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ギターピックの種類と選び方・おすすめ(金属素材・その他編)

ギター・ベース用として市販されているたくさんのピックの中から、金属素材その他素材の感触やサウンドの特徴、その使い方・選び方についてをわかりやすく解説します。

音楽スタジオのベテランスタッフがレビューしてみました。

【素材別レビュー】

その他の素材

ファイバーテックス(FIBERTEX)

ファイバーテックス

ファイバーテックスはPICKBOY社のオリジナル素材で登録商標となっており、グラスファイバーとナイロン6をピックに適した割合で合成した素材ということです。

グラスファイバーは釣竿などに使用されている素材で硬くてよくしなる素材です。

ナイロン6は釣り糸などに使用される耐摩耗性の強い素材です。

レビューモデル

PICKBOY FIBERTEX 1.00mm

素材の感触

サラサラとした独特の触感のある素材で軽いです。

汗をかいても大丈夫です。

硬さもありカーボン素材より少し弾性があるという感じでしょうか。

弦に少しひっかかる感じがありますので抵抗があるのが好きな方向きです。

サウンドの特徴

カラッとしていて発音がよく、大変音場がスッキリして気持ちいいです。

音に厚みがいらない場合は使用しやすいかと思います。

音量も出しやすく使い勝手がいいです。

歪みでもかなりすっきりして聞き心地がいいです。

硬く輪郭のはっきりしたレスポンスのいい音ですのでハードなジャンルでもバンドサウンドを邪魔しないでしょう。

クリーンではカッティングやリフの曲に、歪みではハードロック・メタルなどに向いているかと思います。

浅めの歪みでもよく発音されますが、スッキリしすぎて厚みや粘りのなさが気になるかもしれません。

PET(リサイクル)

エコピック

回収したペットボトルから作ったエコピックというものもあります。

PETは正式にはポリエチレンフタラートといい、ペットボトルの「ペット」の由来でもあり、リサイクルとしても比較的普及している樹脂なので値段も意外にリーズナブルです。

最近ではTシャツにもなっています。

レビューモデル

ECO PICK SANKAKU 1.00mm

素材の感触

ペットボトルと聞くと弱そうですが、樹脂素材の中では硬めの部類に入ります。

減りも少ないですが、突然ケバ立ちが現れたりしていました。

素材的にはスタンダードな樹脂素材なので一般的なピックと比べてもなんら遜色(そんしょく)ありません。

まさにこの商品の狙い通り、音楽の現場からエコ活動に一役買うのも一興ですね。

サウンドの特徴

音色に関してもスタンダードなものになっており、非常に使いやすいく突出した音がない代わりに邪魔になる部分もありません。

あらゆるジャンルに使用しても問題ないでしょう。

セルロイドに比べるとやや硬さがありますが音に反映されるほどではありません。

少し音に厚みが出ていてハイが少し引っ込んでいる印象があるくらいですね。

もちろん深く歪ませてもいい感じでなので、個性が欲しいときは変えてみるのも手です。

軟質プラスチック(サイレントピック)

サイレントピック

柔らかい素材のピックで、弾く力を吸収し音を小さくします。

サウンドの変化が比較的少なくギター本来の音が楽しめるのが最大の魅力ですが、とちらかというとストローク向きですので、単音弾きやアルペジオでは慣れが必要です。

極限まで薄く加工され肉抜きもされていますが、素材は切れないような材質で出来ています。

弦に対して抵抗がなく音量が下がります。

レビューモデル

香取製作所 Silent pick

素材の感触

あくまで騒音対策用なので弾きやすさや音質に関しては考えられておりません。

感触が通常のピックと違いすぎるのでこのピック自体の練習がいる、という感じ。

確かにアコギの音量はマンションなどでは深刻な問題なので、それでも練習がしたいという時に使用してみましょう。

サウンドの特徴

キレイに音量が下がります。

ただし、ペラペラとした音になり厚みは皆無ですので、音質は考えないことにしましょう。

油断して指が当たるとそのままの音量が出るので注意しましょう。

早弾きや単音の演奏は正直難しいのでアコギのストローク練習がメインでしょう。

形状記憶合金(SMA)

形状記憶合金

形状記憶合金は正式にはShape Memory Alloyといい、ある温度を加えると元の形に戻るという金属の総称です。

何もしなくても元に戻るというものではないので要注意。

また、激しく曲げたり熱しすぎると効力を失います。

身近なところでは下着のワイヤーなどに使用されます。

レビューモデル

吉見製作所 Line PIck 0.60mm

素材の感触

いわゆるワイヤーピックです。

元々エッジ部しか当てないので枠だけあれば弾ける、という考えです。

弾き心地は不思議な感じで触感ではピックの先がない、と錯覚してしまいますが、弦に当たれば違和感は解消されます。

想像よりも弾き心地は普通で逆に少し弾きやすいくらいです。

金属でありながら弾性があり、重さも軽量で思いのほか好印象を受けました。

サウンドの特徴

金属的な音質ではなく、かといって樹脂的な音でもない独特の音質になります。

決して使いにくい音ではなく、非常に滑らかな汎用性のある音で、ミドルがよく出てきます。

ロー、ハイはやや抑えめで、エッジを立てたプレイは厳しいですね。

独特の内側にへこむ弾性なので激しいピッキングをするとやはり負けてしまいます。

カッティングも少しやりにくいです、音は立つのですが。

クリーン~オーバードライブあたりでコードワークをするのに向いていますね。

ポップロック方面の演奏では問題なく使用できるでしょう。

兎にも角にも弾き心地と持ち心地になれることが重要ですね。

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

超高分子量ポリエチレン

孤高のギター伝道師、JINMO氏が約40年かかって辿り着いたという究極のハイテク素材。

驚く程滑らかで美しい音が特徴。

防弾ヘルメットに使われるほどの耐摩耗性と自己潤滑性により、アタック時の摩擦ノイズが殆どなく波形は正弦波に近いという。

残念ながら一般には出回っていませんが、そのインパクトのあるルックスと相まって大変興味深いピックです。

ルミナス(LUMINOUS)

ルミナス

暗闇で発光する特殊素材。

厳密には素材ではなくコーティングの一種ですが、暗いステージ上でも存在を強くアピールできます。

最後に

ピックが変わるだけで音の出方や、弾き方そのものも変わってきます。

音を変化させるのに一番低コストで済むのがピックです。

表現したいニュアンスによって変えてみてはどうでしょうか。

いろいろ試して、ライブやレコーディングに役立てて下さいね!

参考になれば幸いです。