多くのボーカリストを悩ませる発声「ハイラリンクス」とは?
歌をされている皆さん、ハイラリンクスという言葉はご存じでしょうか?
体に関する知識なのですが、知っておいて損はないはないと思いますので一読してもらえると幸いです。
もくじ
「ハイラリンクス」とは?
ハイラリンクスという言葉。
英語表記にしますと「highlarynx」になります。
highは「高い」、larynxは「喉頭」という意味です。
つまりハイラリンクスは「喉頭の位置が高くなっている状態」を指す用語です。(喉頭は、いわゆるノド仏のこと)
なぜ、こんな言葉がボイストレーニングに出てくるのかと言いますと、発声時「喉頭があがる」状態が起こり、その状態になった時は、声に変化が起こります。
具体的には、声に芯が入り「カーン」とした明るい響きの声、キンキン声、になります。
ハイラリンクス状態に「良い」か「悪い」は、ありません。
明るいカーンとした音色がほしい時は、敢えてノド仏をあげて歌う歌手もいます。
ただ、人によっては、ハイラリンクスを改善した方が良いだろう、という人もいます。
どんな人が改善すべきなのか?
1. 改善すべき人
「改善」というのは、ハイラリンクスもローラリンクスにも調整できる喉に柔軟性を持つということ
発声時、常にハイラリンクスになってしまう人
特に、中音域~高音域あたりになるとノド仏は上がりやすくなります。
高音域になっても、ノド仏があがり過ぎない状態も作れるようにしておきましょう。
喉に苦しさを感じる人
歌っている時に喉が苦しくなるという人は、ハイラリンクスとはまた別に間違った喉の力みが入ってしまっています。
改善方法として、ハイラリンクスを直すことで、総合的に喉の力みを取っていくことができます。
深い音色の声を出したい人
音色として、ハイラリンクスはカン高い印象の声になるので、太く深い響きのある声にはなりにくい。
自分の声が、子供っぽく聞こえる、軽い感じの声に聞こえるから直したい、という場合は改善していくべきでしょう。
2. なぜ、ハイラリンクスになるのか?
ノド仏は、筋肉で吊られている
ノド仏(喉頭)は、喉にある筋肉によって懸垂されています。
つまり、ぶら~んと浮いているので、意図して上下に自由に動かすことができます。
食べ物を飲み込むとき、ノド仏に指を触れてみると、飲み込む瞬間、ノド仏が上に「ぐぃ」っと上がるのが分かると思います。
これは、食べ物を食道に流す為の嚥下運動といって、気管にフタをして誤って気管に食べ物が入っていかなようにするための運動です。
それとは逆に、発声時は、気管は広く保てている方が良い響きが確保できます。
だから、ノド仏が上がる「ハイラリンクス」は、音色が浅くなるのです。
ハイラリンクスになる原因は、ノド仏を持ち上げてしまう、喉の中の筋肉群(嚥下運動に使われる筋肉群)が過剰に働いているから起こる。
3. ハイラリンクス改善方法
ハイラリンクス癖を取り除き、体に記憶させていく
ノド仏が上がる人は、それが「癖」となっている人が多いです。
癖とは、無意識に行われるもの。
改善するためには、そうしないように意識しなければなりません。
自分の目に見えるものであれば、意識して改善できますが、喉の中は見えません……!
そこで重要になるのが「間違った記憶の書き換え作業」です。
重要はヒントになるのが、裏声発声です。
『ファルセットボイス』裏声を綺麗に出すコツ! – ボイストレーニング “駆け込み寺”
裏声発声は、高音でも喉に苦しさは感じにくい。
しかも、声は同じ声帯から生まれている。
この事実が、ハイラリンクス改善の足ががりになります。
発声トレーニングでは、ノド仏を下げる母音(o)を使いながら、裏声発声を組み入れて、行っていきます。
トレーニングは小さな声で行います。
声量を上げると、喉に余計な力が入ってしまうからです。
まとめ
ハイラリンクスとは?
- ノド仏(喉頭)が高い位置にある状態のこと
- 声の音色は、カン高く明るい印象の声になる
- 音色に変化を持たせたい人、喉が苦しくなる人は、改善(=喉に柔軟性を与える)すべきである
ライタープロフィール
仙台のボイストレーナー
KAN
東京の大手ボーカルスクールや、横浜のR&B専門スクールの講師として生徒を育成。
喉の構造を、科学的視点から専門研究。
喉声を改善し、高音を楽に出す従来のボイストレーニングとは全く違うトレーニング法で多くの悩みを解決し、延べ300人以上の指導に当たる。
現在は、宮城県仙台で指導しています。
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