DTM
DTMをもっと楽しむWebマガジン
search
【DTM初心者のための】Logic Proの使い方。シンセサイザーの基礎編
最終更新:

【DTM初心者のための】Logic Proの使い方。シンセサイザーの基礎編

Apple社が製造、販売している高機能DAW「Logic ProX」の操作や、覚えておくと便利なコマンドなど順を追ってわかりやすく説明させていただいています。

今回は、本当に複雑で初心者泣かせの、シンセサイザーのことを基礎の基礎から説明させていただきます。

また、今回の記事はLogicの使い方というよりは、シンセサイザーそのものの基本知識となります。

ですが、Logic付属のシンセサイザーなどを操作する時に必要な知識なので、お付き合い下さい。

シンセサイザーとは

簡単に言うと、音を合成する機械やソフトウェアのことです。

一口にシンセサイザーと言っても、一からすべてを機械の中で作って音として出力するものや、楽器の演奏を録音してそれを読み込み再生するだけのものなど、さまざまな種類があります。

以下はシンセサイザーのおおまかな種類です。

減算方式シンセサイザー

元となるさまざまな種類の音(この、元となる音を「波形」と言います)を、フィルターなどを使い「削る」ことで目的の音を作る方式。

イメージ的には彫刻に近い。

減算合成式とも言う。

例:ES1、ES2など

加算方式シンセサイザー

減算方式の定義からして、さまざまな種類の音を複数足して新たな音を作るシンセかな?と思いきや「複数の正弦波を合成して」新たな音を作る方式。

フーリエ変換というとっても難しい理論を使う。

しかし実際加算方式のシンセサイザーは難しすぎるためあまり見ない。

Logicには搭載されていない。

PCMシンセサイザー

Pulse Code Modulationの略。

実際の楽器(ピアノやギターなど)の音を録音しデータ化したものを読み込み再生する方式。

録ったものをそのまま出しているので当然いい音がする。

ただ、オーディオデータを読み込むことになるので非常に大きなデータ容量を食う。

例:EXS24、Ultrabeatなど。

FMシンセサイザー

Frequency Modulationの略。

2つ以上の音をぶつけて新たな音を生み出す方式。

PCMシンセと違いむちゃくちゃ動作が軽い。

が、その特性上どんな音ができるかまったく予想がつかない。

例:EFM1など。

物理モデリングシンセ

他のシンセサイザーが「音そのもの」だけを合成するのに対し、音の波形や減衰だけではなく、楽器の材質(木なのか、金属なのか)、サイズ、弦の長さ、太さなどをすべてデータ上でシミュレートし、「楽器そのもの」を合成するとんでもないシンセサイザー。

非常に操作が難しい。

例:Sculptureなど

以上がだいたいのシンセサイザーの種類となります。

でも全部は覚えなくていいです。

各パーツ、その役割

シンセサイザーは完成した楽器と違い、自分の欲しい音を自分で創り出さなければなりません。

そのためには、シンセサイザーの各パーツが、一体どういう役割を果たしているのか、触ればどう変化するのかを知っておく必要があるでしょう。

①VCO(Voltage Controlled Oscillator )、オシレーター

シンセサイザーの心臓部分です。

Logic Pro。シンセサイザー

だいたい、「OSC」だとか「VCO」だとか書かれています。

「oscillator」とは、発振機という意味です。

ここでは、とてもシンプルな、クセのない状態の波形を出力します。

波形とは、いわば「音」の最小単位です。

サイン波、矩形波、三角波、ノコギリ波、パルス波、ノイズ波などがあります。

それぞれ波形ごとに音の特徴があり、自分の作りたい音に合わせて波形を選ぶ必要があります。

例えば、EDMのコードなどでよく使われるギラギラしたコード音や、バイオリンなどは「ノコギリ波」、サックスオーボエなどのリード楽器なら、「パルス波」。

フルートや口笛は「サイン波」が最も近い、といった具合です。

それぞれの波形がどんな音なのかをよく聞き、覚え、自分の求めている楽器の音がどの波形に近い音なのかを理解していくと最適な波形を選べるようになるでしょう。

②VCF(Voltage Controlled Filter)、フィルター

「VCF」や「Filter」と書かれています。

Logic Pro。シンセサイザー

このセクションでは、VCOで選んだ波形をフィルターに通し、無駄な音を削ったりします。

フィルターとは言葉の意味どおり、あるものを通し、あるものを通さないものということです。DTMにおいても同じです。

低音を切ったり、高音を切ったりして、目的の音に近づけます。ただ、このフィルターというパーツはシンセサイザーによってクセがまちまちで、効き方もかけ方も千差万別です。

なので、フィルターというセクションがどういった役割を持つのか、それだけを正確に理解しておいてください。

③VCA(Voltage Controlled Amplifier)、アンプ

その名の通り、アンプです。

主に音量変化をさせるセクションです。

Logic Pro。シンセサイザー

「VCA」や、「Amp」と書かれています。

ここまでに紹介した、VCO、VCF、VCAは基本的にどんなシンセサイザーでもこの順番で音が生成されます。

④LFO(Low Frequency Oscillator)

