Marshall JCM2000 DSL のリバーブが効かない
人気のJCM2000ですが、機械的トラブルが多かったのもあって現在は生産が終了。
後継機として最近出たのがDSL100。キャラクターはしっかり2000を継承する、なかなか扱いやすくて優等生なやつですね。
今回はそのJCM2000の「リバーブが効かない」という症状です。
症状の確認・故障箇所の特定
詳しく症状を確認して、故障原因を限定していきます。
『Aチャンネルのみ発症』つまりBchで効くという事は、もしリバーブユニット自体が壊れている場合両チャンネルとも効かなくなりますので、リバーブユニットその物の故障では無い事がわかります。
次いで、Reverbツマミをグリグリすると・・・ん?
時々鳴りました!
・・・どういう時に鳴るのかわかりにくいので、グリグリを繰り返し足りつまんだりしてみます。
ツマミを引っ張ったり横に力を加えたりしてみると、横に押した時だけ鳴るみたいです。
つまり今回は『Reverbツマミを直す』という作業になります。
少し専門的な表現で言うと『POT(ポット)を直す』ですね。
用途によって少しずつ形が違いますが、こいつが「ポテンションメーター=可変抵抗」と呼ばれる物です。
分解
外からPOT交換ができたら楽なのですが、分解しないとできないので裏の網から地道に外していきます。
裏の網を外すと真空管が並んでいます。
左の小さい方がプリ管、大きな方がパワー管。
後でひっくり返すのですが、その時にパワー管を付けたままだと安定感が悪く、すこしグラつくとパワー管の足に力が掛かったり割れたり危ないので、事前に抜いておきます。
【注意点】パワー管は挿さっている順番通りに元に戻す。
パワー管にはバイアス調整(主に真空管の製造上のバラツキを補正する調整)を施してあります。
順番が変わるとこのバイアス調整もし直さなければ元の調子が出なくなりますので、抜いた順番の通りに保管し、その通りに挿し直します。
あとは底部のネジ4本を取ると、本体が後ろに引っ張り出せます。ひっくり返すとこんな感じ。
ここにくるまでに抜いたネジは8本だけ!
マーシャルはシンプルだから好きです(^^)
ハートキーだと20本近く抜かないと開いてくれないので(笑)
中身はこんな感じです。ここにワクワクしちゃうんですよねw
さて該当箇所。
POTの改善
『B20K』 と書いてある緑色の物が該当POTですね。
Bカーブの20KΩという意味です。詳しい事を知りたそうな方が多ければまた次の機会に。
基盤にハンダ付けされているのですが、そこにヒビが入って通電を妨げる事(ハンダ割れ)もあるので目視で確認します。
今回はハンダ割れも無かったので、POTの内部的な要因と断定しました。
一番良いのはPOT自体の交換ですが、今回 手持ちが無いので中身の洗浄を行います。
集中力を発揮しすぎて実物の写真撮り損ねましたので別の物で。。
基盤にハンダ付けされたPOTを取り外すと、このように4つのツメで止まってるだけなので、ラジオペンチ等で丁寧にツメを起こしてやるとスッと中身が分かれます。
コツとしてはニッパを使う事ですね!
隙間が狭いのでラジオペンチ等ではなかなか起こしにくいです。
ただ、ニッパを使う場合 ツメを傷をつけないように慎重にやらないと、折れてしまうので注意です。
中の黒い所が電気が通る所ですので、ここを拭き掃除します。パーツクリーナーを使って綿棒で擦るとこうなります。
日々の摩擦や油膜、ホコリ等で汚れますのでそれを拭き取ってやりましょう。
拭き終わったら元通りになるようにそっと組み込んで、ツメを返して元通りにします。
完了・片付け
あとは逆の手順を追っていくだけ!
まずPOTを元通りにハンダ付けして取り付けます。
元の木枠に組み込んでネジ止め、真空管を元の順番通りにハメ込んだら、音出しチェックです。
気持ちよくリバーブが効いてくれました!
完了です!
【注意】途中に抜いた真空管を挿し損ねたり、コネクターを挿し損ねたりしてチェックをしようとすると、場合によっては電源入れた瞬間に壊れる事もありますので、確認は確実に。