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ギターソロは必要?不要?議論に一石を投じる歴史動画が面白い!
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ギターソロは必要?不要?議論に一石を投じる歴史動画が面白い!

近々、アニソンイベントに数曲ですが参加することになり、演奏曲をコピーしていました。

僅か3曲ではありますが、全て間奏にギターソロがあり、1曲はギターで弾くと何となく間が抜けた感じになるのでキーボードで弾いてもらい、残り2曲は自分でギターソロとして弾くことにしました。

うち1曲はロック調の曲で、イントロやアウトロもギターメロディが強調されており、ギターロックな曲なのでソロもありですよね、そう思ったのですが、もう1曲はギターはカッティング主体、サウンドはシンセ主体のポップソング。

そこで思った疑問です。

「果たしてこの曲、ギターソロ要るの?」

基本コピーイベントかつアニメソングということで、原曲から大きくアレンジや音色を変えることはおそらくNG。

一応ギターソロも弾きますが、何となく違和感がある楽曲。

作曲者もしくはアレンジャーは、その違和感を狙ってのパートなのかも知れませんが、皆さんも「この曲ギターソロ要るの?」と思うことはないでしょうか?

ギターソロが一世を風靡した時代

私は元々ギタリストなので、ギターソロを弾くことはむしろ大好きです。

原曲と1音違わず弾け、というのは苦手ですが…しかし、コード進行や曲の雰囲気に合わせて自分なりに弾くのは好物です。

ここで言うギターソロとは、ギタリストが一人でベースラインからメロディ・和音を奏でる「ソロ・ギター」ではなく、楽曲の間奏として他楽器とともに演奏するギターによるソロ・パートのことです。

イングウェイ

http://aoi0823.blog77.fc2.com/blog-entry-6.html

私がバンドを始めた1990年頃は、ギターヒーロー乱舞の時代でした。

エディー・ヴァン・ヘイレンやイングウェイ・マルムスティーンらが確固たる地位を築き、ポール・ギルバートやヌーノ・ベッテンコート、ザック・ワイルドらが新世代のギターヒーローとして脚光を浴びていた時代。

日本でもBOφWYが築き上げたロックスタイルを拡張したバンド達によって、「ロックバンド=華やかなギターソロがあって当然」、そんな時代でした。

悪い言い方をすれば予定調和かの雰囲気が、特にロック系のバンドには漂っていたように思います。

「『F』を押さえることよりも、まずはギターソロでしょ!」当時エレキギターを始めたキッズには、そのような人も少なくなかったのではないでしょうか。

ヌーノ・ベッテンコート

http://evh-5150.blog.so-net.ne.jp/2010-01-24

そんな時代にバンドを始めたので、当時はギターソロがある曲に何ら違和感を持たなかったのですが、その後にアメリカはシアトル発信の所謂「グランジ・ブーム」が起こり、その後には今度はイギリスで「ブリット・ポップ」のムーブメント勃興。

ギターソロを有さない楽曲が多数世を席巻し、ようやく「別になくてもいいのか!いや、むしろない方がかっこいい曲もある!」ということに気付いたのでした。

以降は、ロック以外の曲を聴くようになったり、カッティングやコード、楽曲の構成等に興味が移ったこともあり、自作曲でもギターソロパートのある曲はかなり減りました。

しかし最近はヴォーカルを始めギターヴォーカルとして演奏する機会が多く、長短あれどまたギターソロは増えている気はします。

そしてそれと矛盾するようですが、冒頭のように「この曲にギターソロは要るのか?何か無理矢理感があるんですけど…」と感じる曲が存在するのも事実です。

世には流行廃りがありますから、「そういう時代の曲だから」と言ってしまえば確かにそうなのですが。

ギターソロは必要?不要?

ギターソロ必要サイドの意見としては、「楽曲をよりドラマティックに聴かせられる」「ギタリストをフィーチャーできる」「ヴォーカルの喉休めになる」等が、不要サイドの意見としては、「ピロピロが耳障り」「ギタリストの自己満足」「リフでゴリ押す方が迫力がある」等、様々な意見があるようです。

作曲する際にも「その曲にとって必要なら入れる」という意見が多いのではないかと思いますが、必要か不要かの意見の分かれどころは極論すると「ギターという楽器もしくはギターのサウンドが好きか嫌いか」ということではないでしょうか。

かなり穿った見方かも知れませんね(笑)。

しかし特に作曲・アレンジにおいて、私達バンドマンはギターという楽器に馴染みが深いのでギターソロは違和感がないかも知れませんが、バンドマンでない方やバンドマンであっても違和感や嫌悪感を感じる方もいる、ということは意識しておいた方が良さそうです。

