ギターピックの種類と選び方・おすすめ(金属素材・その他編)
ギター・ベース用として市販されているたくさんのピックの中から、金属素材・その他素材の感触やサウンドの特徴、その使い方・選び方についてをわかりやすく解説します。
音楽スタジオのベテランスタッフがレビューしてみました。
【素材別レビュー】
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金属素材
洋白(ニッケルシルバー)
洋白(ようはく)は銅と亜鉛、ニッケルから構成される合金で、洋銀、 ニッケルシルバーとも呼ばれ、フィンガーピックなどで使われます。
シルバーと名前に入っていますが基本的に銀は含有されていません。
楽器ではフルートがニッケルシルバーで作られています。
洋銀貨はこれに銀を混ぜて作られるほか、日本では500円玉の素材として有名です。
混ぜる材料を変えることで様々な特性を付与できることから日常の様々なものに使用されています。
レビューモデル
DAVA Master CONTROL ニッケルシルバー
素材の感触
試奏モデルが持ち手の部分をナイロンで包んだものだったので厳密にニッケルシルバーの持ち心地というわけではありません。
金属部は表面にざらつきがあり弦に擦れる音が大きいですが、硬さもあり重さが適度なので弾きやすいかと思います。
サウンドの特徴
金属特有の立ち上がりの早さと音量の大きさが特徴で、ハイ、ローがキレイに出てくれます。
サスティーンの伸びがよく弾いていて気持ちがいいです。
クリーンでコードなどを鳴らすと少しうるさく感じるかもしれませんが、本領はやはりディストーションでのソロワークでしょう。
発音の良さからサスティーンの伸びまでかなりの好感触で、クリーンでのソロも厚みがあり存在感を出す事ができます。
単音フレーズに向いているピックと言えるでしょう。
摩擦が少なすぎてはじく音が出せないので、ブルースなどでエッジを立てる音を出す方にはあまりは向いていません。
ピューター(スズ)
スズを主成分とする低融点合金で主に工芸品や装飾品、メタルフィギュアなどに用いられています。
最近では電子機器の部品としての使用が有名です。
ピューターはすずの合金で強度を上げる目的があります。
レビューモデル
PICKBOY
素材の感触
見た目はテカリがありかなりツルツルとしています。
脂がつきやすくぬるっとしてくるので滑りやすい素材なので、滑り防止の加工があるものも多いです。
金属なのでもちろん重いですが、見た目ほどの重さは感じません。
サウンドの特徴
試奏モデルの加工のせいもありますが重く丸い音がします。
ハイよりはローが押し出される印象で、どっしり重く音量・質量がある音色です。
ジャズ系の単音弾きがなどアダルティーで広がりのある音楽に向いています。
歪は重く太い音がするので低音のリフなどが好印象です。
重いピック全般にいえる速弾きの難しさは健在ですのでソロ使用時には練習が必要です。
銅
あらゆるところで使用されている金属で、身近なものでは10円玉の素材です。
導電性の高さから線材として使用され、ギターケーブルの芯材やシールド線も銅線である場合が多いです。
金属の中では柔らかい部類に入るかと思います。
欠点としてはすぐ変色して黒くなることがあげられます。
レビューモデル
beadaholique
素材の感触
金属らしい触感と金属ピックの中では軽めの重量が特徴で、アルミよりは重いくらいでしょうか。
しなりが全くない上、柔らかいので曲がりますが、一度曲がると元通りにするのは困難です。
「この商品に限って」はですがピックメーカーのピックではないので、スタンピングによるバリが目立ちました。
ヤスリ等で成形したほうがよいでしょう。
サウンドの特徴
金属らしい早い立ち上がりと強い発音が特徴で、軽さから音の質量が程よい感じです。
軽い金属ピックは一般的にイメージされる金属らしいきらびやかな響きが発音されます。
すっきりした音像と適度な音量感、インダストリアルな響きがディストーションとの相性が良く、クリーンで使うとキラキラした音像がジャンルによっては効果的でしょう。
逆にふくよかな響きがほしいジャンルでは使いにくいかと思います。
銀
どちらかというとアクセサリーの一種ですが、もちろん実際に弾くことも可能です。
過去にシルバーアクセサリー用の銀粘土キット(1枚分)が 5,000円くらいで販売されていました。
その他の素材
セラミック
陶器質の材質で硬度が高く丈夫なため音のばらつきが少なく、カラッとした明るい音色のカッティング中心のプレイによく合います。
レビューモデル
PICKBOY SOFT 0.50mm
素材の感触
剛性と柔性を伴った独特のタッチが特徴で、一般的なピックに慣れていると弾きこなすまでに練習が必要です。
特性なのか弦振動が指に伝わりにくいので細かいニュアンス付けが難しく感じます。
サウンドの特徴
音は立ち上がりが早く、カラッとドライな印象。
ミドル~ハイがよく出てローが引っ込む印象なのでカッティングがしやすい。
個人的にはダンエレクトロやビザールギターに使ってみたい。
ファンクのようなキレの良さを求められるジャンルに向いていると思います。
歪みをのせると独特の音像になるため、ディストーションを使ってもスッキリさせたい時など個性的な音作りに使用するなど面白そうです。
ケブラー
ケブラー繊維は広義では樹脂系素材に入り、高硬度、高耐熱性をもち同じ重さの鋼鉄と比べて5倍の強度をもちます。
硬さにはいろんな種類があり最も硬いケブラ-49は防刃ベスト、船体や飛行機などに使用されています。
弦の抵抗をほとんど感じない新感覚のピッキングニュアンスが得られます。
レビューモデル
Essetipicks / EASY Mini R
素材の感触
表面はマットで、ややざらつきがありますが、重量が軽く、ピックの回りがいい感じです。
硬さがかなりあるので立ち上がりが気持ちいいです。
試奏モデル自体も単音弾きやソロワークがしやすいようにしてくれています。
最近増えてきたピックに角度をつけた形状で、オルタネイトでもひっかかりがない様に加工されています。
そのため、右利き/左利き用があります。
サウンドの特徴
はっきり発音されますが、音は樹脂素材的な柔らかさを持っています。
音質はスタンダードな方面で、扱いやすい部類のピックだと思います。
軽く硬い素材は基本的にサスティーンには乏しい印象ですがそれも適量の範囲内におさまっています。
クリーントーンのメロディーラインの演奏などに向いています。
歪みで使用してももちろんいい感じですがハイが出にくいのでエッジの効いた音には設定しにくい印象です。
先端に捻りを入れる加工は最近の流行りですが、受け流されてしまうのでエッジを立てる弾き方には向きません。