世界レベルの口笛奏者が教える!口笛に音程をつけるコツ
今まで10年、20年と何度も試してきたけど、一向に音が出るようにならない!
音はちょっと出るけど、曲が吹けない!
このコラムは、そんな方々に口笛で音楽を楽しんでもらうために書いています。
今回は口笛に音程をつけるコツを解説していきたいと思います。
音程が変わる仕組み
口の中の感覚を大事にしながら、口笛の音を自在にコントロールできるようになるのが目標です。
現時点で全く音が出ない方は、先に前回の記事をお読みください。
口笛の音が出るようになったら、やっぱり曲が吹けるようになりたいですよね。
今回は、音程の付け方をお伝えします。
私は物理学者ではないので、実際にどういう原理で音程が変わっているのかを説明することはできないのですが、イメージとしては、口の中の空間が広い方ほど低い音が出て、狭いほど高い音が出ます。
ギターであれば弦が太いほど低い音が出ますし、トランペット→トロンボーン→チューバという風に、大きい楽器ほど低い音が出ますね。
なので、口の中の共鳴空間の大きさをコントロールすることで高い音や低い音を出すことができます。
では、実際に口の中の空間の大きさをどうやって変えたらいいのでしょうか。
共鳴空間ってどこなの?
口笛の音程を決めている空間は、上あごと舌の間、つまり舌の上の空間です。
この空間が狭いほど高い音が出て、広いほど低い音が出るというわけです。
舌を動かして音程を変える!
前回、舌先を下前歯かその下の歯茎のあたりにつける、とお伝えしました。
この舌先の位置と口先の形は変えないまま、声に出してゆっくり「うー、ゆー、うー、ゆー」と言ってみてください。
口先のあたりの空間が「ゆ」の時に狭まるのを感じられると思います。
これが音程を変える原理です。
もちろん、「ゆ」の形の時に高い音が出ます。
では、今度は「うー、おー、うー、おー」と言ってみてください。
口の中が広がりますね。「お」の形の方が、「う」の形の時より低い音が出る、というわけです。
口笛でやってみよう
では声を使って感覚を理解したところで、実際に口笛でやってみましょう。
まず、自分が一番出しやすい音を出してみてください。
安定した音が出たら、そこからゆーっくりと、口の中の形が「お」の形になるようにしていってください。
音程が下がるはずです。
最初のうちは大きくは変わらないかもしれませんが、音程を変える、という感覚をつかみましょう。
この時、もしかしたら自分のあごが自然と下がっているのに気づくかもしれません。
舌だけでなく、あご全体を使って動かしてやると、さらに音程の幅が広がります。
低い方ができるようになったら、次は高い方に挑戦です。
ゆーっくりと、口の形を「う」から「ゆ」にしていってみてください。
高い方が、小さな動きでも大きな変化があると思います。
それだけコントロールも難しいので、低い方よりも慎重に、音が消えてしまわないようにゆっくりと動かしていきましょう。
うまくいかない!そんな時は
最初のうちは、口の中の形を変えることで、せっかく出ていた口笛が出なくなってしまうこともあると思いますが、心配はいりません。
今回一番大事なのは、音程が変わる感覚をつかむことです。
音がかすれていても、「うー、ゆー」「うー、おー」で息の音が変わるのがわかるでしょうか(「ふー、ひゅー」「ふー、ほー」となります)。
この感覚を大事にしながら、音の安定を目指しましょう。
また、口の中の形をどう変えていいかわからなくなったら、声を使った感覚練習に戻りましょう。
「かえるの歌」を使って練習しよう
音程がつけられるようになったら、コントロールの練習のために、「かえるの歌」を吹いてみましょう。
うまくできましたか?
もし「♪きこえてくるよ」の部分が高くてでない場合は、最初をもうすこし低い音ではじめてみてください。
余裕のある人は、高いところから始めたり、低いところから始めたりしてみましょう。
今回のまとめ
- 口笛の音程は口の中の共鳴空間の広さで決まる
- 高い音は「ゆ」、低い音は「お」の形で吹く
- うまくいかなければ声での感覚練習に戻る
次回は、音をきれいに切る練習です。
音が切れるようになると、ずっと音楽らしくなりますよ!
ライタープロフィール
口笛奏者
武田裕煕
中学生の暇が高じて始めた口笛は、いつしか世界へ。
2010年・11年の国際口笛大会ジュニア部門を2連覇、2014年の成人男性部門では2位に入賞。
2017年アメリカのMasters of Musical Whistlingで総合2位入賞。
米国・日本でクラシック音楽のリサイタルを開催、口笛とボーカルをリードにしたジャズカルテットTwo Cats Two Dogsを主宰するなど様々な音楽ジャンルを演奏し、ワークショップや講演会を開くなど口笛音楽の普及活動を行う。
国内外のメディア掲載多数。
ウェブサイト:http://yukitakeda.com
Facebook:yuki.whistler
Instagram:https://www.instagram.com/yuki.the.whistler
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/YukiTakeda