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【トロンボーン初心者のための】楽器の構え方と音の出し方
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【トロンボーン初心者のための】楽器の構え方と音の出し方

管楽器を始める上で最も基本的なことであると同時に、永遠の課題でもあるのが音の出し方です。

今回はトロンボーン演奏の基本の部分を、構え方も含めて解説してみたいと思います。

これから楽器に挑戦する方はもちろん、既にやっているという経験者の方もぜひご覧ください。

もしかしたら新たな発見があるかもしれませんよ!

やってみたいけどまだ楽器を持っていない、という方はこちらの記事を購入の参考にしてみてください。

音が出る仕組み(バズィング)

トロンボーンなどの金管楽器というのは唇を振動させて音を出します。

唇を細かく振動させることをバズィングといい、閉じた上下の唇の間(真ん中)を息が通過することで振動が発生します。

楽器の構え方

トロンボーンは左手だけで楽器を持ちます。

トロンボーンは左手だけで楽器を持ちます

持ち方は人によってさまざまですが、写真の赤い丸印の3点で楽器を支えるように握ります。

スライドを軽く持ちます

右手は、人差し指・中指の2本と、親指の計3本でスライドを軽く持ちます。

姿勢

最も呼吸しやすい無理のない姿勢で演奏

猫背のように背中が丸くなったり、反対に反り過ぎても呼吸が上手くできなくなるので、自然に立ちます。

自然に立つというのは、必ずしも背筋を伸ばしてピシッと立つということではありません。

必要以上に綺麗な姿勢を意識し過ぎて背中が痛くなるくらい真っすぐに伸ばしてしまう……という人が実は少なくないのです。

最も呼吸しやすい無理のない姿勢での演奏を心がけてください。

首が前に突き出た状態

首が前に突き出た状態も無意識になりやすいので気をつけましょう。

マウスピースをあてる位置と圧力

唇の形や厚さは人によって違うのでマウスピースを当てる位置にも「必ずここ!」という正解はないのですが、基本的には上過ぎたり下過ぎたりすると上手くいかないことが多く、唇に対して中心か、やや上辺りに当てる人が多いようです。

中には極端に上や下に当てることで上手くいく人も(ごくまれに)いるので「こうでなくてはダメだ」という先入観を持たずに自分にあった位置を探してみてください。

また、マウスピースは上下の唇に均等に圧がかかるように当てるのが理想的です。

この時に気を付けたいのが、マウスピースを当てる強さ(唇への圧力)。

唇にぴったりとつけないと振動が上手く楽器に伝わりませんが、押し付け過ぎると唇の柔軟性を失い、コントロールが低下するばかりか疲労もしやすくなってしまいます。

この適切な加減を見つけていくのも、金管楽器奏者にとって日々の課題になります。

音を出してみよう

アンブシュア

楽器を吹く時(息を吐いている時)の口の形をアンブシュアといいます。

「うーーー」っと唇をタコのようにつきだしたり、逆に横に引っ張ったりすると振動が発生しづらくなり、良いアンブシュアとはいえません。

楽器を吹く時(息を吐いている時)の口の形をアンブシュア

口の両端を締めすぎない

口の形は真ん中に軽く寄せる感じで、最初はある程度スピードを持った息だと音が出やすいでしょう。

試しに口に含んだスイカの種を数メートル先に目がけて「プッ」と飛ばすような口のイメージ”で息を吐いてみてください。

唇の両端が軽くキュッと支えられ、真ん中に息の通る穴ができます(口の両端を締めすぎないように注意)。

アパチュア

息が通る中央の穴をアパチュアといいます(写真の青い丸印)。

息が通る中央の穴をアパチュアといいます

息が通過する時、この部分から振動が発生し音になります。

演奏中、アパチュアがしっかり確保されて息が流れていればアンブシュアが多少崩れても音は出ますが、穴が潰れてしまうと息も通らなくなり音も潰れてしまいます。

高い音を吹こうとして音が潰れてしまうのも、口を締めすぎてアパチュアが潰れてしまうからです。

どんな音域でも、アパチュア(息が通る穴)を常にキープすることが上達のポイントになります。

音の出し方まとめ

最初はなかなか振動せずスースーと息の音だけになってしまうかもしれませんが、無理に音を出そうと口にぎゅっと力を入れるとそれこそ振動を起こせない状態になってしまいます。

  1. 口を自然に閉じた状態で、マウスピースを上下均等な圧で唇に当てる
  2. スイカの種を飛ばすような口で、なるべく遠くまで届くような長い真っ直ぐな息をイメージして吐く

息を吐き始めて最初の数秒間で音にならなくても少し遅れて音になることもあるので、なるべく一回一回長~く息を吐くようにしてみてください。

最後に~息を大切に~

音を作るためのさまざまなポイントに触れましたが、大切なのは演奏に必要なをより良い状態で流し、アパチュアの部分でしっかり音にすることです。

トロンボーン演奏において最も大切なのはです。

息が音になり音楽となる。

トロンボーンの音の正体 = 息なのです。

どんなに姿勢が良くて良いアンブシュアでも、息が十分に流れていないと意味がありません。

大きな音で吹く時はもちろん、小さな音の時も息をたっぷり使って演奏する習慣を身に付けていきましょう。

音が出るようになったら、こちらの記事でポジションを覚えて好きな曲に挑戦してみてください!

ライタープロフィール

島田直道

トロンボーン奏者

島田直道

1985年生まれ。

栃木県出身。

高校からトロンボーンを始め、昭和音楽大学短期大学部 と専門学校 東京ミュージック&メディアアーツ尚美(現:尚美ミュージックカレッジ)を卒業。

現在は自身のラテンジャズユニットKiyoseción でのライブをはじめ、アーティストのバックバンド、レコーディング、トロンボーン講師、執筆などで活動。

https://www.facebook.com/kiyosecion

また、サルサなどラテン音楽の専門家としても研鑽を積み、これまでLA-33、Yumuri、HERMANOS YAIPEN、Charanga Habanera、Victor Manuelle、Maykel Blanco y su Salsa Mayor など海外ラテン・アーティストの来日公演にてオープニングアクト等出演、Marcelo Villar(ex-Mayimbe)、Juan Carlos "El Lobo de la Salsa"(ex-Adolecentes Orquesta)、N'Samble来日の際にはバックバンドも務める。

2014年~2015年にかけて、日本初の音楽理論Webマガジン「サークル」にて【ラテン音楽講座】を連載。

http://circle.musictheory.jp/

2016年、大編成サルサバンド ORQUESTA REGULUS(レグルス)を結成。

https://www.facebook.com/orq.regulus/

EL COMBO CREACION、Star Salsa、PORCO ROSA、ORQUESTA HAVATAMPA メンバー。

ウェブサイト:http://gauche-tb.com

Twitter:gauche_tb

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