【DTM初心者のための】Logic Pro(ロジックプロ)の使い方。Drummer(ドラマー)トラックの使い方編
ここでは、Apple社が製造・販売している高機能DAWソフトLogic ProXの操作や、覚えておくと便利なコマンドなど順を追ってわかりやすく説明します。
今回は、第一回目で名前だけ紹介した「Drummer(ドラマー)トラック」についての解説です。
もくじ
Drummer(ドラマー)トラックとは
LogicProXからの新機能として搭載されたDrummerトラック。
こちらでも軽く触れましたが、これは「ドラムトラック(MIDI)を自動生成する機能」です。
「演奏者の変更」を筆頭に他のDAWには見られない独特な面白いパラメータが多く搭載されているため、それらをこれから順を追って説明します。
Drummer(ドラマー)トラックを使う前に
説明を始める前に、Drummerトラックを始め、LogicXの機能をフル活用するための設定変更をしたいと思います。
上部メニューバーから「Logic環境設定」→「詳細ツール」を選択し、「詳細ツールを表示」にチェックを入れてください。
これにチェックを入れることで、より複雑で高度なLogicの機能を使用する事ができます。
各部説明
設定変更が終わり、準備ができたらで新規トラックを作成します。[opt+⌘+N]
この時、赤マルで囲んである「Drummer」を選択してください。
Drummerリージョン
画像赤線で囲んである部分がDrummerリージョンです。
MIDIリージョンと同じように鉛筆ツール[T→P]で追加する事ができます。
見た目は色違いのオーディオリージョンですが、Drummerが自動生成してくれたMIDIノートたちをオーディオ波形に見せているだけで、実際はMIDIリージョンです。
ですが、これを通常の操作と同じようにダブルクリックしてもピアノロールは開いてくれません。
右クリック[Ctrl+クリック]→「変換」→「MIDIリージョンに変換」をクリックしてください。
すると、緑色のMIDIリージョンに変換できたかと思います。こうなれば、通常のMIDIリージョンと何も変わりませんので、自由に編集する事ができます。
演奏者選択画面
Drummer機能のもっとも奇怪で、面白いパラメータです。
ここでは、自動生成されるドラムトラックの「クセ」を「演奏者」という形で変更します。
選択した演奏者によって、ドラムセットが変更されフレーズのバリエーションが変化します。
Drummerエディタ
Drummerのメイン画面です。
このエリアの各種パラメータを操作することでさまざまなドラムパターンを生み出していきます。
項目が多いので、この部分の説明は次のセクションでまとめて説明していきます。
Drummerエディタの各部説明
ルーラ
現在どのDrummerトラックを選択しているかを示します。
Drummerリージョンごとにそれぞれ異なる演奏をさせる場合は、このルーラが現在編集しようとしているDrummerリージョンと一致しているか確認してください。
リージョンの色を変更[Opt+C]した場合、Drummerエディタのルーラの色も変化するので、これで見分けを付けることをオススメします。
プリセット選択画面
あらかじめApple社が作ってくれたドラムセッティングを読み込みます。
何とこのプリセットは、演奏者毎に全員別のセッティングが複数用意されています。
また、自分で編集したセッティングを保存する事もできます。
画像の、歯車マークから「プリセットを保存」をすると、すぐに一覧に追加されます。
XYパッド
- 横軸=パターンの複雑さ、音数の多さ
- 縦軸=音量の大小
で、それぞれを非常にわかりやすく操作できるパラメータです。
黄色の丸を動かす事で変化します。
ほんの少し動かしただけでもむちゃくちゃ細かく変化するので、狙ったパターンを出すのは非常に難しいですが、それだけ大量のパターンが用意されています。
パターンエディタ
ここでは、Drummerが演奏してくれる各パーツの手数を変更します。
左側のドラムキットの絵の、変更したいパーツをクリックして、右側のパターンエディタでその手数を変更します。
1→2→3の順に、指定したパーツの手数が多く(それだけたくさん叩かれるように)なります。
そして、「キックとスネア」の横にある「従う」というチェックボックスですが「リズムがとてもはっきりしたオーディオデータ」がある状態でチェックを入れると、そのオーディオデータに合わせてキックとスネアを打ってくれるようになります。
フィル / スウィングノブ
フィルノブは、フィルが欲しい時に使います。
フィルが欲しい部分に短いDrummerリージョンを配置し、フィルノブを回すと、そのリージョンのみフィルを回してくれます。
普通の8ビートが欲しい時などは左に振り切っておきましょう。
スウィングノブは、その名の通りスウィングさせたい時に回します。
下の「8th」「16th」というのは、それぞれ8分でスウィングさせるか、16分でスウィングさせるかを変更します。
詳細ボタン
スウィングノブのさらに下にある「詳細」を押すと「フィーリング」「ゴーストノート」「ハイハット」という三つのノブが出現します。
「フィーリング」は、いわゆる『前ノリ』か『後ノリ』かを変更するノブです。
「ゴーストノート」とは、『はっきりとは鳴っていないけど、ノリを生むために叩かれているごく小さな音量の音』の事です。主にドラムなどでよく使われる言葉です。
そしてこのノブを操作すると、その音量を調節できます。
「ハイハット」は見ての通り、クローズで使うかオープンで使うかを変更するノブです。
ですが、このパラメータはプリセットによって操作できる場合と固定になっている場合があります。
使い方あれこれ
使い方その1
Drummerに関する基礎をひととおり説明したところで、最後に少しだけ応用した使い方を紹介しましょう。
Logicの上部メニューバーから、[トラック]→[グローバルトラック]→[アレンジメント・トラックを表示]を選択してください。
すると、ワークスペースに「アレンジメント」と「マーカー」と書かれたトラックが出現しました。
これは、画像のようにアレンジがある程度進んでいる時に、どこまでがイントロやAメロなのかをわかりやすくするためのマーカーです。
「アレンジメント」と書かれた横にある+ボタンで作成できます。
そして、このマーカーがある状態で、鉛筆ツールでDrummerリージョンを作成すると…。
なんと、自動でマーカーに沿ってリージョンが作成されます。
後はそれぞれ、Aメロ用、Bメロ用とDrummerのセッティングを変えていくと作業がとても素早くなる事でしょう。
なお、色は自動で変わってくれません…([opt+C]でカラーパネル)
使い方その2
こちらの使い方はDrummerそのものの使い方ではありませんが、初心者にはぜひオススメしたい使い方です。
Drummerトラックは先程説明させていただいた通り、実態はMIDIリージョンです。
右クリック[Ctrl+クリック]→「変換」→「MIDIリージョンに変換」で変換すればMIDIに早変わりしてくれます。
つまり、これを使えばドラムに触れた事のないDTM初心者でも、ゴーストノートやノートを数ミリずらす事によって生まれるノリの違いなど、高等なテクニックがたくさん詰まったプロのドラムMIDIを見る事ができます。
耳コピもまだ難しい、と言う方はこの機能を使って、まずはドラムの打ち込みがどのように行われているかを勉強してもいいかもしれません。
ライタープロフィール
DTMer
akira
京都を中心に活動する音楽ユニット「UNnamed pathfinder」のアレンジャー。
「UNnamed pathfinder」は、キャッチーなメロディ、多彩なコードワークにどこか物憂げな歌詞が魅力のコンポーザー385と、高い表現力と様々なジャンルを操るアレンジャーAkiraの二人によるユニット。
ユニット名は、「名もなき開拓者」を意味し、ジャンルに囚われない二人の作風を表している。
ウェブサイト:https://m.soundcloud.com/akira_6275/
ブログ:https://radishswitsh.wixsite.com/unnamed-pathfinder
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