どういうリスナーを想定して楽曲を作るか、バンドサウンドを固めていくかにも関わってくると思います。

Journey of Guitar Solo

個人的にはギタリストなので、ギターソロはあって欲しい派なのですが、ギターソロ50年の歴史を6分程にまとめた以下の動画がとても面白かったです。

これはニューヨークの音楽家集団「cdza」がギターソロの歴史をフィーチャリングして、一連の演奏にまとめたものですが、選曲といい演奏といい、そして画面左側「FACT MAN」という帽子を被った方のボードにテロップされるテキストがとても秀逸です。

あって欲しい派として「やっぱギターはいい!」と思うと同時に、これを見て不要説派の方にも「たまにはギターソロもいいんじゃない?」と思っていただければ幸いです♪

以下動画内の演奏曲、およびテロップを記しておきます(訳は適当ですいません…)。

M1. Johnny B Goode(CHUCK BERRY / 1958)

テロップ:THIS IS THE SOUND THAT WHIPPED THE WORLD INTO A FRENZY

(これが世界を熱狂させたサウンドだ)

CHUCK BERRY HELPED PUT IT UP ON THE MAP

(チャックベリーは世界に広めた)

M2. Satisfaction(KEITH RICHARDS / 1965)

テロップ:THE GUITAR WAS MORE OF A RHYTHM INSTRUMENT

(ギターはもっとリズム楽器寄りだった)

M3. Day Tripper(JOHN LENNON / 1965)

M4. Pinball Wizard(PETE TOWNSHEND / 1969)

テロップ:IT PLAYED MEMORABLE LICKS BUT DIDN’T SOLO SO MUCH

(これらは記憶に残るリフだが、ソロはそうでもなかった)

M5. Apache(HANK MARVIN / 1960)

M6. Wipeout(JIM FULLER / 1963)

テロップ:THEN LITTLE BY LITTLE IT STARTED TO BE USED AS A MAIN MELODIC VOICE

(そして少しずつ 主となるメロディ楽器として使われ始めた)

M7. Vodoo Chile(JIMI HENDRIX / 1968)

テロップ:THE GUITAR HERO WAS BORN WITH A HELP FROM DISTORTION

(ディストーションのおかげでギターヒーローが誕生した)

SOLOS BECAME AS IMPORTANT AS THE SONG ITSELF

(ギターソロは曲そのものと同様重要なものとなった)

M8. Black Magic Woman(CARLOS SANTANA / 1968)

テロップ:THEY WERE GROOVED

(ギターソロはグルーヴした)

M9. Whole Lotta Love(JIMMY PAGE)

テロップ:THEY WERE ROCKED

(ギターソロはロックした)

M10. Bohemian Rhapsody(BRIAN MAY / 1975)

テロップ:WHEN THE 70’s ARRIVED THEY WERE EVERYWHERE

(70年代に入ると、ギターソロは至るところに席巻した)

M11. Layla(ERIC CLAPTON / 1971)

テロップ:THERE WERE SOLOS IN THE BEGINNING OF SONGS

(曲の冒頭でのギターソロ)

M12. Highway to Hell(ANGUS YOUNG / 1979)

テロップ:IN THE MIDDLES

(間奏での)

M13. Sultans of Swing(MARK KNOPFLER / 1978)

テロップ:AND AT THE ENDS

(そして後奏で)

IT SEEMED IMPOSSIBLE TO CREATE A SONG THAT DIDN’T HAVE A SOLO

(もはやギターソロなしの楽曲を作るのは不可能かのようだった)

M14. Don’t Stop Believin’(NEAL SCHON / 1981)

テロップ:THE SOLO BECAME OUTRIGHT ANTHEMIC IN THE 80’s

(80年代にギターソロは完全に聖歌となった)

M15. Crazy Train(RANDY RHODES / 1980)

テロップ:GUITARISTS PUSHED THE LIMITS OF TECHNICAL VIRTUOSITY

(ギタリストは演奏技術の限界を広げた)

M16. Beat It(EDDIE VAN HALEN / 1983)

M17. Play with Me(NUNO BETTENCOURT / 1989)

テロップ:WITH THE USE OF TAPPING STRINGS SKIPPING PINCHED HARMONICS FACE MELTING TREMOLO PICKING

(タッピングやストリングス・スキッピング、ピッキング・ハーモニクス、トレモロピッキングを駆使して)

M18. Sweet Child O’ Mine(SLASH / 1988)

テロップ:AFTER TWO AND A HALF DECADES OF THE SOLO

(ソロ楽器として25年を経て)

