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ポール・マッカートニーは何がすごいのか?
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ポール・マッカートニーは何がすごいのか?

ポール・マッカートニーが、2017年4月25日(日本武道館)、27日、29日、30日(東京ドーム)で2年ぶりの来日公演を開催します。

せっかくの機会なので、彼がどれほどすごいアーティストであるかについてお話します。

なお「ビートルズになれなかった男たち」の続編は次回でご紹介します。

レノン=マッカートニーという史上最強のコンビ

皆さんは、ビートルズの楽曲のほとんどに「レノン=マッカートニー」というクレジットが付いていることにお気づきになると思います。

これは、もちろん、ジョン・レノンとポール・マッカートニーの2人で作詞作曲したことを示しています。

この2人のすごいところは、作詞も作曲もどちらもできたことです。

現代でも作詞家と作曲家は別ということが多いのですが、彼らはそれぞれ1人で全部をこなしました。

元になるアイデアはどちらか一方が提供し、他方がそれに協力したというパターンです。

初期のころは本当に2人が額を突き合わせて制作していました。

やがて、それぞれが別々に制作するようになり、後期になると完全にどちらか一方が1人で制作し、他方は全く関わらないか、多少手伝う程度になりました。

それでもレノン=マッカートニーというクレジットは解散するまで使い続けました。

卓越したコンポーザーとしての能力

これは作品を聴いていただければ分かりますが、シングルであれアルバムであれ、どれを取っても後世に残る名曲ぞろいです。

ジョンとの作風の違いは後期に入るとハッキリするようになり、ジョンがプロに好まれるような難解な構成の曲を好んで制作するようになったのに対し、ポールは、誰にでも分かる親しみやすい構成の曲を好んで制作しました。

特に、後期になると一般受けが要求されるシングルA面のほとんどは、彼が制作した曲で占められるようになりました。

「ハロー・グッドバイ」「ヘイ・ジュード」「レット・イット・ビー」など今でも世界中のアーティストたちにカバーされる名曲を制作しています。

美しいメロディーラインと分かりやすい歌詞

ポールは、特にバラード系の曲で顕著な傾向ですが、誰が聴いてもうっとりしてしまう美しいメロディーラインを制作すると神がかり的な才能を発揮しました。

素直でありながら、誰もが思いつきもしなかった美しいメロディーラインを制作できたのです。

ある夜、彼がベッドで眠っていると突然美しいメロディーが頭に浮かびました。

慌ててベッドから飛び起きると、忘れないように歌詞とコードをメモしました。

彼は、とても美しい曲だと思ったのですが、あまりにも美しい曲なのでこれは誰かが既に作った名曲であり、自分はそれを無意識に拝借したのではないかと疑心暗鬼に陥りました。

それで、早速他のメンバーにガイド演奏を聴かせたのですが、誰もそんな曲は聴いたことがありませんでした。

それでポールは、安心してこの曲をレコーディングし、シングルカットされ大ヒットしました。

その名曲が「イエスタデイ」です。

比類なきボーカルの才能

ポールは、「七色の声を持つ男」です。

ビートルズ時代のボーカルを聴いても、「ポール・マッカートニーって何人もいるのか?」と錯覚してしまう程、曲によって変幻自在に声を使い分けていました。

桑田佳祐をして「ポールの声は日本人では出せない。彼の喉にはEQ(イコライザー)が付いている」と言わしめた程です。

また、女性並みの高音をいとも簡単に出せ、しかも力強いボーカルができました。

それでもつぶれない強靭(きょうじん)な喉を持っていたのです。

ピッチは正確で、彼のボーカルのある部分を現代の機器で測定すると、見事に±0をインジケータが表示するのです!

また、彼は、ビブラートが嫌いでかけませんでしたが、それは女性がスッピンで勝負するようなもので、リスナーを感激させるのはかえって難しいのです。

革新的なベーシスト

忘れられがちですが、ポールは超一流のベーシストです。

彼のベースの特徴は、何といってもメロディアス・ベース(メロディアック・ベース)です。

すなわち、ベース・ランニングがメロディアスになっていて、ベースにもかかわらず演奏がメロディーっぽくなっているのです。

それまでのベースといえば、根音(ルート音)と呼ばれるコードの基準となる音を提供し、ドラムと共にリズムセクションの基盤を作ってサウンドに厚みを持たせるものでした。

もちろん、これは今でも変わりませんが、これだとベースラインだけを聴いても何の曲かはなかなか分かりにくいのです。

ところが、ポールは、メロディアス・ベースという革新的な奏法を編み出したのです。

これは、彼がギタリストからベーシストへと転向したことも大きな要因となっています。

彼は、ヘフナー500-1というバイオリン型のベースを愛用していました。

これは小さくて軽くネックも短いため、特にライブなどではギターのように演奏することができました。

これも彼がメロディアス・ベースを弾くことに大きく貢献したといえます。

ポールがこのような奏法を採用したことにより、それまでは「縁の下の力持ち」的な役割を担っていたベースが俄然(がぜん)脚光を浴びることになり、彼に憧れて多くの若者たちがベーシストを志すようになりました。

この音源は、サムシングという名曲のベースだけを抜き出したものです。

実に素晴らしいベース・ラインです。

楽器ならなんでもこなせるオールラウンドプレーヤー

ポールは、バンドが使用する種類の楽器は何でもこなせ、しかもそのテクニックも優れていました。

後期に入るとキーボードを演奏する曲が増えましたが、「ヘイ・ジュード」のようなバラード、「バック・イン・ザ・USSR」のようなアップテンポなロックでも、素晴らしい演奏を披露しています。

後者では何とドラムまで叩いているのです!というのも彼がリンゴ・スターのドラムにあれこれ注文を付けたため、リンゴがブチ切れて一時脱退してしまい、仕方なくポールがドラムを演奏しました。

戻ってきたリンゴがポールのドラムを聴いて「うまい」とほめた程です。

また、ギターのテクニックも抜群で、ジョージの作品の「タックスマン」では、間奏のソロをジョージに代わって弾きました。

ジョージが何度やってもうまくできず、見かねたプロデューサーのジョージ・マーティンがポールに代わるよう指示したのです。

するとテイク1か2で見事に決めました。

ポールは、「ジミ・ヘンドリックスを意識した(これはずっと後になって雑誌の取材に応えたもので、当時まだジミ・ヘンドリックスはデビューしておらず、ポールの勘違いでした。それはともかく)」と語っていますが、インド音楽を連想させる実に絶妙なソロを演奏しています。

しかも、これが全くのアドリブだったというから驚きです。

最後に

彼は、2017年のジャパン・ツアーでは74歳ですが、この年齢でいまだにステージに立っていること自体が奇跡に近いです。

彼と同い年のソウル・シンガーの大御所であるアレサ・フランクリンも2017年に入り、引退を表明しました。

ファンも「これが最後」との思いを胸に抱きつつ参加することと思います。

私も彼の姿、声、パフォーマンス、そして会場全体の空気をすべて五体に染み込ませるつもりで参加します。

東京ドームへ行かれる皆さん、現地でお会いしましょう!

ライタープロフィール

和田晋司

ビートルズの熱狂的ファン

和田晋司

大阪府出身 ビートルズのファン歴ウン十年。

色んなものに手を出しましたが、唯一続いている趣味がこれです。

ビートルズの語り部として彼らの偉大さを後世に伝えていきたいと思っています。

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ

ウェブサイト:http://abbeyroad0310.hatenadiary.jp

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