コンサートやライブの音響スタッフ・PAエンジニアになる方法
コンサートやライブで、音を扱う音響スタッフのお仕事。
主な活躍場所は、フェスなどの大きい会場だけではなくライブハウスや身近にあるホールなどさまざまです。
今回はその「音響スタッフになるためには?」というテーマでお話したいと思います。
PAとは?
音響スタッフは「PAさん」「PAスタッフ」と呼ばれることも多くなっています。
PAとは PA=Public Addressの略で、直訳すると公衆伝達や大衆拡声という意味です。
つまりPAエンジニア・PAスタッフは音響機器を用いて公衆伝達をおこなう技術者です。
ものすごく簡単に言うと、その空間にいるすべての人に音を届けることが仕事なのです。
仕事内容
PAエンジニア・PAスタッフは先にも書いた通り、その空間にいる全ての人に音を届けるお仕事です。
一言にPAと言ってもコンサートや演劇などの華々しい仕事だけでなく、式典や婚礼などのかしこまった場や選挙カーや展示会場の音響設備の施工、企業や地域の催し物など、音を拡声するほとんどの場所でお仕事があります。
主な仕事は、
- 機材の搬入出
- セッティング
- 機器の操作
- メンテナンス など……
基本的にイベント現場に入ってしまうと決まった定時はありません。
イベントのスケジュールに沿って仕事をこなすので、9時〜17時の時もあれば早朝からであったり、深夜仕込みの仕事もあり、生活リズムが不規則になることも珍しくありません。
音響だけではない現場も多々あり、舞台・照明・映像など、さまざまなセクションの方と一緒にひとつのイベントを作り上げていきます。
そのような仕事の場では、音響セクション中心のスケジュールで動くのではなく、ほかのセクションの方との連携も大切です。
「仕事の時間帯や、ほかのセクションとの関係など大変……かな?」と思うかもしれませんが、イベントの大小関係なく本番を無事にむかえ、笑顔になってくれるお客様の顔を見れた時や、出演者に方に笑顔でお礼を言っていただけた時の喜びは何物にも代えられません。
最後におこなうバラシ作業の時に、寂しく感じることもあるほどです。
どうやったらなれるのか
一般のお仕事同様、募集や求人をおこなっている企業も多くあります。
- 募集や求人を出しているところに応募する
- 募集など出ていなくても直接問い合わせする
- コネクションを使う
- 最近では音響を学べる専門学校に通う
専門学校に入って音響のアルバイトの紹介などでコネクションを作ったり、未経験でもまずは門を叩いてみるのもPAエンジニアになる第一歩です。
基本的に最初は「研修期間」です。
アシスタントとしてエンジニアの仕事の補佐をしながら技術を学びます。
ちなみに、私は専門学校へ行き、卒業後は学生時代にアルバイトをさせていただいていた会社に入社しました。
業界の中には、家の近くに音響会社があり「ここは何屋さんなんや?」という疑問から興味が湧き、看板に書いてあった電話番号に電話してPAエンジニアになった人や、たまたま事務所の1Fでスピーカーを鳴らしていた所に通りかかって「そのスピーカーいい音ですね!」と話しかけたことがキッカケでその会社に入社し、PAエンジニアになった人など、PAエンジニアになったキッカケはさまざまです。
PAエンジニアは特殊な職業で、なるのは難しいと思っている人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
日常の色んなところにキッカケは転がっています。
まずは、自分のやる気を信じて飛び込んでみてください。
音響スタッフに必要なスキル
ケーブルの八の字巻き
最初に教わるのは、八の字巻きというケーブルの巻き方です。
ケーブルを巻く機会がものすごく多い音響にとって必須スキルです。
ケーブルをなるべく痛めないようにするため、素早く絡ませずにケーブルを出すためにこの巻き方をします。
キレイに素早く巻けるように練習しておきましょう。
音響機器の操作技術
日々進化していく音響機器のなかでも、マイクの結線やミキサーの基本的な操作は必要です。
もちろん操作技術は経験なども関係していくと思います。
そのほか、電気工学も必要な知識のひとつです。
コミュニケーションスキル
PAエンジニアは技術職ですが、ご来場のお客さん目線になる「サービス業」でもあると考えていいかもしれません。
そして、出演者を始め、制作、進行、舞台美術、照明、映像などひとつのイベントを作り上げるのに数多くの人が関わっています。
これらすべての人々が円滑に仕事を進められるように、一般常識や気遣いなどのコミュニケーションスキルは身につけないといけないスキルです。
しかし、気遣いのつもりでもほかのセクションを手伝うなどは基本的にはNGです。
手伝う場合も、時と場合と親密度によるので、ここもまた経験の必要な部分もある難しいところです。
体力
音響スタッフは体育会系のお仕事といっても過言ではありません。
時には何十キロもの音響機材を運ぶこともありますし、アシスタントは基本的に走りっぱなしです。
長時間のイベントであったり、長期に及ぶ仕込みもあります。
基本的に休暇日も不定期です。
そして、本番中は何が起こるかわからないので、些細な変化も気づけるように集中力を持続させることも必要です。
このようなハードスケジュールをこなせる体力を身につける必要があります。
音楽知識
音楽知識は経験かもしれませんが、PAエンジニアがあつかうのは生ものです。
その一瞬の音です。
その音をいかに良い音で出すかは、その音や音楽を知っているかも重要です。
自分の好む音をスピーカーから出せばいいという訳ではありません。
自分が好んで聴いているジャンルだけでなく、幅広く聴く、そしていろんな人の音を聴くようにしましょう。
音響スタッフになるために絶対必要な資格は特にありませんが、機材の運搬は日常的にある業務なので自動車運転免許はもっておいたほうがよいでしょう。
最後に
PAエンジニア・PAスタッフ・音響スタッフは決して特殊な職業ではありません。
裏方であるが故にわからないこと、見えないことが多いかもしれませんが、意外と周りを見渡せば身近に存在しています。
自分から進んで学ぶことが大切だと、私は思います。
そして、PAエンジニアを目指している女性の方。
音響は決して男性だけの仕事ではありません。
確かに、力仕事が多く女性には少しきついお仕事かもしれませんが、そんなお仕事の中にも、女性だからこそできるお仕事もたくさんあります。
少しでも音響のお仕事について知っていただけたら幸いです。
PAエンジニアを夢見ている方が、現場で活躍する日を期待しております!
ライタープロフィール
PA・音響
チェックワンえんちゃん
音響フリーランス女子。
専門学校卒業後に所属していた会社(フリーランス集団)が解散後、完全フリーとなり今に至る。
生き抜くために奔走中!