初めてのフィンガーピッキング。フォームを作るエクササイズ
今回はフィンガーピッキング(指弾き)のフォーム作りのためのエクササイズをご紹介します。
どんな方でも自分にあった自然なフォームが身につけられるエクササイズですので参考にしてみてください。
1. 今回のエクササイズ
今回はこのエクササイズを用いて、自分自身の指弾きフォームを身につけるトレーニングをします。
演奏フォームは人によって千差万別ですが、良い演奏をする人のフォームには共通点があります。
それは自然な状態(リラックス・脱力した状態)であることです。
これはギターに限らずどの楽器にも共通して言えることです。
どの楽器においても優れた奏者はリラックスした自然な状態で楽器を演奏していますし、逆にぎこちないフォームの奏者の音はぎこちなくなってしまいます。
一世代前に速弾きギタリストとして有名だったクリス・インペリテリは当時のギタリストとしては確かに速弾きにおいては優れていましたが、演奏フォームはといえば非常に力んでいて、私個人としての意見ですが、音の流れも良いとはいえないものでした。
一方、例えばアニマルズ・アズ・リーダーズのトーシン・アベイシなどの現代のプレーヤーのフォームは完全にリラックスしきった自然なフォームで音色も音量も自由自在です。
また、力みのある不自然なフォームは怪我(けが)にもつながるので、リラックスのできた自分自身のフォームを身につけるようにしましょう。
2. 演奏例
エクササイズの動画があるので参考にしてみてください。
動画「エレキ」
動画「クラシック」
3. エクササイズのポイント
このエクササイズでは3弦の開放弦のソの音をi(人差し指)で、2弦の開放弦のシの音をm(中指)で、1弦の開放弦のミの音をa(薬指)でそれぞれ4回ずつ弾きます。
音を出す前にここで重要なポイントがあります。
ギターを構えたら右手親指を4弦に、人差し指を3弦に、中指を2弦に、そして薬指を1弦の上に乗せてください。
その時、演奏例の動画にあるように親指と人差し指が離れた状態(親指が他の指の下に隠れないような状態)に必ずしてください。
できましたか?
これがあなたのフォームです。
それでは動画にあるようにエクササイズにトライしてみてください。
4. 練習のコツ
ここでこのエクササイズの練習のコツを解説します。
これまでの解説でひととおりエクササイズは行えたと思いますが、もちろんこれだけでは自然なフォームを身につけることはできません。
前回の記事で説明したようにループトレーニングが必要です。
前回:フィンガーピッキングの超基本エクササイズ
ループトレーニングを通して以下の点を修正するように心がけてください。
- 手、体全体を固定しないこと
- 手首を固定しないこと(手首がぶらぶらな状態になるようにしてください)
誰でも初めのうちは必ず力んで体中が硬くなってしまいます。
その力みをほぐしていくようにループトレーニングをしなければなりません。
1の点を直すには一音弾くごとに足でカウントを取るのが効果的です。
カウントを取ることは単にリズムのキープだけではなく、音に合わせて体を動かすリラックス効果があります。
なので足でカウントを取りながらループトレーニングをするだけでも十分な効果を得ることができるのです。
2の点について、手首の力みを取るのは容易ではありません。
前提として体中がリラックスした状態でなければなりません。
ポイントとしては、ループトレーニングを通してある程度エクササイズに慣れてきたら「指先で弾こうとは思わない」ことが重要となります。
弦に接触するのは確かに指先ですが、音をコントロールするのは体全体、もう少し踏み込んで言えば肩から腕にかけての部分です。
その感覚が身につけられれば少しずつ手首の力みが取れていきます。
フォーム作りはなかなか簡単にいくものではありませんが、このエクササイズを通して地道に挑戦してみてください。
あなた自身のフォームがきっと見つかりますよ。
今回は「フィンガーピッキング、フォームを作るエクササイズ」について解説しました。
ライタープロフィール
ギタリスト
大沢稔
作曲家、ギタリスト、マルチインストゥルメンタリスト。
パリ国立地方音楽院クラシックギター科卒。
フランスのブーローニュ・ビヤンクール国立地方音楽院、オルセー県立音楽院のクラシックギター科教授歴任。
現在、新潟県上越市にて自身の創作、演奏活動を、また、ギター・英語・フランス語教室を主宰している。
大沢ギター・英語・フランス語教室
http://minoruohsawa.wixsite.com/ohsawaguitar