VOCALOID5で英語の歌作成に挑戦してみる
VOCALOID5を使ってみた感想にも賛否があり、まだVOCALOID5の力を手探りしている状態が続いています。
VOCALOID5は4とパラメーターの効果が違うことや歌声の調整の他に歌唱スタイルを選択できる機能などが追加になり、素の状態でもできることが格段に増えました。
4系で表現を追求してきた人にとってはエディタのくせやパラメーターの効果の変化に戸惑っている方もいるようです。
個人的には4系のパラメーターの振り方で変化がつけにくかった部分をどんどん編集できるようになったことで、VOCALOID5での編集の方が思ったイメージに近づけやすいと感じています。
前回に続いて今回もVOCALOID5でどんな歌が歌えるのか、挑戦していきたいと思います。
英語ライブラリ Amy
前回はIAとKaoriを使用して歌わせてみました。
VOCALOID4のボイスライブラリでも表現力が向上することが分かったので、今回は英語の歌唱に挑戦してみたいと思います。
VOCALOID5には標準で男声のChrisと女声のAmyというライブラリが付属しています。
今回は演奏用に作成したオケを使用してAmyにTomorrow is mineという曲を歌ってもらうことにします。
https://www.youtube.com/watch?v=rQsNr13c9_o
この曲はプラチナゲームズという日本のベンダーが制作したベヨネッタ2というゲームのテーマ曲です。
ピアノを中心とした非常にお洒落な曲でボーカルのKeeley Bumfordが時に艶っぽく、時に力強く歌う、1コーラス中の変化が大きく聴きごたえのある曲です。
少し前に演奏用にこの曲をコピーしていたので難しい曲ではありますが、できるだけ豊かな表現を目標にしてみます。
パラメーターの基本設定
歌の入力の前にVOCALOID4で言うシンガープリセットを設定します。
VOCALOID5ではStyle presetとして歌唱の基本パラメーターとボーカルにかけるエフェクトまでを一式のセットとして記憶されるようになっています。
まずは基本の歌唱スタイルについて設定をしていきます。
一番左側にあるのがSINGING SKILLです。
これが基本にしてVOCALOID5で一番のキモになる部分かもしれません。
SINIGN SKILLでは想定されるジャンルを選択することで、入力を行う歌唱データにジャンルに適語した基本的な表現を付けてくれます。
今回はジャンルとしてはややJazzよりな曲ですが、歌い方としてはSoulfulな方向性と考えて設定をしました。
このSINGING SKILを切り替えると歌い出し、ビブラート、音程移動時の動きなどさまざまな部分が変化します。
曲調にあったSINGING SKILLを選択するだけでも表情が変わりますので、まずは最適な表現見つけることが重要です。
さらに表現の癖の強さをSKILLで調整し、適用量をAMOUNTで微調整することで基本的な歌い方を選べます。
VOCALOID4ではジョブで近いことが可能でしたが、まだ発展途上であったためVOCALOID5程の表現力や適切な効果にはなっていませんでした。
この部分だけでも進化の恩恵があるのではないかと思います。
中央あるVOICE COLORはVOCALOID4までのシンガープリセットに該当する部分で歌声のカラーを選択します。
この部分はVOCALOID4同様で声の高低を調整するCHARACTER(4までのGEN)や声のハリと明瞭さをコントロールするEXCITER、ウィスパーボイスのコントロールに使用できるAIRなどを駆使することでVOCALOID4の時よりも幅広い表現が可能です。
特にAIRとEXCITERは上手に使えば特徴的な声質を再現するのに活用ができそうです。
実際の歌唱データは画面の設定で作成してあります。
原曲のボーカルとはAmyの元の声質が異なるため無理に近づけると聞き苦しくなってしまうため、歌詞の聴き取りやすさと強弱の表現を優先した設定にしてみました。
英語の歌詞入力
英語の歌詞は日本語の場合と異なり短いパッセージに単語が詰まることがあります。
基本は1音符1単語、場合によっては2つの単語が混ざった状態になることもあります。
英語の歌詞入力の場合、入力を始めたい音符を選択してから右クリックメニューで歌詞の流し込みを選択して入力ウィンドウを出す所までは同じです。
ウィンドウに単語をスペースで区切りながら入力していくと自動的に音符に単語が割り当てられていきますが、長い単語などは思ったような分割にならないこともありますのでそういった部分は手で修正していきます。
今回の曲のようにテンポがある程度早くリズミカルにフレーズを歌っていく曲の場合歌詞入力をしただけではうまく行かない部分もあります。
また入力した単語は、一般的な発音が選択されるので、歯切れよく音を止める時は末尾の発音を本来の発音とは異なる音に変える必要があるかもしれません。
この曲では、BメロにあるBang Bang, Down Downというアクセントの部分のDownという単語はそのまま音符に当てはめると「ダウン」の「ウ」の部分がリズムに乗りきらなくなってしまうので、歌詞の上ではDownとしつつ発音としてはDone(ダン)の発音になるようにするなどの調整を入れてあります
VOCALOID5の調整結果は?
大まかに基本的な調整についてはここまでの説明の通りですが、さらに細かい部分についてはいろいろなパラメーターを動かして結果を聞きながら設定を行っています。
ウィンドウにパラメーターが複数表示できないので、動画ではアクセントのつけ方などに重要なExciterのパラメーターが見えるようにしたものを作りました。
実際にはDymamicsやPitchと一部でGrowlやBreathinessといったパラメーターも操作しています。
低い音程があってその部分がどうしても雑っぽい音になってしまうのが残念ですが、その他の部分では努力した分だけ応えてくれるようになったのではないかなと思います。
これからどんどんすごい歌を聴かせてくれる方が増えるでしょうし、VOCALOID5専用のライブラリが増えればさらに自然に歌えるようになるのではないかと思います。
VOCALOID5を使った初の100万再生楽曲はどこから産まれてくるのか、どんなすごい曲なのか。
いまから楽しみですね。
ライタープロフィール
DTMer
みるくここあ
元IT技術者。
ウィンドシンセを使います。
VOCALOIDやCeVIOを使って曲を作ってみたり、ボーカルを迎えて曲を作ってみたりしています。
元々楽器の練習用にオケを作るだけだった半端なDTMerでしたがVOCALOIDに出会い、その変遷に付き合っていくうちに深みに嵌っていたただの音楽好きです。
VOCALOID 2 MegupoidとVOCALOID 3 IA、そしてCeVIO Creative StudioのONEを使用しています。
ウェブサイト:http://milkcocoa.org
Twitter:milkcocoa_org