ベーシストならとりあえず観ておくべき!話題の音楽映画「JACO」の感想
東京、大阪、名古屋近隣にお住まいのベーシストの皆様「JACO」はもう観に行かれましたでしょうか!?
東京のシネマート新宿以外はすでに公開が終了してしまっていますが……。
2016年12月3日より日本での公開がスタートしたジャコ・パストリアスのドキュメンタリー映画「JACO」ですが、僕も宣言通り観に行ってきました。
普段からそんなに映画を観るわけでもないですし、特にドキュメンタリー映画って個人的にあんまり好きじゃなかったんすが、率直な感想としては「観に行って良かった!」と思えました。
今回はその感想なんかをお話していきたいと思います。
地域によってはまだ上映されていないところもありますので、観に行く予定の方はネタバレにご注意の上お読み下さい。
シネ・リーブル梅田
僕は12月11日の日曜日に大阪、梅田にある映画館、シネ・リーブル梅田で観てきました。
本当は大阪の公開初日に観に行く予定だったんですが、初めて行く映画館だったんで道に迷ってしまい、着いた時には上映時間が過ぎてしまっていました…。
途中から観ようか悩んだんですが、結局翌日出直すことに……。
次の日、なんとか上映時間前に到着することができ、無事観ることができました。
観に行く前にシネ・リーブル梅田についてネットで調べたところ、あまり広い映画館ではなく、角度もそんなにないので、後ろの方の座席だと前の人の頭が気になって映画に集中できなかったという書き込みがあったので、最前列のど真ん中で観覧してきました。
シネ・リーブル梅田は3Fと4Fの2フロアあるんですが「JACO」は3Fで上映されていました。
3Fの収容人数としては100人ちょっとぐらいかと思います。
最終的な空席は1/3ほどありました。
観に来ている人の年齢層もやはり高めでひとりで観に来ている感じの人が多かったです。
男女の比率で言うと7:3ぐらいだったかと思います。
上映スケジュール | シネ・リーブル梅田 | テアトルシネマグループ
イメージとは違ったジャコの人柄
正直、僕はこの映画を観るまでジャコ・パストリアスという人間のことを勘違いしてしまっていました。
天才と呼ばれ、現在でも多くの人々に影響を与え続けてはいるものの、若くして酒と薬に溺れ、最期は乱闘騒ぎで命を落とした、どこかぶっ飛んだ人間なんだろうと。
天才と呼ばれる人は大抵どこか変な人が多いという先入観があったからかもしれませんが。
劇中でたぶんメタリカのロバート・トゥルージロだったと思うんですが「ジャコはパンクスだ」と言っていました。
ジャズ、フュージョン界のいわゆるシド・ヴィシャス的存在ということなんですかね。
確かにステージの上でのジャコはパンクスそのものだったと僕も観ていて感じました。
ライブ終わりにベースを空高く放り投げてましたからねぇ……(笑)。
でもそれはステージ上での話で、普段は家族や友人を想う、心の温かい人間だというのを観ていて感じました。
下積み時代、ツアーで家にいないことがほとんどだったというジャコはツアー先のレストランではいつも一番安いものしか注文せず、ギャラの残りはいつも靴の底に入れて家族のために残しておいたそうです。
最初の妻である、トレイシーとは彼女が高校3年の時に意図的に子供をつくったと言われています。
ジャコの父親の ジャックは遊び人であったため、家にはほとんど帰らず、ほぼ母子家庭状態だったとか。
そんな家庭環境で育ったからこそ、ジャコは温かい家庭に憧れていて、早く自分で築きたいと思ったのかもしれません。
ジャコが子供たちと無邪気に遊ぶ心温まるシーンも収められていました。
周囲に恵まれなかった表現者
映画も後半になるにつれ、ジャコの目が段々変わっていってしまいます。
明らかにおかしい、普通じゃない目つきになっていっていました。
ジャコの奇行が増え出した経緯が収められており、観ていて悲しくなってきました。
これもおそらく劇中でロバート・トゥルージロが言っていたような気がするんですが「ジャコは表現者であって、ただ自分を表現する手段がベースだっただけ」的なことを言ってしまいした。
表現者として表現する場所を失ったジャコは相当苦しんだのでしょう。
周囲のプレッシャーに耐え切れず酒や薬に走ってしまったのは自業自得かもしれませんが、異変に気付いて手を差し伸べる人が近くにいれば、彼の人生も変わっていたかもしれません。
「ジャコはまわりの人間に恵まれなかった」的なことを誰か忘れてしまいましたが言っていました。
観ていて感じた素朴な疑問
映画の中の何かのインタビューで「なぜジャズベースをフレットレスに改造したのか」と聞かれた際「アップライトベースが壊れてしまって買い替えるお金がなかったから」と答えていましたが、アップライトベースって親友のボブ・ボビングが所有していた1960年製の黒いジャズベースと交換したんじゃなかったっけ?という疑問が浮かびました。
ネット上でジャコは言っていることがその時によって結構いろいろ違っていたりするというのを目にしたことがあるんですが、インタビューを受けた際になんとなく思いついてそう答えただけなのか、その交換したもの以外にもアップライトベースを所有していたのか、その点が観ていて個人的にすごく気になりました。
おわりに
ジャコ・パストリアスの熱心なファンじゃなくても楽しめる作品だと個人的には思いました。
ジャコとかフュージョンとかそんなに興味ないしなぁーと思っているベーシストの方も食わず嫌いせずにぜひ観てみてはいかがでしょうか!?
ベーシストはもちろん、アーティストやクリエイターの方にもおすすめしたいなと思いました。
個人的には映画終盤の「Bass of Doom」をメタリカのライブで使用しているトゥルージロの映像が非常に印象的でした。
https://www.youtube.com/watch?v=j_M1rLIvaI0
ライタープロフィール
ベーシスト・サウンドクリエイター
Broad Person
ベーシスト、サウンドクリエイター、ブロガー。
14歳の時にベースを手にし、バンド活動を開始。
その後、大阪の某音楽専門学校へ進学。
これまでにいくつかのインディーズバンドを渡り歩き、全国規模での活動を展開してきたが、限界を感じてあえなく就職。
就職後はベースの講師業も隠れてこそこそ行い出す。
DTMにも手を出し、ひとりで曲作りも開始。
自身のペースで地道に活動中。