ほとんどの場合、「LFO」と表記されています。

Logic Pro。シンセサイザー

日本語で「低周波発振機」の意味で、かなり低い(~10Hz程度)の音を発振し、他のセクションにこれを送ることで、音にビブラートやトレモロなどのさまざまな変化を与えることができます。

このセクションもVCOと同じ原理のオシレーターなので、ノコギリ波やサイン波などの種類を設定できます。

基本的に、LFOがあるということは「Router」というセクションも付いています。

これは、LFOをピッチやフィルターにかけたい時にその設定をするためのセクションです。

⑤EG(Envelope Generator)

「EG」や「ENV」、シンセによっては「ADSR」と書いてあります。

Logic Pro。シンセサイザー

ADSRは「Attack」「Decay」「Sustain」「Release」の略です。

それぞれ単語の後ろに「Time」が付きます。

このセクションは、作り出したい音の「時間的音量変化の特性」を操作します。

簡単に言うと、「アタックの速い音にするか」「リリースの遅い音にするか」などを決定する部分です。

アタック、リリースという言葉がわからないという方もいらっしゃると思いますので、説明させていただきます。

Attack(アタック)とは

「鍵盤を押してから音量が最大になるまでの時間」のことを言います。

早い、遅いで表現します。

また、音の出始めの瞬間のことの名称でもあります。

例を出すと、ドラムやピアノやギターなどは「アタックが早い(強い)音」で、フルートやバイオリンのレガートなどは「アタックの遅い(弱い)音」です。

Decay(ディケイ)とは

「アタックで到達した最大音量から、サスティンの音量に到達するまでの時間」のことです。

これがADSRの中で一番理解しにくいと思われます。

実在するほとんどの(電子楽器以外の)楽器は、Attackで到達した音量がそのまま続く訳ではありません。

Attackで最大音量に到達し、その後Sustainと呼ばれる安定した音量の域に到達します。

この、安定した音量の域に到達するまでの時間がDecayです。

Sustain(サスティン)とは

「Decayの後に訪れる、鍵盤を抑えている限り鳴り続ける音量のレベル」のことです。

Release(リリース)とは

「鍵盤を離してから音量が0になるまでの時間」のことを言います。

長い、短いで表現します。

また、音が減衰し始めて完全に0になるまでの部分の名称でもあります。

例としては、(ミュートをしなければ)ギター、ベル、シンバルなどがリリースの長い音、木琴、トランペットなどの金管楽器がリリースの短い音です。

以上4つのパラメータを踏まえた上で、具体例を説明させていただきます。

皆さんも小学校で習った覚えがあると思います、リコーダー。

タンギングと言われる奏法があります。

タンギングを使用し、その後音を途切らせずに吹き続けたとします。

この時の音の時間的変化は、【Attackがほぼ最速で、Decayもほぼ最速、Sustain大きめ、Releaseはほぼ最速】となります。

タンギングをしているためAttackは最速。

普通にピューっと吹けばAttackは最速よりやや遅めです。

Decayは、吹き始め以降意図的に息の量を変えなければ最速。

タンギングで強調されたアタック以降、すぐに息の安定した音量(=Sustain)に移行するため。

Sustainは、これも意図的に息の量を変えなければ、大きめ。

リコーダーは息を吹くのを止めればすぐに音が止まるため、Releaseは最速。

こういった、楽器の時間的音量変化の特性を調整できるのがADSRまたはEG、ENVセクションとなります。

作りたい音に応じて、この4つのパラメーターを操作します。

最後に

基本的には、どんなシンセでも名称に違いはあれこの5つのセクションで構成されています。

これらをしっかりと理解していれば、どんなシンセでもある程度は操作ができることでしょう。

しかし、前述した通り、シンセで音作りする上で最も大切だと私が考えるのは「作りたい音、マネたい音がどんな波形のでできているのかを知ること」です。

次回からは、実際にLogicのシンセサイザーを使っていくつかの音作りをしてみたいと思います。

ライタープロフィール

DTMer

akira

京都を中心に活動する音楽ユニット「UNnamed pathfinder」のアレンジャー。

「UNnamed pathfinder」は、キャッチーなメロディ、多彩なコードワークにどこか物憂げな歌詞が魅力のコンポーザー385と、高い表現力と様々なジャンルを操るアレンジャーAkiraの二人によるユニット。

ユニット名は、「名もなき開拓者」を意味し、ジャンルに囚われない二人の作風を表している。

ウェブサイト:https://m.soundcloud.com/akira_6275/

ブログ:https://radishswitsh.wixsite.com/unnamed-pathfinder

Twitter:https://twitter.com/akira25472

YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCECBXlnmnOBDb6lSDacxV_g

このライター・クリエイターへメッセージを送る

記事一覧

続きを読む
続きを読む