ジェフベックでも有名なロックギターに人気のディストーション・エフェクター ProCo RAT2
ジェフベックが使用し一世を風靡したディストーションペダル、RATがProco社から発表されたのは1978年のことです。
そのRATの基本設計を受け継いで1988年に発売されたのが、このRAT2です。
先代RATは前述のジェフベックのほか、トム・ヨークや椎名林檎などのロックミュージシャンに愛用されている、まさに名作と呼ぶべきエフェクターです。
もちろん、現行型であるRAT2もその特徴を受け継いでおり、そのサウンドは先代に引けを取りません。
むしろ、RAT2には先代に装備されていなかったLEDランプが搭載され、ひと目でONとOFFを見分けられるので、より使いやすく進化したエフェクターといえます。
独特のディストーションサウンド
さて、そんな名作エフェクターであるRAT2最大の魅力は、3つのツマミで作り出せる独特のディストーションサウンドです。
ツマミは向かって左からDISTORTION、FILTER、VOLUMEとなっています。
この3つの中で特にRATの特徴となっているのはFILTERのツマミです。
DISTORTIONで歪の量を調整し、VOLUMEで最終的な音量を決定するという点はほかの歪系エフェクターと同じなのですが、FILTERツマミはほかの歪系エフェクターについているTONEのツマミとはまるで違う働きを持っています。
FILTERは、いわゆるハイカットフィルターとしての役割をもつツマミです。
FILTERツマミを右に回すほどに、高音域が削られてローが強調された音になります。
このツマミを使いこなせなければ、RAT2のサウンドを十分に活かすことはできません。
使い勝手の良いエフェクター
逆にいえば、FILTERツマミの使いこなし次第でRAT2はかなり使い勝手の良いエフェクターになります。
たとえば、JC-120のようにアンプで歪みが作りにくく、シングルコイルのギターとつなぐとハイが強く出過ぎてしまうアンプを使う場合でも、RAT2のFILTERツマミを上手く使えば柔らかく芯の太いディストーションサウンドを鳴らすことができるのです。
RATのサイトで各機種のサウンドチェックができます。
サウンドの傾向
RAT2のサウンドは、特にストラトなどのシングルコイルのギターに合うとされているので、RAT2とシングルコイルピックアップのギター、JC120という組み合わせは、スタジオにおけるRAT2の使い方の王道ということができるでしょう。
ただ、RAT2のサウンドは中音域に特徴がありすぎて、やや使いにくいと感じるギタリストも少なくはありません。
また、低音域はさほどブーストされないので、ヘビーなリフには不向きだとする意見を聞くことも珍しくありません。
では、RAT2は限定した使い方しかできない時代遅れのエフェクターなのかというと、決してそうではありません。
実は、RAT2は使い方を工夫すれば多様な使い方ができるのです。
多彩なサウンドを引き出せす
たとえば、DISTORTIONのツマミを絞ってVOLUMEをあげればブースターとしても使えますし、前述のFILTERツマミの特徴を活かせば、ハイカットフィルターとして足元でサウンドを調整することもできます。
この特徴を活かしてほかの歪系エフェクターの補助として使えば、ソロでブースターとして使えますし、曲ごとに歪みサウンドを微調整することも可能です。
また、RAT2は単体でも調整次第で多彩なサウンドを出すことができます。
クランチサウンドからファズサウンドまで
たとえば、一般的なディストーションペダルが苦手とするクランチサウンドも、DISTORTIONをゼロ、VOLUMEをマックスまで上げた状態からDISTORTIONを上げていくことで作り出せますし、FILTERを右いっぱいにまわしてファズサウンドを作ることも可能です。
オリジナリティ溢れる独自のサウンドを手に入れよう
RAT2はほかの歪系エフェクターと比べると、操作もサウンドも独特であるために音作りが難しいと感じるかもしれません。
しかし一度ハマるとほかのエフェクターでは得られない独自のサウンドを提供してくれます。
ありきたりな歪系エフェクターに飽きた方やペダルボードに入れる2つめの歪系エフェクターを探している方は、一度RAT2を手にしてみてはいかがでしょうか。