IT REACHED ITS HIGHEST LEVEL OF EPICNESS

(壮大さにおいて最高レベルに達した)

M19. In Bloom(KURT COBAIN / 1992)

テロップ:HELLO 90’s IN THIS DECADE THE SOLO GOT PUSHED OUT

(90年代、この10年間はギターソロは追いやられた)

M20. When I Come Around(BILLIE JOE ARMSTRONG / 1995)

テロップ:THERE WAS LESS METAL AND ROCK ON THE RADIO

(ラジオでかかるごく一部のメタルとロック)

AND ALLOCATING TIME FOR THE SOLO WASN’T A PRIORITY

(またギターソロに時間を割くことは優先事項ではなかった)

M21. Last Resort(JERRY HORTON / 1999)

テロップ:FOR THE MOST PART THE GUITAR RETREATED BACK TO RHYTHM STATUS

(殆どの場合ギターはリズム楽器に戻ってしまった)

COOL LICKS, BUT NO SOLOS

(いかしたリフはあっても、ギターソロはなかった)

M22. Paranoid Android(JOHNNY GREENWOOD / 1997)

テロップ:THEN SUDDENLY THE SOLO BEGAN TO REEMERGE WITH A DIFFERENT SOUND

(それから突然、ギターソロは再び始まった。異なるサウンドを伴って)

M23. Killing in the Name of(TOM MORELLO / 1992)

テロップ:NEW SOUND FX AND PLAYNG TECHNIQUES BROUGHT NEW LIFE TO THE SOLO

(新しいサウンドFXと演奏テクニックがギターソロに新たな息吹をもたらした)

M24. Plug In Baby(MATT BELLAMY / 2001)

テロップ:FINALLY…THE 2000s SAW THE COMPLETE RECONSTRUCTION OF THE SOLO

(とうとう、2000年代はギターソロを完全に再構築した)

M25. Icky Thump(JACK WHITE / 2007)

テロップ:NEW BANDS HAD FRONT MEN THAT COULD REALLY RIP

(新しいバンドは本当にキレッキレのフロントマンを擁した)

THE GUITAR WAS BACK IN FRONT

(ギターは表舞台に戻って来た)

M26. Make It Wit Chu(JOSH HOMME / 2007)

テロップ:EXTENDED IMPROVISED SOLOS WERE COMMON ONCE AGAIN

(長い即興のギターソロはもう一度市民権を得た)

PEOPLE LOVED IT

(人々はそれを歓迎した)

M27. Tighten Up(DAN AUERBACH / 2010)

テロップ:BLUES-INFLUENCED SOLOS AND LICKS DOMINATED THE CHARTS

(ブルースに影響を受けたソロやリックはチャートを席巻した)

M28. Belief(JOHN MAYER / 2006)

テロップ:AND ULTIMATELY THE SOLO FOUND A NEW CHAMPION IN JOHN MAYER

(そしてついに、ギターソロの新しいチャンピオンとしてジョン・メイヤーを見出した)

THANKS TO HIM, EVEN TEENY BOPPERS KNOW WHAT A GUITAR SOLO IS

(彼に感謝したい、10代のロック好きの女の子さえギターソロの何たるかを知っていることを)

ライタープロフィール

平田 浩康

ライブスポットラグ

平田 浩康

Live Spot RAGの平田浩康です。

15歳の時、音楽特にロックのカッコ良さに痺れギターとバンドを始めました。

生まれ故郷の高知県は、ライブハウスやコンサート会場も少なく生の音楽に触れる機会が少ない、当時は情報源も雑誌やCD、VHSビデオ(!?)という時代でしたが、音楽というとてもキラキラしたものに魅了され、勉強そっちのけでギターと音楽を楽しむ毎日でした。

大学進学から京都に移住し、大学では軽音楽部を卒業(笑)。

それまでは邦楽ロックや洋楽ハードロックを中心に聴いていましたが、先輩や同期から世の中にはもっとたくさんの音楽があることを知らされ、今では「いいな」と思えるものはジャンル隔てなく聴いております。

大学卒業後にRAGに入社、約6年のオフィスや約10年の音楽スタジオを経て、現在は創業39年の老舗Live Spot RAGにて勤務、主にプロモーション業務を担当しております。

日本トップミュージシャン達が奏でる「本物の音楽」に触れ、お客様に届けることで、あらためて音楽の煌めきを実感する日々です。

今でもギター、バンドはゆるく継続しており近年は今更ながら歌も歌ってみたりしています。

もうすっかりおっさんになってはしまいましたが、あの頃「音楽に描いた夢の向こう側」を、今後もみなさんと追っていければと思っています。

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