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VOCALOID5を使って男声ボーカル曲の歌唱に挑戦してみた
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VOCALOID5を使って男声ボーカル曲の歌唱に挑戦してみた

VOCALOID5.2アップデータが公開されました。

若干の機能向上と付属ライブラリにもアップデートが入ったようです。

前回前々回もVOCALOID5を使用しての楽曲作成をおこなってみました。

強弱のニュアンスが従来のVOCALOID4よりも向上していることがわかりました。

今回は標準の男声ライブラリであるChrisを使用して男声ボーカル曲の歌唱に挑戦してみたいと思います。

今回選択した曲はBilly joelの名曲、「Honesty」です。

Billy joelの楽曲の中でもとくに日本で人気の高い楽曲です。

まずは歌わせてみた結果を聞いてみてください。

強弱の起伏に富んだバラード

「Honesty」は柔らかい歌い出しからラストのサビに向かって盛り上がっていく曲なので、ボーカルもそれに合わせて音量、抑揚ともに大きくなっていきます。

VOCALOID4では音量的な強弱表現についてはDynamicsで表現が可能でしたが、アクセントに弱いということは過去にも述べてきました。

今回の「Honesty」はただの抑揚だけでなく、サビ等で強くグロウルを含む歌唱などがあります。

こういった部分の表現は歌唱合成ソフトでは難しい部分でしたが、VOCALOID5でどこまで表現が可能なのか追究してみたいと思います。

調整の基本はExciter

DAWにオフボーカル音源を作成したらVOCALOID5の音源を立ち上げます。

VOCALOID5はVSTiに対応したシステムですので、VST対応のDAWであれば使用が可能です。

MacintoshのLogicなどのAUプラグインにも対応していますので、Windows・Macともに使用できる環境は多いです。

まずは1レーズごとにVOCALOID5 Editorでコンテナを作成し、メロディを打ち込んでいきます。

メロディを打ち込めたら歌詞を流し込み、パラメーターを調整していきます。

最初は原曲を聴きながらイントネーション、強弱について書き込んでいきます

Exciterパラメーターで聴いた感じの強弱を再現できるようにカーブを書きます。

思ったようにならない、なんか違う……と感じる時は、自分で口ずさんでみてどこにアクセントがあるか確認し、Altキーを押してアクセントのある音節がどこにあるか確認していくと調整がしやすくなると思います。

VOCALOID5

音程やクレシェンドで声を変化させる

高い音程に飛んだ場合の声のうわずり(音程ではない)や低いロングトーンでクレシェンドして声が太くなるような表現は、Characterパラメーターを変化させることで再現ができます。

サビの高い音程の部分では、必ずCharacterパラメーターも高くして声色を変えるようにし、原曲の歌唱に近づける努力をしてみました。

サビ導入前やサビ終わりのロングトーンは、逆にCharacterパラメーターを下げる部分を入れて声の太さを増すようにしています。

Exciterと合わせてCharacterパラメーターを調整していくことで、より繊細な表現に近づくことが可能になります。

フレーズサンプルを活用する

VOCALOID5には大量のフレーズサンプルが付属しています。

今回もブレイク部分の「oh ooh」というフレーズの部分は、フレーズライブラリから近い歌唱のフレーズを取り込み、音程とアクセントを調整して挿入しました。

アクセントや特徴的な歌いまわしなどの癖、発音記号の使い方などの参考としてもフレーズライブラリは非常に便利です。

とくに初心者でどうしたらいいかわからない人は、フレーズライブラリからフレーズを引用して中身を確認してみると参考になると思います。

前回の記事で作成した楽曲の歌唱データも配布していますので、よろしければ活用してみてください。

VOCALOID 5とIAでStarry Lovers

歌唱スキルやライブラリの癖が出てしまった場合

今回のアップデート(5.2)でスキルの癖が強く反映されてしまう箇所がありました。

意図しない場所でピッチが跳ねたりした場合は、その部分をEmotionツールでパラメーターを下げます。

ゼロにかなり近い所まで下げてしまうと音程の跳ねがなくなりますので、意図しない部分についてはEmotionを下げてからピッチベンドで動きを書くようにして対応しましょう。

歌い出しや音符の末尾の部分であればAttack、Releseエフェクトで上書きしてしまうのも手です。

今回のデータではしゃくり上げの部分は、Attackエフェクトで入れた部分と有声音を伴う部分については装飾音符を入れた部分とで使い分けをしています。

「Attack、Releseエフェクトは使いにくい、結果が良くならない」という声も聞きますが、適材適所でうまく割り当てれば表現力を作りつつ手間の軽減も可能になります。

ライブラリの方向性が重要

「Honesty」を入力するにあたって終始気になったのはChris自体の声で、Billy Joelのようにもっと太く落ち着いた声にしたいと思っても、パラーメータの調整ではどうにもならない部分がありました。

これまでChrisとAmyを使用してみましたが、標準付属のライブラリはちょっと荒さが目立つ気がします。

サードパーティなどから発売されているほかのライブラリの結果を聴くと、やはり曲の方向性にあった追加のライブラリの導入はした方がいいと思います。

まだまだ底が見えない

今回の結果はいかがでしたでしょうか?

まだ癖をとらえきれていない部分もありますが、従来のVOCALOIDから明らかに表現力が増している部分があるなど、VOCALOID5の可能性を少しでも感じていただけるものになっていればうれしく思います。

まだまだVOCALOID5の性能をフル活用できておらず、VOCALOID5の性能の底は見せてくれないようです。

人間の歌唱へ近づけることも、VOCALOIDでなければ歌えないフレーズも、いろいろな活用の方法はあると思いますが、VOCALOID5が使いこなせるようになればすてきな作品を作る助けになると思います。

ぜひVOCALOID5を使ってみてくださいね。

ライタープロフィール

みるくここあ

DTMer

みるくここあ

元IT技術者。

ウィンドシンセを使います。

VOCALOIDやCeVIOを使って曲を作ってみたり、ボーカルを迎えて曲を作ってみたりしています。

元々楽器の練習用にオケを作るだけだった半端なDTMerでしたがVOCALOIDに出会い、その変遷に付き合っていくうちに深みに嵌っていたただの音楽好きです。

VOCALOID 2 MegupoidとVOCALOID 3 IA、そしてCeVIO Creative StudioのONEを使用しています。

ウェブサイト:http://milkcocoa.org

Twitter:milkcocoa_org

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