【ピアノ弾いてみた完全マニュアル】耳コピから撮影しながら演奏する心構えまで
弾いてみた動画をアップロードしたいけど、耳コピができない……撮影しながら演奏がうまくいかない……。
ましてや、まだ楽譜がない新曲を弾いてみるとなればなおさら困ってしまいますよね。
インターネットに自分の演奏動画を投稿しよう、またはしているというあなたへ、他人の譜面の手を借りず耳コピに励むための助言を提供します。
もくじ
ピアノを弾く前に〜手早い曲のインプット 記憶力に自信のない方へ
演奏動画界隈によく見られる風潮として、新曲をいち早く演奏して投稿する!というものがあります。
これは実に合理的な戦略です。
新曲公開直後という最もホットな時期にその曲の演奏動画を上げるというのは多くの注目を浴びやすく、動画の再生数をはじめとする数字の伸びも期待できます。
筆者も頻繁に、流行の波に乗るべく公開されたての曲を何度も聴いて覚えて鍵盤に落とし込もうと努力しています。
手早く曲を記憶しようと励むものの、筆者がそれをおこなうには致命的な障壁がありました。
それは曲のインプット、つまり、記憶することが非常に遅いということです。
たとえばこのようなリズムが複雑な曲などは、数回聴いたところで脳内再生は瞬く間にぼやけて消えてしまい、うろ覚えで弾いたリズムは思った以上に原曲離れ、といった状態です。
聴くだけでは記憶に留めにくい、そう思いインプット方法を根本的に変えようと考えました。
それはメロディ譜を作る、ということです。
メロディ譜の作成
メロディ譜とは曲のメロディのみ記した譜面のことであり、これを作る過程で自然と曲の構成を記憶できるということがここでのねらいです。
作り方としては、原曲を何度も聴きながら、楽譜作成ソフトを用いて(筆者はMuseScoreを愛用しています)ほどほどに正確なメロディを打ち込むのみ。
「ほどほど」にというのは、あまり完璧主義になりすぎるとメロディ譜を作るだけで時間がかかりすぎて疲れてしまい、逆にあまりに乱雑だと楽譜として機能しないためです。
目安として8〜9割程度の精度でよいでしょう。
一見手間が掛りそうなこの作業ですが、記譜内容はメロディのみ、つまり右手だけですし、ましてや単音で十分です。
経験上、一曲仕上げるのに1時間前後で事足ります。
また、その1時間のうちに必然的に曲を何度も聴き返すことになりますので、メロディ譜ができ上がるころには曲の構成はもちろん、譜面そのものが大体耳に残るようになりますから、有意義な1時間ではないかと思います。
耳コピ上級者であればこのような作業は省略できますが、筆者のように正確性に自信がない方はご一考していただければと思います。
動画を取る前に〜コードを正しく聴き取る
筆者がピアノ編曲を施すとき、左手のアレンジはおおむね「音程はコード、リズムはドラム」の役割をもとに決めています。
ここではコードに焦点を絞って話していきます。
作曲の過程においてコード進行とは曲の根幹をなし、作曲者の強いこだわりと試行錯誤が込められていると想像できます。
したがって、コードを正確に聴き取ることは原曲への敬意を表すことにつながります。
その反面、コードをおろそかにすることは非常に失礼なことではないかと筆者は考えますし、コードを聴き取れていない演奏動画というのはどうしても違和感が残ってしまいます。
ただ、そうは思ったところで、これを耳コピするとなると難しいのです。
それではどのように耳コピすればよいのか。
耳コピをする際は、いきなりコードを聴き取ろうとするのはコードの種類の膨大さゆえに難しいので、段階を踏んで絞り込んでいきましょう。
その段階は以下の通りです。
根音(ルート音)を聴き取る
根音とはルート音と呼ばれるもので、和音の基礎となる音のことです。
例えばCメジャーの構成音はド・ミ・ソであり、ドが根音に当たります。
多くの場合根音は和音の最低音になり、それゆえコードの構成音の中で最も聴き取りやすい音になります。
試しになにか無作為に和音を鳴らしてみると、中間の音はなかなか判別しにくいものの、最高音と最低音は比較的聴き取りやすくはありませんか?
