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インディーズアーティストが、企業からお金をもらう仕組みがほしい
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インディーズアーティストが、企業からお金をもらう仕組みがほしい

こんにちは。

海保けんたろー(株式会社ワールドスケープ代表/ドラマー)です。

CDが売れない時代に突入してから、音楽アーティストがお金を稼ぐ難易度は上がってしまったわけだけど、これに対する解決策として、「ファンにもっと課金してもらう」という方向性の他に、「企業のお金がアーティストに流れるようにする」という考え方もある。

今日はその実現方法について。

メジャーではすでによくある

インディーズアーティストが、企業からお金をもらう仕組みがほしい

http://o-dan.net/ja/

先日、こんなニュースが流れていた。

» Perfume新曲でパナソニック洗濯機とコラボ、泡をテーマにダンス – 音楽ナタリー

これはほぼ間違いなくパナソニック側からPerfume側にお金が流れていると思われる。

なぜなら、パナソニックだけを持ち上げる理由がPerfume側にないからだ。

そしてこの映像がアップされているのは、パナソニックのYouTube公式チャンネルだ。

また、何もこういった例でなくても、あなたが大規模なコンサートなどに行った時、「○○(会社名)プレゼンツ」というような表示やアナウンスを聞いたことがあるのではないだろうか。

あれも言うまでもなく、その会社からアーティスト側にお金が流れている。

アーティストの集客力に期待して、そこに宣伝をするためにお金を払うのだ。

小規模では成立しづらい

しかしこういう取り組みをしているのは、ある程度以上の大企業と、ある程度以上の規模のアーティストに限られている。

なぜなら、こういった取り組みを実行するにあたっての労力が、小規模だと見合わないからだ。

スポンサー企業に対してできることを考える

スポンサーになってくれそうな企業に営業をかける

金額を交渉する

掲示物、配布物、アナウンス内容などについて決定する

それらを制作する

当日会場にて掲示、配布、アナウンスを実行する

来場者数、配布数などのデータをまとめて企業に報告する

請求書を出してお金を振り込んでもらう

必ずこの手順ということではないが、ざっと考えるだけでもこれだけ手間がかかる。

そのため、かなりまとまった金額がもらえなければ、コンサート主催側として割に合わないということになってしまい、企業側としては、コンサートにある程度の規模がない限り、まとまった金額を支払うことはできない。

よって、大規模なコンサート以外にはスポンサーが付きづらいのだ。

小規模でも実現する方法は

全く同じやり方を、中小規模のライブ(動員数100〜1000人程度)でやろうとしてもうまくいかない。

では、どういうやり方であれば実現可能なのだろうか?

もし中小規模のライブでも企業スポンサーをつけれるようになれば、その分チケット代を値下げできたり、ステージにもっとお金をかけたり、作るグッズを増やしたりできる。

きっとそれは来場するファンにとっても嬉しいことであるはずだ。

ビル

方向性A:小規模企業×小規模イベントで成り立たせる

まずシンプルだが、小規模同士ならニーズがあるのではないか?という考えがある。

駆け出しのベンチャー企業が、アピールしたい層のファンを持つインディーズアーティストのライブで宣伝をするのだ。

来場者が例え100人だったとしても、それがターゲット層であれば、1万円以上出す企業は存在する。

プラスマイナス数万円の世界でやりくりしているインディーズアーティストにとっては、1万円は小さくない。

よってこれは双方にとってニーズがある。

しかし問題なのは、前述した通り、これを実行するにあたっての労力が、1万円と比べて割に合わない、という点だ。

そのため、実行に必要な企画、営業、交渉、実行、請求、などの業務をできるだけ自動化する必要がある。

スマホアプリやWEBサービスで、それらが半自動でスムーズに実行できるようなものができれば、このアイデアは実現可能性が出てくるだろう。

方向性B:小規模イベントを数十本まとめる

「規模が足らないなら、数をまとめればいい」という考え方もある。

例えば、大企業が「新しいヘッドホンの宣伝をしたい!」と思い、宣伝費の一部として予算を100万円用意したとする。

それを専門業者に渡すと、平均動員数100人の小規模ライブ70本で、70回宣伝してくれる(総リーチ客数はのべ7000人になる)。

そして各ライブのアーティストは1万円を受け取る。

30万円はその専門業者が手数料として受け取る。

これは専門業者の手数料が取られるというデメリットがあるものの、
お金を出す側の企業をたくさん見つけなくてもいいというメリットがある。

現状では、Peatixの「ターゲティングクーポン」というサービスがこれに近いが、まだ普及しているとは言いづらい。

方向性C:アーティストが成果報酬で動く

別の発想としては、アーティストが「アフィリエイター」になるという選択肢がある。

お金を出す企業側としては、別に規模が小さかろうが「実際に商品が売れた」ということであれば問題ない。

なので、アーティストが成果報酬(歩合制)で宣伝協力するとなれば、
企業側としてはローリスクでお金を出せる。

アーティストの宣伝によって新しいヘッドホンが1つ売れたら、その売上の○%をアーティストにバックします、という感じであれば、既存のアフィリエイトシステムを転用することもできそうだ。

アーティストがA8.netやバリューコマースのようなサービスに登録し、アフィリエイターとして活動するならば今すぐにでもスタートできる。

悩ましい点といえば、アーティスト側のブランディングに悪影響を及ぼす可能性がある点だろうか。

そのあたりは、商材の選択や、宣伝方法に研究が必要だ。

方向性D:社会人アーティスト

スポーツ選手によくある、個人に対してスポンサーがついている状態のアーティスト版だ。

場合によっては「ある程度の時間は普通にその会社の会社員として働き、
ある程度の時間を練習やトレーニングにあてる」というスタイルも多いのだが、
これはアーティストにも適応されて良いのではないだろうか。

企業としてはそのアーティストに対して投資するという面がある分、
そのアーティストがもし売れたら、その企業の宣伝やブランディングに大きく寄与する、というリターンがあれば、
前向きに検討できる企業は少なくないように思える。

KDDIエボルバの取り組みも素晴らしいが、これ以上に踏み込んだモデルがほしい。

アーティストの才能を認め、半分社員・半分アーティストとして給料を支払い、
企業の宣伝とブランディングに独占的に協力する契約を結ぶ企業の登場に、期待したい。

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ライタープロフィール

海保けんたろー

株式会社ワールドスケープ代表取締役

海保けんたろー

ドラマー / 株式会社ワールドスケープ代表取締役。

「キマグレン」「ハシグチカナデリヤ」「SONALIO」など数々のアーティストのサポートドラマーやバンドメンバーとして活躍する。

2011年には、音楽業界を変革するためのIT企業・株式会社ワールドスケープを設立。

将来の夢は英雄になること。

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