クラシックギターのペグ(糸巻き)の交換方法
クラシックギターでチューニングがしづらい、音が合わないなどトラブルは、ペグ(糸巻き)に原因がある場合が少なくありません。
ペグもよく欠損する消耗品なのです。
今回はペグの交換方法について解説したいと思います。
クラシックギターのペグ(糸巻き)のトラブル
クラシックギターのよくあるトラブルの1つとして糸巻きの故障があります。
ペグの歯車や弦を巻きつける弦倉(ヘッドの空洞にある白い棒)の欠損が故障の主な原因ですが、これはわざわざ修理に出す必要もなく自分で簡単に直せるのです。
以下を見てください。
クラシックギターを長く弾かれている方でも意外と知らない方も多いのですが、この糸巻きの部分だけで販売されているのです。
インターネットで「クラシックギター 糸巻き」と検索してみてください。
アマゾンなどの通販サイトなどでも簡単に購入できますし、安価なものであれば2000円程度ですので自分で簡単にメンテナンスできるのです。
糸巻きの交換方法
まずはすべての弦をはずしておきましょう。
そうしたら糸巻きを横から見てくさい。
金属部分の両端と各ペグの間あたりに合計4本のネジがあります。
ドライバーを使ってその4本のネジを抜いてください。
そうしたら以下のようになります。
これらのネジを抜くと糸巻きをヘッドから取り外すことができるようになります。
写真は糸巻きをヘッドから抜き取った状態です。
後は、新しい糸巻きをヘッドに取り付けてネジを締めれば完了です。
歯車が故障した場合のメンテナンス方法
次に紹介するのは、先ほど解説したように糸巻きをそっくりそのまま交換するのではなく、壊れた歯車のみを交換する方法です。
糸巻きのトラブルにおいて、糸巻きごと交換することのできない場合がいくつかあります。
その主な例として
- 高級なギターであること
- 一般的なギターとサイズが異なるギターであること
が挙げられます。
高級なギターには高級な部品や装飾を施した糸巻きが使われている場合も多く、愛着のある糸巻きの姿かたちを変えたくないという方がほとんどだと思います。
そういった場合には、どんなものでも良いので糸巻きを1セット購入して、欠損した歯車や弦倉だけを交換すれば愛着ある糸巻きの外観を損なわずにメンテナンスができます。
また、サイズの異なるギターの場合には、一般的なサイズの糸巻きがつけられないことがあります。
私も若干小さ目のクラシックギターを愛用しているため経験があるのですが、有名なギターの工房にも同じサイズの糸巻きがなく、取り寄せにもかなり時間がかかるとのことで大変困った思い出があります。
そのような場合には、先述のように糸巻きごと交換するのではなく部品だけを交換すればよいのです。
歯車の交換は非常にシンプルです。
まずは以下を見てください。
歯車を留めている黒いネジがありますが、それをドライバーを使って抜き取れば歯車を外すことができます。
後は、新しい歯車を取り付ければ完了です。
弦倉のみを交換する場合も同様の作業で行うことができます。
メンテナンスについての余談
今回解説した糸巻きの交換のように、クラシックギターの大抵のトラブルは自分で簡単に解決できます。
私はエレキギターも弾くのですが、クラシックギターはエレキギターと比べて「メンテナンス」と呼べる作業はほとんどありません。
塗装やフレットの打ち直しぐらいでしょうか。
それに対してエレキギターの奏者はピックアップの交換、ジャックの交換、ブリッジの調整などさまざまなメンテナンス作業を行わなくてはなりません。
演奏者はツールとしての楽器を弾くだけではなく、どんなギターであっても、自分が普段愛用しているものであればきちんと手入れをして、メンテナンスをして、楽器を知り、敬うことがとても大切だと思います。
考えてみれば、今こうしてギターが弾けるというのはとても幸せなことなのですから。
なので少しずつ知識がついてきたら、すぐにリペアマンに頼むのではなく自分でトラブルを解決するようにしてみてください。
今回は「クラシックギターの糸巻き(ペグ)の交換方法」について解説しました。
ライタープロフィール
ギタリスト
大沢稔
作曲家、ギタリスト、マルチインストゥルメンタリスト。
パリ国立地方音楽院クラシックギター科卒。
フランスのブーローニュ・ビヤンクール国立地方音楽院、オルセー県立音楽院のクラシックギター科教授歴任。
現在、新潟県上越市にて自身の創作、演奏活動を、また、ギター・英語・フランス語教室を主宰している。
大沢ギター・英語・フランス語教室
http://minoruohsawa.wixsite.com/ohsawaguitar