耳コピの場合、この最低音こそが根音を務め、正確なコードにたどり着くための手助けとなるのです。
メジャーorマイナーを特定する
前提として、A〜Gの♭も含めた12音のメジャーコードとマイナーコードの合計24個のコードは完璧に覚えてください。
根音さえわかれば、これらのコードはかなり絞り込めます。
例えばドを構成音にもつメジャー&マイナーコードはたったの6種類(C,Cm,F,Fm,G#,Am)その中のほとんどが、曲と一緒に鳴らしてみると「どう考えてもこれは違う」とわかるものです。
そのようなプロセスを踏んでコードを特定しましょう。
耳コピ初心者はこの段階で切り上げても問題ないと思います。
各種セブンスコードを検討
セブンスコードとひとくくりに言っても、その種類は7,M7,m7,mM7,などなど、意外と多いです。
しかし前段階でメジャーかマイナーかに絞り込んだおかげで、どのセブンスかも実質半数にまで絞れます。
あとは曲と一緒に何度も鳴らしながら、どれが一番しっくりくるか確認してみてください。
もしどれも納得がいかなければ、シックスコードやサスペンデットコード等が考えられますが、これらは珍しいでしょう。
選択肢はそう多くないはずなので根気強く調べ上げてください。
以上の手段でおおむね正しいコードをつかめるはずです。
さて、かく言う筆者は実際のところ曲を通して完璧にコードを聴き取れることはなかなかないです。
動画をアップロードして客観的に見ることで初めてミスに気づき、己の実力不足を深く反省する日々です。
自戒の意味も込めて、この記事をご覧のあなたにはぜひ曲を一度耳コピしても本当にそのコードで合っているか、余念がない音の推敲をし、質の高い演奏を創り上げていただきたく思います。
いざ動画撮影〜通しで弾けてからがスタート
自分の演奏を動画や音声で記録するって緊張しますよね。
中には平常運転でリラックスして弾ける方もいますが、筆者はたとえ自室のいつものピアノであろうとガチガチに緊張してしまいます。
何度もリテイクして弾いていくうちに気分も落ち着いてきて、やっと満足のいく動画が撮れたと思ったころには100テイク超えというのもザラです。
さて、そのように何度も撮り直す中で、日頃心掛けている注意点を紹介します。
OKテイクが撮れても撮影を続ける!
何度も何度もカメラを止め、そしてまた録画を始め、同じフレーズでつまずく……。
しかし、つらくてもなんとか乗り越え、やっとの思いで最後まで目立ったミスもなく弾けた!となっても、決してそこで撮影を止めず根気強くテイク数を重ねてください。
なぜなら、筆者のような上がり症にとっては、いい感じに弾けたつもりでもどこか腑に落ちない演奏になっていることがあります。
曲の後半に進むにつれ、後で映像を見返したら、心なしか動きが硬いような、少し走ってしまっているような……。
これはほとんどの場合、「ここでミスったら全て台なしだ」というプレッシャーが原因でしょう。
とは言え、またやり直すなんてとてもやってられない、と思うかもしれませんが、意外なほどにそんなことはありません。
なぜなら、一度成功テイクの候補が撮れたころには、手も十分に動くようになり、コツもつかめていて、何より「ボツにならないかもしれないものが撮れた」という後ろ盾は大きな安心感を与えてくれるからです。
そして緊張がほぐれ、成功テイク候補が連発するようになるはずです。
つまり、「初めて曲の最後まで弾けた」というのはゴールでなくスタートなのです。
1回の成功で慢心せず、ぜひもうちょっとだけ頑張ってみてください。
思った以上にと精神的に苦にならずに、よりよい演奏が撮れるはずです。
ライタープロフィール
ピアノYouTuber
へらっぺ
耳コピアレンジを中心にピアノ演奏動画をYouTubeに投稿しています。
ピアノ初心者・中級者層向けに演奏動画のコツやノウハウを教えられればなと思います。
Twitter:herappee
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCgIIlSjJwqji_toAAQ-F2kw/featured
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