来日公演間近!ポール・マッカートニーがライブを続ける理由とは?
悲しいことですが、今回の来日公演について、一部のマスコミが「もう来ない詐欺」とか「金儲け主義」などといった的外れな批判をしています。
ポール来日!待望の最新ツアーが遂に日本上陸!ワン・オン・ワン ジャパン・ツアー 2017
スルーしても構わないのですが、マスコミの影響力は大きいため、ファンでない一般の方が誤解されるといけないので、ポールの名誉のためにあえて筆を取りました。
もくじ
ポールは74歳!
まずポールの年齢を考えてください。
74歳ですよ!?(2017年4月時点)
いつ「Xデー」が来てもおかしくありません。
実際、彼と同い年のソウル界の大御所、アレサ・フランクリンも2017年に年齢を理由に引退を表明しました。
彼女は、シンガーですからボーカルに専念できますが、ポールは、ボーカルに加えて立ちっぱなしで重いエレキギターやベースを持ち、キーボードを演奏するのですから負担はさらに大きいのです。
しかも、本番前の早い時間帯からサウンドチェックも行っています。
「もう来ない詐欺」というのは、「もうこれで来日は最後と言いながらまた来るじゃないか」、つまり「閉店セール」と銘打って営業を続けているのと同じだという批判ですが、ポールやスタッフも含め、そんなことは一切発言していません。
勝手にそう思い込んでいる人がいるだけです。
それをあたかもファンの多くがそう思っているかのように報道するマスコミの姿勢には大いに疑問を感じます。
驚異的なパフォーマンスの充実ぶり
今回の公演は分かりませんが、少なくとも2年前の来日公演の時までポールは、ライブ中一度も休憩せず、水分補給もしないでパフォーマンスを続けたのです!
現代の20代のアーティストですらこんなことはしません。
何度が休憩を挟み、ステージ上で水分を補給するのが普通です。
彼が舞台袖に下がったのは本番のパフォーマンスが終わった時だけです。
それもアンコールで再び登場しました。
最初から最後までメインボーカルを務める
ビートルズ解散後、自ら結成したウイングスのライブでは、30代の脂の乗り切った頃でしたが、それでも何曲かのメインボーカルを他のメンバーに譲りました。
しかし、ソロになってからは自分が全曲でメインボーカルを務めています。
つまり、ステージ上でスポットライトを浴びない時間帯はないのです。
演奏曲数は39曲!
https://www.youtube.com/watch?v=zfum45pPVC0
2015年4月25日の東京ドームでのライブでポールは、1ステージでアンコールも含めると何と39曲も演奏したのです!
現代の若手のアーティストですら20数曲程度であることを考えると、驚異的な多さです。
いかにビートルズ時代の前期の曲が3分未満の短いナンバーが多かったとはいえ、これだけの曲でクォリティを維持しつつ演奏することがどれだけ大変なことか、想像できると思います。
彼がライブ終盤に日本語で「まだ聴きた~い?」と観客に尋ねるのがお約束になっていました。
もちろん、観客はもっとやってくれと要求します。
するとポールは「でも、もうおうちに帰って寝なくちゃ」と言いつつ、ベッドで眠るような仕草(しぐさ)を見せます。
しかし、その後もちゃんとパフォーマンスを続けてくれるのです。
資産は十分持っている
2016年、イギリスとアイルランドのミュージシャンを対象にした長者番付で、ポールは妻のナンシー・シェベルと共に、総資産約1,195億円でトップに立ちました。
使いきれないほどのお金を持っている人が、わざわざ遠い日本まで行って「金もうけ」なんかするでしょうか?
