター(テレキャスタイプ)での設定です。
オーケストラサウンド
少しパラメータを調整し弾きやすくしました。
ピック弾きを想定しています。
チェロサウンド
単音ソロ演奏を想定した音作りです。
フルートサウンド
上記での触れましたStrawberry Fields Foreverのサウンドに近づけました。
フィンガーピッキングで弾いてみてください。
ブラスサウンド(ギターミックス)
クランチ〜ドライブあたりのギター設定で弾いています。
少しつぶれているものの広がりの深い歪みとなり独特のサウンドです。
エフェクターとしての使用方法ですね。
注:演奏についての注意点
メロトロンのようなサンプラーというよりはあくまでサウンドシミュレート。
それぞれにらしくなる音域があるので把握していきましょう。
使用には専用アダプターを!
規格が分かる人はよく確認しておきましょうね。
うまく発音されなかったりノイズが入ったりします。
基本的にはリアピックアップの使用が推奨です。
特にハーフトーンではうまく音色に変換できません。
Mel9の前にコンプレッサー・リミッターの使用も安定させるにはいいかもしれませんね。
筆者が独断と偏見でざっくり語る!
以前のKEY9に続いての鍵盤シミュレート機種のレビューとなりました。
その時も触れましたがとにかく出来が良いです。
十分実戦レベルというのはいうまでもありません。
KEY9と比べるとトラッキングがシビアで演奏の難易度は高いなというのが率直な感想です。
他の弦のミュートなどはいつもよりシビアにとらないと音色に変換されてしまいます。
スライドやチョーキングにも対応していますがやはり”らしさ”が失わせるので個人的にはなしですかね。
普通に弾くほうがこの機種を使っている意味がありそうです。
私はミックスサウンドでエフェクター的に使う方に興味がわきました。
一風変わった空間系として使うと独自のサウンドになる可能性は感じました。
レトロでサイケなサウンドにはうってつけです。
手軽に当時のサウンドを手に入れられます。
プログレ好きには断然おすすめです!
面白い機種です、一度試してみてください。
ライタープロフィール
ギタリスト
カジワラアキヒロ
京都在住のギタリスト、レッスン、サポート等しながら自身のバンドも活動中。
エレクトロバンドのギタリストとして活動していた時にエフェクターに興味津々。
ただ、マニアという程ではなく愛好家。
現在は宅録を研究中。
ウェブサイト:http://kjwr.hatenablog.com
Twitter:kajiwara_tw_th