ギターピックの種類と選び方・おすすめ(樹脂・プラスチック素材編)
ギター・ベース用として市販されている様々なピックの中から、20種類以上の樹脂・プラスチック素材の感触やサウンドの特徴、その使い方・選び方についてをわかりやすく解説します。
音楽スタジオのベテランスタッフがレビューしてみました。
【素材別レビュー】
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樹脂・プラスチック素材
PPS
ポリフェニレンスルファイドという強度や疲労特性にも優れた新素材で「人間の爪に一番近い硬さ」といわれ、指先の繊細なニュアンスを弦に伝えることができます。
素材色が濃いグレーのためピック色のバリエーションはありません。
レビューモデル
FERNANDES PPS 0.6mm
素材の感触
一見ごく一般的なピックに近い感触ですが、触ってみるとなるほど「爪の感触に近い」という感じです。
サウンドの特徴
傾向としては一般的な樹脂製ピックとあまり変わらないため違和感なく使えます。
適度なしなりで弾きやすいので初心者にもオススメ。
音像はフラットでバランスの良い印象でストロークプレイの時に気持ちよく、ポップス、ライトなロックなど歪みでも聞きやすい。
音やジャンルを問わない万能選手ですが、個人的には1.0mmが好みです。
DDT
IKMというメーカーが開発したオリジナル素材で、DDT(デュランティ ダイアモンド トーン)と呼ばれる複合プラスチックでできています。
耐久性に優れていてべっ甲に近づけた素材です。
レビューモデル
IKM HEXAGON 3G DISTORTION
素材の感触
硬さがありレスポンスが早めです。
しなりもなく耐久性も高いためいろいろな演奏ができる優等生ピックで、多ジャンルに対応できるでしょう。
レビューモデルでは六角形にカットされ表面の加工も弾きやすさを助けています。
感触はウルテムに近い感じになっており、表面にざらつきがあり滑り止め効果もあります。
サウンドの特徴
サウンドもウルテムに近い感じになっており、硬さの割には高音がおさえられており耳障りになりにくいです。
比較的分離がよく歪みで使用してもつぶれにくい印象です。
まろやかに発音されるのでオールジャンルに対応できるでしょう。
PCABS
ポリカーボネート(PC)とABSの特長を兼ね備えた、PC/ABS系のポリマーアロイ。
硬いポリカと弾性のあるABS樹脂を組み合わせていいとこ取りした感じの素材です。
スーツケース素材としても有名です。
レビューモデル
Goshi Products MULTITONE PICK
素材の感触
やや硬めの感触ですが、しっかり衝撃を逃がしてくれるのでピッキングはやりやすいです。
硬めでキレ良く演奏ができるので、カッティングが向いているかと思います。
また、ソロ演奏でも回転がいいので細かなフレーズにも対応できます。
ポリカーボネートの特性として耐久性は非常に高いです。
サウンドの特徴
音は軽めですが、キレの良い発音でシャキっとした音色で、分離が良いのでコードがはっきりと聞こえます。
ピックの回転がかなりスムーズで早いフレーズも弾きやすく細かな演奏が可能です。
コードワークもかなり綺麗に出せるのでストロークからメロディーまでカバーできます。
ローが控えめでハイ~ミドルがよくでており、歪みはクランチあたりがよくハマります。
ディストーションで使用すると低音が引っ込む独特のバランスになりおもしろいです。
キレ良く歪みを使いたい場合などに使用してみてください。
ファンク~ソウルの匂いがする曲で使用してみましょう。
メタマーブル(Meta Marble)
メタマーブル樹脂は真珠のような深みのある美しい色合いやメタリック調の輝きを持ったPC/PMMA系ポリマーアロイで、程よい硬度と弾力性を合わせ持ちます。
スーパーエンジニアリングプラスチック(SEP)
特に強度に優れ、耐熱性のような特定の機能を強化してあるプラスチックで、医療機器などにも使用される。
インジェクションモールディン技術で造られ、耐摩耗性、摺動性に優れた素材です。
優しくタッチしても激しくストロークしてもその応答性が抜群です。
プロテイン(べっ甲代替素材)
希少価値の高いべっ甲に代わり、べっ甲独特のサウンドを再現するため、動物のタンパク質を使い開発された新素材ピック。
最新のピックでまだこの商品しかありませんし、かなりレアなピックです。
レビューモデル
Clayton NUTONE PROTEIN PICKS
素材の感触
表面はマットな感触で、軽くパキッと硬い持ち心地ですね。
べっ甲に比べるとややしなりがなく粘りがない印象ですが、カーボン素材よりはしなる感じです。
ちなみにシェル素材のような打音がします。
サウンドの特徴
立ち上がりが早く、ナチュラルな音色が出ます。
シャープな音が出しやすくローが少なめで、ボワボワとした広がりがなく、スッキリしています。
カッティングが気持ちよく弾けますのでリズムを強調できるファンク系、ソウル系などでも使いやすいです。
硬めの素材なので速弾きにも向いています。
バランスもいいので歪みでもクリアにはっきりとした音を出すことが出来ます。
カーボンなどに近いキャラクターですがそれよりもややまろやかな印象です。
まだバリエーションが少なく素材のポテンシャルが見えませんが、新しい素材として今後も注視していきたい素材です。
TUSQ(人工象牙素材)
人工象牙素材という位置付けで象牙に近い特性を持っている樹脂素材です。
ギターのサドルやブリッジに使われることが多くサスティーンに優れています。
レビューモデル
Graph tech TUSQ PICK bright BiAngle 1.00mm
素材の感触
硬さと軽さを兼ね備えている素材で、レスポンスも早くキレのいい音を出しやすいです。
よくしなる素材ではないですが硬さには余裕があるので奏法はオールマイティに対応できるかと思います。
感覚的には一般的なピックとさほど変わらないので乗り換えも容易でしょう。
サウンドの特徴
持ち心地の印象よりはハイが抑えめです。
ややきらびやかになるキャラクターを持っており、ストロークプレイに威力を発揮します。
全体的にまとまったサウンドで使用しやすいかと思います。
クリーンも歪みにも使用できるオーソドックスなサウンドの部類です。
最後に
ピックが変わるだけで音の出方や、弾き方そのものも変わってきます。
音を変化させるのに一番低コストで済むのがピックです。
表現したいニュアンスによって変えてみてはどうでしょうか。
いろいろ試して、ライブやレコーディングに役立てて下さいね!
参考になれば幸いです。