私だったら、とっくに引退して悠々自適の暮らしをしますよ。
ポールはライブが大好き
ポールは、ライブが大好きなんです。
確かに、ビートルズ時代の後半には一切のライブを中止しましたが、これはあまりの過密スケジュールとマスコミの悪意に満ちた報道、そして加熱する一方のファンと警察の冷たい態度に嫌気がさしたためです。
解散が近づいた1969年に「ゲットバック・セッション」と銘打って、気乗りしない他の3人を説得してアップル社の屋上でライブをやったのも、もともとライブが好きだからです。
大の親日家
ファンにはよく知られていることですが、ポールは、相撲が大好きで福岡ドームのライブでは、わざわざ福岡場所まで行って大相撲を客席で観戦したのです。
また、この時ポールは、懸賞金も提供しました。
取組前に呼び出しが懸賞金ののぼりを観客に見せながら土俵の周囲を一周したのですが、そこには「ポール・マッカートニー」と大きく表示され、観客席が大いに沸きました。
来日アーティストでここまでやった人は彼が初めてで、翌日の新聞紙上をにぎわせました。
それから2013年にリリースされた彼のアルバムが、いち早く日本での売り上げがトップになったことをステージで報告し、ファンに感謝していました。
なぜ何度も来日するのか?
ポールは、2015年7月2日、アメリカで発刊されているエスクァイアという男性向け月刊誌の記者からなぜ何度も日本で公演するのかと質問されました。
ヨーロッパなら近いし、アメリカも大きなマーケットだから分かる。
しかし、先進国とはいえ、なぜ遠いアジアのそれも一つの国に何度も行くのかと記者は疑問に思ったのでしょう。
それに対し、彼はこう答えました。
「理由は2つある。ライブが好きだから、そしてそれが私の仕事だから」
しかし、この2つだけでは回答として不十分ですね。
これだけなら、わざわざ日本まで行く必要はありませんから。
さらに彼は付け加えました。
「3つ目の理由は、観客だ。日本の観客は、私が歌うと信じられないほど暖かい賞賛を返してくれるんだ。これが嫌いな人なんかいないだろ?」
お断りしておきますが、これは決してリップサービスではありません。
なぜなら、この雑誌は主にアメリカ国内で販売されており、日本語版はこの当時は休刊になっていたからです(この記事は、エスクァイア8月号に掲載されています)。
日本からの取材ならリップサービスもしたかもしれませんが、そんな必要がないのですから本音と考えるのが自然でしょう。
欧米のファンは、熱狂して座席なんかもお構いなしでステージ前に殺到します。
それに比べ、日本のファンはちゃんとマナーを守り、自分の席で彼に声援を送ります。
彼のパフォーマンスに興奮しながらも、暖かく応援しているのです。
同じ記事でポールは、ずっと以前に50歳になったら引退するつもりだと当時のマネージャーに提案したと語りました。
しかし、彼の反応はあまり良くなかったのです。
それでポールは、「ああ神様、彼の考えはおそらく正しいのでしょう」と現役続行を決めたのです。
もっとも、マネージャーは、ポールに引退されると、自分の仕事が無くなってしまうことを恐れただけかもしれませんが(笑)。
それはともかく、ポールは、音楽活動を続けることが好きで好きでしょうがないんですよ。
ジャパン・ツアーでの感激
ポールが特に感激したのは、11年ぶりのジャパン・ツアーとなった2013年の東京ドームです。
最終日の11月21日にポールに対するサプライズで、アンコール後に演奏された「イエスタデイ」の演奏が始まると、ファンが一斉に真っ赤に点灯したサイリウムを振り始めたのです。
主催者がポールに内緒で企画し、入場するファンにサイリウムを配布して協力を求めたのです。
真っ暗な観客席で整然と揺れ動く5万本のサイリウムが織りなす美しい光のページェントにポールは大感激しました。
あるいはこの出来事が彼に「またジャパン・ツアーをやりたい」と思わせたのかもしれません。
それから立て続けにジャパン・ツアーが開催されましたから。
もっとも、残念ながら2014年は、ポールが来日後急病になり中止になってしまいましたが。
最後に
一般の皆さんにぜひご理解いただきたいのは、ポールが何度も来日するのは決してお金のためではないということです。
彼は、純粋にライブが、そして日本が好きなだけなんです。
どうか彼を揶揄(やゆ)するような報道には耳を傾けないでください。
ライタープロフィール
ビートルズの熱狂的ファン
和田晋司
大阪府出身 ビートルズのファン歴ウン十年。
色んなものに手を出しましたが、唯一続いている趣味がこれです。
ビートルズの語り部として彼らの偉大さを後世に伝えていきたいと思っています。
ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