プロが語る!BABYMETALピアノ編曲のウラ話
前回の「BABYMETALをピアノ編曲したときの耳コピ術」の続きです。
BABYMETAL(ベビーメタル)のピアノ編曲のウラ側をそのままご紹介したいと思います。
[ダウンロード版]
音が多すぎることがある
聴き取り作業が終わり、アレンジ作業をしている時に、どうしても諦めなくてはいけないことがあります。
全楽器が派手に動いている曲、または部分、曲のクライマックス部分です。
「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の中にすでにありました。
BABYMETALの曲には、全部クライマックスのようなスゴイ曲もありますから、全体を通して音が多いことも多々あります。
「紅月」「Road of Resistance」「Tales of the Destinies」「THE ONE」などですね。
しかし、両手で演奏できる音と音域は限られています。
その範囲内でいかに原曲に近づけるかが勝負です。
実は歌の部分と分けて伴奏として作ってみたこともあります。
まだ公式には出していませんが、「No Rain, No Rainbow」です。
でも、弾き歌いでやってみたら、やっぱり全部1人でピアノで弾いた時が私は気持ちが良いのです。
ですので、10本の指で全部をすることに決めました。
そもそも演奏が難しすぎて弾き歌いもできないかもしれません。
でも、そこがBABYMETALのいいところで、好きなところでもあります。
何の楽器を犠牲にするのか
いつも犠牲になってしまう楽器があります。
何とギターなのです。
演奏はしていませんがキーボードパートというのでしょうか、ストリングスなどの陰の盛り上げ役のパートも犠牲になることがありますが、心痛むのはギターのメロディーです。
ギターという楽器はできることの範囲がとても広いですよね。
ベースと同じ動きもできるし、コードも弾ける、コード内で激しく音を動かすこともできるし、歌のメロディー以外にメロディーを演奏することまでできますよね。
メロディーが歌に沿っていれば歌と一緒にピアノで弾けます。
でも、音域も違う、全く違うメロディーを弾いてたりします。
これです、この、ギターのメロディーのことです!
思いのほかいいメロディーが多いんです。
明らかに主張するべきメロディーを、歌の後ろにかぶせてきます。
本当に悔しいですねぇ、演奏してあげられないことが。
泣く泣くカットするこの悲しさ、わかりますか?
ギターを弾かれる方なら、その悲しさをわかってくださると思います。
曲全体の主要なメロディーの優位性とその責任を全うしなければいけないんです。
聴音していて、初めは何もわからず聴きとっていたのですが「今はここは弾けないかもしれない」と思いながら聴き取ることが出てきました。
ストリングスなどは、やたら難しくて、弾けないかもしれないのに1番聴き取るのに時間がかかったりします。
一息ついて、コーヒーとチョコの時間にするしかありません……。
犠牲にする楽器の中にも編曲のヒントが隠れていることもある
でも、犠牲になると分かっていても必ず聴き取ります。
まれに部分的に入れられることもあるので、諦めないで聴き取り続けます。
また、ハーモニーのヒントになることもあります。
一音違えば別のコードに変わり、違う雰囲気になってしまうのですから。
ピアノの音のみで勝負している私にとって、何の音を使うのかは、超重要問題です。
音色が一つなので、何の音を使うかによってカラーが少しずつ違ってきます。
わざと原曲と違う音を使う場合もあります。
ここまで来ると、すべて感覚での勝負です。
理屈では完成しません。
CDをお持ちの方は「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の最後のほうの「イジメダメ!イジメダメ!かっこわるいよ~」のところをよーく聴いてみてください。
ギターの隠れメロディーがとてもかっこいいです。
手が3本あればいいのに。
ライタープロフィール
ピアノ講師
西岡裕美子
【プロフィール】 幼少からヤマハ音楽教室に通い、音楽の研鑽を積む。
北海道札幌北高等学校普通科卒業。
北海道教育大学札幌校芸術文化課程音楽コース卒業。
現在、(株)エルム楽器ヤマハ音楽教室講師。
石山東音楽教室主宰。
合唱や声楽の伴奏、自身の音楽活動も行っている。
読み聞かせユニット「ピアノストーリア」での作曲・語り、童謡・お子様向けピアノアレンジ楽譜サイト「童謡楽譜わらべえ」での童謡編曲・BABYMETAL「イジメ・ダメ・ゼッタイ」ピアノ用編曲なども手がけ、活動の幅を広げている。
【講師歴】 講師歴は、16年になります。
ヤマハ音楽教室のシステム講師として、2歳からご年配の方まで指導経験がございます。
北翔大学にて幼稚園、小学校の免許取得に必要な、音楽の実技指導経験がございます。
信念と情熱で石山東音楽教室を盛り上げていきます。
【取得資格】 中学校・高等学校教諭一種免許(音楽)ヤマハピアノ演奏グレード3級 ヤマハエレクトーン演奏グレード4級 ヤマハ指導グレード3級 【受賞歴】 2004年 東京国際芸術協会第新人賞受賞 2007年 ピティナ・ピアノコンペティション(デュオ部門)奨励賞受賞 2007年 旭川市新人賞(ピアノ部門)受賞 2008年 ANP全日本ピアノデュオコンクール奨励賞受賞 2008年 ヤングアーチストピアノコンクール(2台ピアノ部門)奨励賞受賞 2008年 旭川市新人賞(アンサンブル部門)受賞 などとありますが、やはり現在の演奏に対する心・姿勢と、向上心を大切にしています。
【師事歴】 下家香世子、秋山由美子、佐々木朋香、二宮英美歌、石橋克史、各氏のもとで、ピアノを学んでまいりました。
【所属している会】 東京国際芸術協会、フェリーチェ楽友会、ハイメス・アーティスト、各会員。
【ブログ】ピアノ演奏と音楽教室の意義について
http://ihmusichappy.blog.fc2.com/
【YouTube】童謡楽譜わらべえ
https://www.YouTube.com/channel/UCvv2tm3e8_-T02tZM2Hx_xA
【お問い合わせ】 ishiyamahigashi.music@gmail.com
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