星野源の「恋」をボーカロイドでカバーしてみた
2017年のカラオケ人気ランキングが発表されました。
私の好きな星野源の「恋」が、DAM、JOYSOUNDともにぶっちぎりでトップという結果に喜びました。
楽しい曲、すてきな曲と楽しいダンスの振り付けと、近年の作品の中で楽しさを前面に押し出したプロモーションで、幅広い世代からの支持を得たのだと思います。
こういった楽曲が増えれば、音楽に親しむ人はもっと増えるんじゃないかなあと思います。
そんな訳で、自分も大好きなこの曲、ボーカロイドでカバーしてみようと思います。
まずはオケの作成から
楽曲のカバーをしようとなると、まずはオケのコピーをしなければいけません。
自分で楽しむだけなら、CD音源に合わせてしまうのも良いかもしれませんが、どこかに発表したりする場合問題になるので自分で作成していきます。
幸い、この曲はシンプルですので、耳コピー初心者にも比較的難易度が低い曲ではないかと思います(自分も耳コピーは苦手です)。
市販の楽譜などもそろっているので、音を取るのが苦手な方は資料を手に入れて打ち込みするのもいい勉強になります。
ざっと聴いてパートを確認してみると、次のような構成でした。
- ドラム
- ピアノ
- ストリングス
- 二胡
- シロフォン
- ベース
- ギター
- ボーカル+コーラス
この中でベースとドラムは、はっきり聴き取れるので、ベースを中心にコピーをしていきます。
最初はベースとストリングス・ピアノの音を大まかに取って、アウトラインを確認していきました。
前奏やサビのバックでコーラスのように聞こえる音は二胡でした。
これは似ている音が何か調べているうちに、二胡が使われているという情報を見つけたのでなるほど、と納得した部分です。
しかしCubase 9.5の付属音源にも、KONTAKTの手持ちのライブラリには二胡の音源はありませんでした。
買わないとだめかな?と思いながらもう少し調べてみたとことろ、Halion Sonic SEのライブラリの中に胡弓の音源がありましたので今回はそれを使用しました。
同じ中国の楽器とあって、似た音が出てくれるのでそれっぽく聞こえてくれました。
意外と厄介だったのがシロフォンの音源でした。
シロフォンはマレットというバチで叩いて音を出す楽器ですが、叩くマレットの種類で音がかなり変わります。
オーケストラ系の音源はソフトマレットなどで柔らかい音だったり、ポップス向けの音源では硬いマレットでは硬質な音だったり……。
手持ちの音源の中で調べてみましたが、なかなかそれっぽい音が見つからなかったのですが、セールで買っておいたXpand!2に収録されているシロフォンの音が、結構近い音だったのでそれを採用しました。
こういった音源などの機材のセール情報を素早くまとめてくれる、Computer Music Japanのお世話になっています。
Computer Music Japan | DTM・シンセサイザーのセール・新製品など音楽制作情報サイト
パート自体はそんなに難しいことをしていないので、コピーは簡単かもしれませんが、ひとつひとつの音が存在感をもって鳴っているので、あまりかけ離れた音が鳴ると全然雰囲気が出ないのでいい音があったのは幸いでした。
ギターの音はギターに詳しくないので完全に打ち込み音源頼りになってしまうのですが、アタリを付けた音で試しに鳴らして見ましたが全然似ませんでした。
ギターに詳しい方に相談してみたところ「ハムバッカーならいけるのでは?」「レスポールならどうでしょう?」とヒントをいただいたのでそれならとJunkGuitarを使ってみました。
JunkGuitarは国産のギター音源で自分のような初心者にも使いやすいので重宝します。
そしてJunkGuitarのもうひとつの名前はVintage Humbacker Guitar。
ヒントと良い音源のおかげで何とか形にできました。
Fujiya Instruments [エレクトリック・ギター音源Junk Guitar, エレキベース音源Organic Fingered Bass]
ボーカロイドの打ち込み
オケの制作ができたらボーカルパートを作ります。
オケ制作の段階でボーカルとコーラスの音程も拾えているので、まずはベタっとボーカロイドで歌わせてみてどんな雰囲気になるのかを確認してみました。
今回もIAとIA Rocksを併用して歌ってもらいます。
とりあえず打ち込んだオケのボーカルガイドパートを、そのままボーカロイドトラックに流し込んで歌詞を割り当ててみましたが、やはりベタ打ちでは雰囲気が出ませんでした。
まずはベタ打ちで聴いてみて気になる点をまとめて、そこからひとつひとつ修正していきます。
- デュレーション(音符の長さ)がだいぶ違う
- ビブラートが細かく入っている
- アクセントが足りない
- 声が細い
デュレーションはボーカルありの曲を作る時に、アルトサックスで音を取って、音符の長さをテヌートにしているので細かく調整をおこないます。
意外と気になったのが、四分音符などの短い音符にビブラートが入ったりしている部分でした。
こういう細かい部分は手間がかかりますが、入れておかないと物足りない感が大きいので、原曲を聴きながらチェックしていきました。
アクセント不足・声の細さは、ボーカロイドでは宿命とも言える課題ですが、アクセントはVOCALOID Editor上でダイナミクスで底上げしたり、waveに出力した後に部分的に調整することもできなくはありません。
声の細さについては、ボーカルをサポートするエフェクターに頼ります。
幸い、昨今のプラグインは優秀なものが多いので、ある程度期待したとおりの結果を得られるようになっています。
自分はWavesのSSL Collectionや、Eddie Kramerのシグネイチャーシリーズをよく使います。
アナログ系の倍音付加を利用して線の太い音にしていきました。