【よく分かる】エレキギターのオクターブチューニング方法
チューニングが合わない、狂いやすいなどの症例に絡んでいるのがオクターブチューニング。
今回は自分でできるオクターブチューニング方法について解説していきます。
もくじ
オクターブチューニングって?
イントネーションチューニングとも呼びますが、開放を含むローポジションとハイポジションでの音程のズレを修整する作業です。
ギターの構造は音程が半音ごとに区切れていてこれをクロマチック(半音階)と呼びますが、12フレットは弦の全長のちょうど中間に位置していて、ここで音程が1オクターブ上がることになります。
開放がドレミファソラシドの低いドで12フレットが高いドになる。
そんな感じです。
オクターブチューニングはこの12フレットの音程が正確でない時に行う作業です。
オクターブがズレる原因アレコレ
プレイヤーのスタイル(ポーズでも体型でもない)によってさまざまですが、弦を押さえる力やピッキングの強さがオクターブにはかなり影響します。
高いフレットが打たれているギターは強く押さえると音程がシャープ(上がる)しやすいので、新品で購入した楽器でもオクターブが合わないという場合にはこの点が考えられます。
また、強く弾く方はビビりが出ないように弦高そのものが高めな場合が多いので、押弦した時に弦を引っ張る量が多くなりやはりシャープしやすくなります。
この2点については通常の調整は通用しないだけでなくその楽器の調整できる範囲では対応できない時もあります。
心当たりのある方は、今後調整に出す際には自分の演奏スタイルを伝えておくと良いと思います。
その他の原因では弦の質や古さなど。
質はともかく古い弦のオクターブは全くアテになりません。
またゲージの変更や、同じゲージでもメーカーを変えたりした場合もオクターブは微妙に変わってきますので、調整に出す時には使用弦を一緒に渡しておくことをおすすめします。
で、最も単純なのが自分でなんかイジッちゃった場合。
弦高を変えても、テイルピースの位置を変えても。
サドルの位置なんて当然。
つまりセッティングを変更したらオクターブは変わってくるということです。
オクターブチューニングの合わせ方 基本編
必要な工具はその楽器によって違いますが、チューナーはどんなのでもいいからあった方が良いです。
参考:ギターチューナー(チューニング・メーター)の種類と特徴
できればクロマチックで合わせられる物がベスト。
個人的にはLEDタイプより針メーターの方が好き。
下の写真はストラトのシンクロナイズドトレモロとギブソンのナッシュビルタイプブリッジのイジる場所と工具です。
フロイドローズについてはトレモロユニットのページを参照してください。
ではまず普通にチューニングをしたら、各弦の12フレットを押さえて音程を確認しましょう。
合ってたらまずはイジんないでいいですが、狂ってたらサドルの位置を変えてみます。
12フレットの音程が高かった場合、これはナットから12フレットまでの距離に対して12フレットからサドルの弦が乗ってる支点までの距離が短いということです。
この時はサドルの位置を後ろに下げて距離を長くとってやります。
逆に12フレットの音程が低かった場合、こちらは距離が長い訳ですからサドルを前進させて12フレットまでの距離を縮めてやります。
理屈解りますか?
弦は支点間の距離で音程が変わるんです。
同じ張力なら弦長が長い方が音程は低いんです。
サドルを動かしたら「振り出しにもどる」です。
まずチューニング。開放の音程が変わってるハズですから、合わせ直して再び12フレットの確認、調整を繰り返します。
注:押さえる強さは普段演奏する時と同じにしてください。
フェンダーシンクロナイズドトレモロの場合
フェンダーシンクロナイズドトレモロのサドルはプラスドライバーで。
時計回りでオクターブは下がり、逆回りで上がります。
ただし6弦は、弦高が高いと調整範囲が足りない時も多々あります。
これは弦の立ち上がり角度がキツくなるとオクターブはシャープする特性があるためで、サドルを後退させる作業はテンション(弦の張力)を上げることでもあるのです。
結果、下げた分上がってしまうような相殺状態になるため、この場合サドルの高さを下げ弦とサドル接点の摩擦を減らすような他の調整(ネックの仕込み角度など)が必要になってきます。
ギブソンナッシュビルタイプの場合
ギブソンナッシュビルタイプはマイナスドライバー。
フェンダー同様時計回りでオクターブは下がり、逆回りで上がりますが、これとよく似た形のABR-1というヴィンテージスタイルのブリッジはなぜか取り付ける向きが逆です。
ネジの頭がP.U側にくるようにマウントするので回す方向と音程の上下の関係が反対になりますから注意。
あくまで弦長を長くするのか短くするのかで考えてください。
オクターブチューニングの合わせ方・特別編
もったい付けた言い方ですが、なんのことはない。12フレット以外のポジションをやってみるだけです。
ピアノなどと違ってギターは1本の弦で2オクターブ位の音程を賄うのですから、12フレットでチューニングしても他のポジションが狂ってしまうことは極当たり前に起こります。
先に述べたナットの高さやフレットの高さなどが影響してシャープし易くなる。そんな時の対処法の一つです。
僕がいつもとる手段は、その人の多用するキー(曲の調)や、よく使うポジションを優先して合わせる方法です。
例えばブルース系はE、A、Dなど、5フレット7フレット辺り。
ハードロック系なら低音弦側は3〜7フレット、高音弦側にいくにつれて5〜15フレット辺りまで測定の場所を増やして平均をとる合わせ方です。
そして最終的にはピアノの調律みたいに和音の響きで微調整。
このコードだけはキレイに鳴ってほしいというところに重点をおいて合わせたりとか。
ちょっと乱暴な言い方ですが、ギター程アバウトな楽器に完璧なチューニングを求めてはイケマセン。
せめてここだけ的な合わせ方のほうが向いてる楽器だと僕は思います。
皆さんも自分流のオクターブチューニングの合わせ方が見つけられると思うので、ぜひやってみてください。
どうしても合わなかったらお気軽にご相談を。
ライタープロフィール
ギター修理専門の個人工房
RUNE GUITAR MAINTENANCE 佐藤
埼玉県にあるギターの修理専門の個人工房です。
ウェブサイト:http://www.runeguitar.com