ライブの緊張と向き合う方法。ゾーンに入るとは?
知人が路上で面白いパフォーマンスする、という話を聞き興味があったので見に行って来ました。
バケツやフライパン、ステンレスの灰皿等を使ってのドラム?パフォーマンスはとても新鮮で、寒い冬空の下でしたが、体の中が熱くなるものがありました。
本業はジャズドラマーの彼ですが、時折このようなパフォーマンスも音楽活動の一環として行っているとのこと。
路上パフォーマンスの後、彼と少し話しました。
話の中で、ライブ中にいかに集中するか、という話にもなったのですが、彼はこういう言葉を使いました。
「ゾーンに入れている時はいい演奏ができる。ゾーンに入っている時はすごい汗をかくし、汗をかいているかどうかが、ゾーンに入っているかの一つのバロメーター」
もくじ
ゾーンに入る
「ゾーンに入る」という言葉は初めて聴きましたが、文脈からどういう状態かは理解できました。
きわめて集中力が高くものごとに没頭している状態、そのことを言っているのかと。
後ほど調べてみると、この「ゾーン」は漫画「黒子のバスケ」で使われた言葉として世に広まったみたいですね。
漫画内での使われ方と同様ではないと思いますが、近年「ゾーン」はスポーツを筆頭とし営業やプレゼン等までも使われる言葉として、一定の市民権を得ているようです。
音楽においても同様で、私も以前「ライブで高い集中力を発揮する、一か八かの方法」で似たような内容の記事を書きました。
ゾーンとは心理学上でフローとも呼ばれ、Wikipediaによると、
「人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態」
とのことです。
私のバンド活動の中でも「ゾーンに入った」経験は何度かありますが、その経験からすると、
- 時間が遅くなったような感覚になる
- 次にどんなフレーズを「どういう音列で」「どういうリズムで」「どういう弾き方」で弾けばバッチリはまるか自然と分かる(ギター演奏の上で)
- 喉、声帯をいつも以上にコントロールできる(歌う上で)
- 普段は出て来ないようなフレーズのアイデアが溢れてくる(即興演奏の上で)
- メンバーや共演者、自分の音がはっきり聴こえる
- お腹の真ん中あたりがとても熱くなる
- 汗が大量に出る
などが挙げられます。
そのジャズドラマーの彼も「あるある」的に同意してくれることが多かったので、バンド演奏におけるゾーンに入った状態というのは、そのようなものとして大きく間違ってはないと思います。
感覚的にですが「普段意識していない無意識の領域に踏み込めたような感覚」のように感じます。
ゾーンに入れている時は確かにいい演奏ができているとは思いますが、ライブで毎回必ずゾーンに入れるかというとそういう訳でもなく、逆にリハーサルでも入れる時もあります。
私の経験から言えることととしては、「即興演奏をしている時が入りやすい」ということでしょうか。
即興演奏=いかに自分を開放するかということなので、当然といえば当然なのですが。
さて、そんなゾーンに入ることにとても近いこととして、「いい緊張をする」ということが挙げられるでしょう。
いい緊張とは?
