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オレンジギターアンプ Orange ADシリーズ
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オレンジギターアンプ Orange ADシリーズ

現在、Orange社には様々なアンプがラインナップされています。

Rockerverbシリーズ、さらに機能を追加したTH&Thunderverbシリーズ、ミニヘッドのTerrorシリーズなどです。

それぞれ現代のニーズに合わせた人気の高いシリーズとなっています。

Orange Amps

Orange Amps

ADシリーズ

その中にあって忘れられない、生産終了せずに是非とも残り続けて欲しいと個人的に願うシリーズがあります。

それはADシリーズです。

現在公式HPを見てみるとADシリーズはAD-30TCのヘッドとコンボだけのようです。30という数字のとおり30W出力、2ch(TC=Twin Channel)仕様アンプです。

AD30HTC Head

AD30HTC Head

一方、私が持っている2005~2006年のカタログを見るとAD140HTCAD30R/212コンボ、AD15/12そしてAD30TCのヘッドおよびコンボタイプがラインナップされています。

AD140HTC

AD140HTC

パワー重視のクラスA/B動作と、サウンド重視のクラスA動作をモデルに応じて搭載し分けている。完全独立の2系統のコントロールを持ち、クリーンとリードに設定可能。ハイパワーモデルとしてブリティッシュサウンドの代表モデル。

AD30R

AD30R

1ch仕様でシンプルなコントロールながら、GainとMasterの組合せで幅広いトーンが得られる。出力は30W、スピーカはCeletion Vintage30×2でパワフルなサウンド。

AD30TC Combo

AD30TC Combo

AD30はクラスA動作パワー回路を使用し、スムースでスイートな音色を持つオレンジサウンドを提供します。しかも2系統のコントロールを持つのがAD30-2チャンネルコンボ。1チャンネルをクリーンに、もう1チャンネルをリードにと切り替えて使用できます。

綺麗なクリーンからハイゲインなサウンドまで幅広い音作りが可能なRockerverb以降のシリーズとは異なり、ADシリーズはクリーンからクランチくらいが守備範囲かなと思います。

エフェクトループも持たない非常にシンプルなモデルです。

ミドルに特徴的なサウンド

そして音域もローからハイまで出るのですがグッとミドルに寄ったなんともクセのあるサウンドが特徴的です。

が、それゆえにそのクセのある音にはまるととても魅力的なアンプとなるのです。

出音に関しては当然スピーカーの数によって変わってくるかとは思いますが私の所有する12インチスピーカー一発のAD15/12はローは大人しめでミドルに存在感があり、ハイはきらびやかでありつつ耳に痛くない丸みがあるようなサウンドです。

AD-140HTCのようなヘッドタイプであればPPC412という12インチスピーカー4発のキャビネットを使う事になると思います。

そうするとローがより多く出るかと思われますが全体の音の傾向は同じではないかなと考えます。

魅力的な高域、きらびやかだがマイルドな高域

なんとも魅力的な高域、きらびやかだが痛くないそしてどこか丸みを感じる高域はどこから来るのでしょうか。

これは私の予想ですが真空管の違いではないかと思っています。

パワー管の違い。EL-84とEL-34

同じワッテージのAD-30とRocker-30を比較してみるとプリ管は双方ともECC83ですが、パワー管について見てみるとAD-30はEL-84、Rocker-30はEL-34となっています。

真空管

http://education.lenardaudio.com

AD-30に使用されているEL-84、これはVOXのAC-30と同じ物となります。

AD-15についても同じくパワー管はEL-84です。このあたりが関係しているのかなと考えているのですがAD-140はEL-34を使用しているのであまり説得力がないです。

Rectifier(整流器)

ただもう一つの部分についてはRockerverbシリーズとADシリーズではっきりと違っています。

それは「Rectifier(整流器)」と呼ばれる部分です。

これはコンセントから取ってきた交流(AC)電源を直流(DC)に変換する役割を担っているのですが、その整流器についてADシリーズは全てGZ34という真空管を使っています。

GZ34

GZ34

一方のRockerverbについてはカタログには特に記載されていないので真空管ではなくダイオードを使用していると思われます。

真空管で整流しているから優れているというわけではなくてプリ部パワー部といったアンプ部だけでなく整流部についても真空管を使用するか否かで音が変わるということです。

このことはMesa Boogie社の代表的なシリーズであるRectifierシリーズがその名のとおり、整流部を真空管で作動させるかダイオードで作動させるかセレクトできる機能を持っていることからもわかるかと思います。

ADにしか出せない音

こうしてまとめるとADにはADにしか出せない音があり、それは万人に受けずとも少なからずのギタリストにとってはとても魅力的な音であるということです。

ここ数年のOrange社はよりハイゲインを謳った「Dual Dark」シリーズや、大出力仕様ソリッドステートアンプの「Crush Pro」シリーズを展開していますが、何とか名機であるADシリーズも作り続けて欲しいところです。

ちなみに私が所有しているAD15/12も15Wながら結構な音量が出るので、余程パワフル過ぎるドラムじゃなければバンド内でも埋もれることなく使用可能です。

また、裏面パネルには無いですがアンプ内部に8Ωと16Ωのスピーカージャックがあるので、外部スピーカーキャビネットに接続することも可能です。

AD30

AD30

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