ギターピックの種類と選び方・おすすめ(金属素材・その他編)
ギター・ベース用として市販されているたくさんのピックの中から、金属素材・その他素材の感触やサウンドの特徴、その使い方・選び方についてをわかりやすく解説します。
音楽スタジオのベテランスタッフがレビューしてみました。
【素材別レビュー】
もくじ
金属素材
ステンレス
広く普及した金属でサビに強いので電車の外装や水回りなどに使用されています。
レビューモデル
Fernandes STAINLESS 0.8mm
素材の感触
マットですがひっかかりもあります。
持ち心地はやはり硬めですが、反発などはそこまで感じません。
しなりは全くないので力の入れすぎには注意です。
金属ピック全般に言えますが、弦への負担に気をつけましょう。
サウンドの特徴
音はやはりどっしりとしてロー、ハイが押し出される印象です。
立ち上がりが早く、重さから音量や厚みがでるなど、金属ピックにあるややメタリックな響きですが音自体は丸いです。
しっかりと形が見える音像もありヘビーな歪みと相性がいいです。
歪みならやはりロック系、クリーンはジャズなどにも使用できそうな感じです。
やはり重いので省エネ奏法されている方は負担に感じるでしょう。
速弾きは正直重さを感じるのでやや苦手かでしょうか。
慣れると普段のピックにはないインダストリアル感が出せるので克服して個性とするのも一考です。
チタン
チタンは航空・宇宙分野などでも広く使われる、強くて軽い耐食性に優れた金属です。
表面も滑らかでとても弾きやすく激しいピッキングにも耐えますが、ピックスクラッチはやりにくそうです。
レビューモデル
BIG-WEST CREATION Ti
素材の感触
丈夫でまず減ることがない代わりに弦の磨耗が早いので注意が必要です。
重さをしっかり感じる厚み以上の質量感があります。
そのため早弾きを繰り返すと慣れるまでは疲れます。
ピッキングの際、弦に対してやや滑る印象があるので難易度は高めです。
また、厚みもあるのでピッキングテクニックも要求されます。
サウンドの特徴
いわゆる金属質な音質ではなく、意外にも丸く太い音です。
硬く質量があるので発音が早く音量が大きい。
また、倍音がよく出てふくよかな感じだがサスティーンは少なめ。
ローがずっしり出てハイが弱めなのでカッティングには不向きですが、意外とジャズでフルアコなどを弾くときに向いていると思います。
単音のメロディーでも存在感を出してくれる。
例えるならパットマルティーノが石ピックを使っていた時の音に近い。
歪みではかなり重量感のある音がするのでハードロック、メタルでのリフ演奏時に威力を発揮する一方で、ピックスクラッチをするとかなり金属質な音がしてやりにくいです。
アルミニウム
ごく一般的な金属で生活にも馴染みがあるかと思います。
金属の中では軽量な部類で1円玉の他、基本的には合金として使用されます。
レビューモデル
BIG WEST CREATION Al
素材の感触
金属ピックの中では群を抜いて軽い素材です。
ピッキングに負担が少ないので金属のピックを使いたいけど 重いのはちょっと、という方は使用してみては。
硬さはいわゆる金属の硬さなのでしなりなどはありません。
サウンドの特徴
硬さがあるので立ち上がりが早く輪郭のハッキリした音が出ます。
他の金属と違って重さがないので音の厚みや音量は通常のピックとあまり変わりませんので、一般的な素材のピックからも移行しやすいかと思います。
特有の倍音も抑えめですが、弦に当たるときには金属らしい音がするので特性も生かせます。
音は硬すぎずローは抑えめでハイがキレイに出ていくので ロック系に向いているかと思います。
亜鉛
いろいろな金属との合金として使用されることも多く、身近な金属の一つであるといえます。
人体に必須の金属としても有名です。
レビューモデル
Clayton製 Premium series ZZ-Zinc 1.00mm
素材の感触
金属らしい硬い感触ですが、金属の中では重さはさほど感じません。
どしっと重くギターリフを弾くのに向いています。
低音弦にも全く負けないのでしっかり振動させることができるでしょう。
ただし、大きさもあり手のなじみは良いとは言えませんので、ある程度ルーズに握りコントロールすることをお勧めいたします。
サウンドの特徴
金属らしいインダストリアルな出音が印象的です。
ハイが出過ぎないので耳が痛くなく、ロー~ミドルローあたりがよく出てきて低音のリフが映えます。
音量も良く出るので迫力ある演奏ができます。
金属ピックに共通ですが、ヘビーな歪みに使用するとかっこいいため、リフに重さと迫力が出てよりハードな音楽らしさが加わるでしょう。
音量の大きさを利用してジャズギターに使用するのも面白い素材です。
ブラス
日本名は黄銅(こうどう)、亜鉛が多いものは真鍮(しんちゅう)と呼ばれ、5円玉や仏像などに使用されます。
ギターではナットにしようされていたり、シールドのプラグに使用されていたりします。
酸化が早いので通電部に使う場合は磨く必要がある場合があります。
レビューモデル
BIG WEST CREATION Bs
素材の感触
ツルツルとした触り心地で酸化してくるとマットになってきます。
金属らしく見た目よりも重さがあり、硬さもあるのでしなりはありません。
速弾きなどの時はテクニックと慣れが必要でしょう。
サウンドの特徴
金属素材の中ではハイやプレゼンスがかなり強調される方です。
硬さ、重さがあるので音に輪郭と質量がでますので、いわゆる金属ピックにあるハイの帯域がキンキンするイメージどおりの音がする素材です。
金属で弾いたという実感が得られるのでこの質感がほしい時はハマります。
歪ませすぎるとハイの帯域が潰れて分離が悪くなるので、使用する際は音作りから気をつけて設定しましょう。