ジャズピアノの独学は難しい?教則本や入門書だけではダメな理由
「ジャズピアノって独学で弾けるようになりますか?」
よく頂く質問なのですが、結論から言うと独学での習得は難しいです。
クラシックと違い、ジャズでは楽譜にないものを弾く訳ですから当然弾き方や練習法、知っていなくてはいけないものが多数存在します。
わからないところがわからない
私の生徒さんには、ジャズやジャズピアノについて「わからないところがわからない」とおっしゃっていた方は多いです。
私自身も始めはそうでした。
クラシックピアノを習うという事だったら、よく聞くバイエルというやつをレッスンではやるのかなとか、習い始めるにあたりバッハとかモーツァルトとかを聴いておけばいいかなとか、正解かどうかは別にしてある程度は予想が付きますが、ジャズの場合は予想すらつきませんよね?
そもそもジャズなんて音楽の授業でもあまり触れませんし、聴くとしてもおしゃれな居酒屋のBGMくらいでしょう。
ですので、ジャズについて「わからないところがわからない」のは当然かもしれません。
「わからないところがわからない」ものを独学で習得するのは大変です。
教則本や教則DVDをおすすめしない理由
もし独学で勉強するとなると、教則本や教則DVDを使う事になると思います。
でも私は教則本や教則DVDはあまりおすすめしません。
その理由の1つは、例えば初心者向けの教則本といっても出版社によって「初心者」のレベルが若干違うという点です。
ある出版社での「初心者」は、ある出版社では「中級者」扱いだったり、またはその逆もあります。
また、あるテクニックや理論、あるコードに対して出版社によって呼び方・表記の仕方が違うんです。
同じ意味なのに呼び方・表記の仕方が違うと初心者の方にとっては混乱してしまいますよね。
他にも、コードそのものの表記間違えがたまにある・ジャズの実際の弾き方と著しくかけ離れている楽譜があるなど、まだまだ他にも理由はありますが主に上記の理由から教則本はあまりおすすめしません。
自分に合う教則本にはなかなか出会えない
「○○のジャズバージョンの楽譜が欲しい」
「なんでもいいから何かジャズの教則本を買いたい」
「練習のために何か買ってみるか」
と思っても、一発でその方の100%望むものが見つかる(買える)事はほとんどありません。
だいたい少し簡単すぎたりまたは難しすぎたり、専門用語ばっかりでさっぱり意味不明だったり、この1曲だけでいいのにたくさん曲が載っていて2,800円は高いな~など、だいたい何かしら不満があるものです。
(そうではない方もまれにいらっしゃるかもしれませんが…。)
ジャズピアノが弾けるようになりたい、理論を勉強したい、深くちゃんと理解したいという方は、たくさんの理論書・教則本・教則DVDを買うより、先生についたり教室やスクールに入会する事をおすすめします。
ジャズを学ぶ上での理想
- 最初はおおまかでいいので、ジャズとは何かを知っている方がいい
- ジャズについて「分からない所」を分かっている方がいい
- 即興(アドリブ)の方法、コードの仕組み、セッションのルールや流れを知っている方がいい
- 効率的な練習法や、「とりあえずは手を付けなくてもいい箇所」も知っている方がいい
- いいお手本となるミュージシャンやCDを知っていた方がいい
- ジャズを勉強中の仲間がいた方がいい
他にもたくさんあります。
最初は先生につくなり教室やスクールに入るという方が上記に挙げたものをすべてクリアできます。
独学に比べて無駄な試行錯誤がない分上達も早いです。
ジャズに夢中になった主人公の物語、アニメ「坂道のアポロン」で、主人公「西見薫」のピアノを全て演奏したジャズピアニストの松永貴志さんという方がいらっしゃいます。
彼は独学でジャズピアノを習得したとされていますが、実際は何人かの先生に習った事はあるようです。
最終的な結論としては、ジャズピアノの習得は、最初は先生につくなり教室に通うなりして人から習う事をおすすめします。
ライタープロフィール
ジャズピアノ講師
秋谷学
ジャズピアノ教室「音楽本舗すぱいす」代表。
バークリ-音楽大学卒業。
ジャズピアノの指導の他、映画音楽、CM音楽、企業PV、プラネタリウム、各種展覧会、劇団BGM、店舗用BGMなど多方面への楽曲提供や編曲にも携わる。
ピアノ講師向けの楽譜・各種教材販売、セミナー開催、ピアノ教室経営のコンサルティングも行っている。
音楽本舗すぱいす
http://ameblo.jp/spiceongakuhonpo/