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【指弾きギタリストのための】爪の整え方について
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【指弾きギタリストのための】爪の整え方について

指先が薄い人、丸く太い人、薄い爪、厚い爪、幅の広い爪、幅の狭い爪、各指の長さ、手を握った時の各指の関節の角度など、指や爪は、非常に個人差がありますので、奏者によって爪の整え方は異なります。

自分の指、爪と相談しながら、地道に最適な爪の整え方を研究する必要があります。

爪の削り方

ギター指弾き(フィンガーピッキング)

i(人差し指)、m(中指)、a(薬指)をすべて1弦にそろえた時の、爪と弦の角度がすべて同じになる人は、音質がそろいやすい非常に恵まれた指の形、爪の形をしています。

1指だけ、または、すべて爪の角度が違う人は、各指の爪の削り方を工夫する必要があります。

ちなみに、私の場合は、爪の形状、角度がすべて異なっていますので、完全に同じ音質で弾くことはできませんが、それぞれの指の個性に合わせて弾き分けています。

爪の削り方は、求める音色・音質などによって異なります。

時間がかかると思いますが、必ず自分にあった形がありますので、研究してください。

1. 基本的な形を整える

ギターを弾くための爪の形

すべての指の爪が緩やかに湾曲している人は、指先に沿って爪を整えるだけで、良い音が得られる場合が多いようですが、この削り方で低音弦を弾くと、うまく弾かないと擦過音がでる場合があります。

このため、近年は、直線的に削る人が増えています。

タッチとの関係もありますが、この削り方ですと、弦上を爪が滑っている時間が短いため、低音弦の擦過音が減るとともに、引っかかりが少なくなるため、立ち上がりの良い音が得られるようです。

親指の爪については、スムーズにぬけるように、弦に近いほうを削るのが一般的です。

肉から爪に移行するときに、カチッという音がでてしまう人は、図のように手の甲側から見て左側の根本部分を少しずつ伸ばして、最適な長さまで調整していってください。

カチッいう音がでたままで弾き続けると親指の根本部分の関節を痛めますので注意してください。

2. 爪の断面と音質・音色

爪の形(ギター)

爪の形がきまったら、次に爪の断面を整えます。

断面の形によって、音色・音質は大きく変わりますので、丁寧に仕上げてください。

サンドペーパーを使って奇麗に磨き上げるのですが、具体的な断面と音の違いを説明します。

1000番程度の荒目のサンドペーパーやガラス製のヤスリなどで外形が決まったところで、断面を観察します。このとき爪の断面を横から見ると、直角になっているはずです。(図1)

1200番程度のサンドペーパーで少しずつ、爪の表側、断面、裏側も丁寧に磨き、バリをとり、爪の断面の角を丸くしていきます。

最後に、2000番以上のサンドペーパーや皮などで表面をつるつるになるまで、研磨するというのが大きな流れです。

爪を磨いていく過程で最も音色を左右するのは、断面のR(曲線の角度⊂)です。

Rが緩やかな程柔らかい音が出やすく、Rが急な程、明るい、軽い音がでます。(図2)

基本となる音色の好みで仕上げ方を工夫してください。

また、最終的に弦から爪が離れるポイントは、爪の1点ですが、タッチ(爪の左、爪の右、弦に対する角度、弾く位置、アポヤンド、アルアイレ)によりその一点の場所は異なります。

断面をすべて美しいRに仕上げ、どのタッチでもきれいな音がだせるよう音を出しながら微調整して断面を仕上げてください。

最初は、虫眼鏡で断面を観察しながら調整するぐらいが良いでしょう。

慣れて来ると、指先で爪を触っただけで、うまく磨けているかどうか、大体わかるようになります。

爪がとても薄い方も同様に削るのが基本ですが、Rはどうしても急角度になります。

また、タッチを違えることによる音質・音色の差は厚い爪の人に比べて不利なことは否めません。

名手ジュリアン・ブリームも爪が薄いそうですが、アポヤンド、アルアイレの度合いを大きく変化させたり、サウンドホールからブリッジまで幅広くタッチする場所を積極的に変えることで素晴らしい音楽を奏でています。

3. 各指の爪の長さ

各指の爪の長さ、バランスのとり方について説明します。

まず、a(薬指)の長さを決めます。

普通の姿勢をとるとaは一番弦から遠い位置ですから、少し長めに伸ばす人が多いようです。

aは指を寝かせ表面板に押し込むアポヤンドを使い、メロディーラインを弾くことが多いため、爪を伸ばした方が弾きやすいのですが、長すぎると指を立てた状態で弾くことが多い他の指とのバランスが崩れ、トレモロなどが弾きにくくなります。

肉と爪で同時に弦を引っ張れで、かつ、指を反らさずにアポヤンドができる長さが基本です。

次に、aを基準にmの長さを決めます。

6弦にp(親指)、1弦にa(薬指)、2弦にm(中指)、3弦にi(人差し指)をセットした状態のまま、piを動かさずに、aとmの重音を弾きます。

この時、上に引っ張り上げてはいけません。

手を握るように弾いてください。引っかかることなくスムーズに同時リリースできる長さがmの長さとなります。

同様にpaをセットしたままの状態で、mとiで重音を弾いたときに、引っかかることなくスムーズに同時リリースできる長さがiの長さとなります。

最後にpをセットしたまま、amiで和音を弾き、どの指も引っかかりがないことを確認します。

どれかの指が少しでも引っかかるようであれば、その指の爪を少しだけ削って微調整します。

Pの長さですが、爪の形状、生え方、指の肉のつき方や肉の厚みによって長さは大きく異なります。

肉と爪で同時に弦を引っ張れる長さを基本に各自で研究してください。

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ライタープロフィール

本越クラシックギター教室

本越クラシックギター教室

本越 努。

1957年生まれ。

14歳よりクラシックギターを始める。

関西学院大学入学とともに近藤敏明氏門下の川西勇氏に師事。

(同門のギタリストには、猪居信之氏、福山敦子氏)大学のクラシックギタークラブ及び関西学生ギター連盟の演奏会においてコンサートマスターやソリストとして活躍。

(アラビア風奇想曲(タレガ)、ファンダンゴ(ロドリーゴ)、郷愁のショーロ(バリオス)、朱色の塔・マジョルカ(アルベニス)ほかを独奏)卒業にあたりプロを目指すかどうか迷う。

恩師には勧められたものの、事情により会社勤めを選択。

定年を前に、一人でも多くの人にクラシックギターの魅力を伝えたいという思いに駆られ、教室を開設。

現在、小学生から定年退職された方まで様々な年齢の方々が来られています。

ウェブサイト:http://motokoshi-guitar.com

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