緊張し過ぎて、心も体もガチガチになり思うように体がコントロールできない。
そんな現象は、誰しも一度は経験しているのではないでしょうか。
私もあまり極度に緊張するタイプではありませんが、前にやっていたバンドの解散ライブでは感極まり過ぎてそのような状態になり、1曲目イントロギターのみのアルペジオがカチンコチンになったことがあります。
そのような状態では、やはりいい演奏はできないものです。
逆に、心も体もリラックスしきっているのも良くないと思います。
例えば、温泉にのんびりつかった後ですぐライブをしろと言われても、だらけた演奏になってしまうのではないでしょうか。
私も若かりし頃、お酒を呑み過ぎてベロンベロンでライブをしたことが何度かありますが、確かに自分は開放できますがコントロールできず、いい演奏などできようはずもありません。
いい緊張とは「心にある程度の緊張感を保ちつつ体はリラックスしている状態」と言えるでしょう。
張りつめた気持ちながらも体は思うようにコントロールできる。楽器の演奏にしても歌唱にしても、この状態が一番いい緊張状態でいい演奏もできる状態です。
私達はライブやレコーディングの際やはり緊張しますが、この「いい緊張」状態に持っていくのが、いいライブができる、レコーディングでいいテイクが残せる、秘訣ではないかと思います。
それでは「いい緊張」状態にいかにして持っていくか。これが中々に難しい問題で、そう簡単にはできませんよね(笑)。
緊張は悪いことではない
緊張すること自体は悪いことではありません。
ある種「臨戦態勢に入った」という心理状態なので、これから闘うではありませんが、ライブをする・レコーディングをする上で、必要な心理でしょう。
緊張している自分を認識し「よし、緊張出来た!」とプラスにとらえることがいいのではないでしょうか。
「緊張してきた」と口にする
これは以前一緒にバンドをしていたベーシストのライブ前の口ぐせです(笑)。
普段の姿を見ていると、とても緊張するような柄ではなかったので、当時は「嘘でしょ?」と思っていましたが、今思うと彼なりの緊張をほぐす方法だったのかという気がします。
上記と同じ理由で、敢えて口にすることで緊張した自分を認識し、周りにも自分にも茶化したように言うことで、緊張の度合いをコントロールしていたのかなと思います。
イメージトレーニング
これはとても一般的ですが、ステージに上がる場面、ライブスタート前のチューニング、演奏開始の手をあげるポーズ、1曲目のイントロ、演奏中のキメの箇所、MCなどをイメージする。
また、いいライブができた時や、大きな会場でやった時など、過去のプラスイメージの体験を思い出す。
なるべくいいイメージでステージには臨みたいですね。
音楽でリラックス
これから音楽を演奏するのに、違う音楽を聴くのもなにですが、直前まで自分達の演奏曲のおさらいをするよりはいいと思います。
スポーツ選手などはよく音楽で緊張をほぐし、競技に臨んでいるそうです。
深呼吸
これはとても効果的です。
特にヴォーカリストは腹式呼吸で大きくゆっくり息を吸って吐いて、呼吸の下準備をしつつ、心拍数を安定させておくといいと思います。
お酒を呑む
呑み過ぎるとすべて台無しになる諸刃の剣ですが、適量に摂取すると体の緊張を押さえつつ心はたかぶらせてくれます。
しかしあくまで適量、いいライブをしてその後打上でたっぷり呑みましょう(笑)。
場数を踏む
最終的にはやはり経験、積極的にライブをして、自分なりの「いい緊張具合」を探り、自分なりの持っていき方を試行錯誤することも必要でしょう。
初めてのライブならやはりガチガチになるでしょうし、例えばなぜか観客の中にジョン・メイヤーがいるとなったら緊張しないギタリストはいないでしょう(笑)。
色んな経験を重ねてきたという自信が、やはり最後には自分を落ち着かせてくれます。
最終的にはいい演奏をするために
「いい緊張」をすることは「いい演奏」をするために必要な条件であって、それ自体は手段であり目的ではありません。
いい緊張感を持って臨み、でき得るならゾーンに入り、いい演奏をしたいですね!
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ライタープロフィール
ライブスポットラグ
平田 浩康
Live Spot RAGの平田浩康です。
15歳の時、音楽特にロックのカッコ良さに痺れギターとバンドを始めました。
生まれ故郷の高知県は、ライブハウスやコンサート会場も少なく生の音楽に触れる機会が少ない、当時は情報源も雑誌やCD、VHSビデオ(!?)という時代でしたが、音楽というとてもキラキラしたものに魅了され、勉強そっちのけでギターと音楽を楽しむ毎日でした。
大学進学から京都に移住し、大学では軽音楽部を卒業(笑)。
それまでは邦楽ロックや洋楽ハードロックを中心に聴いていましたが、先輩や同期から世の中にはもっとたくさんの音楽があることを知らされ、今では「いいな」と思えるものはジャンル隔てなく聴いております。
大学卒業後にRAGに入社、約6年のオフィスや約10年の音楽スタジオを経て、現在は創業39年の老舗Live Spot RAGにて勤務、主にプロモーション業務を担当しております。
日本トップミュージシャン達が奏でる「本物の音楽」に触れ、お客様に届けることで、あらためて音楽の煌めきを実感する日々です。
今でもギター、バンドはゆるく継続しており近年は今更ながら歌も歌ってみたりしています。
もうすっかりおっさんになってはしまいましたが、あの頃「音楽に描いた夢の向こう側」を、今後もみなさんと追っていければと思っています。