LIVE KIDS 23 スペシャルインタビュー 山下キヨシ|スタジオラグ

スペシャルインタビュー
LIVEKIDS | スタジオラグ
山下キヨシ | スタジオラグ

山下キヨシ

LIVE KIDS本戦出場、おめでとうございます!
ありがとうございます!
今回はソロ、弾き語りでの出場で?
はい。
音楽活動を始めたのはいつ頃、どういうきっかけでしたか?
高校の時に、ギターを弾きたいとは思ってたんですけど、中々ガツンとくるもの出会えなかったんです。その頃BUMP OF CHICKENにハマっていて、彼らはあまりテレビとかのメディアには出ないから、「どんな顔の人がやってるんだろう?」というのがずっと気になっていた。そんな矢先、友達から「バンプのビデオ貸して上げるよ」と言われて、「ペガサス ユー」っていうタイトルのツアーのライブ映像だったんですけど、それを見てヴォーカルの藤原基央がすごいかっこ良くて。「これはヤバい!」ってなって、それからギターを始めました。
弾き語りから入った?
いや、高校生の時だったんですけど、ライブとかはあまりしてなかったです。家でちょろちょろと弾いてる感じでした。
バンドを結成したのは?
大学2回生のときで、「小幸」の前身となるバンプのコピーバンドで、バンド名は「ちゃんとしてキヨシ」でしたね(笑)そこから、やっぱりオリジナル曲がやりたくなって、真面目なバンド名にしなければと思って、「小幸」にしました。
オリジナル曲を作り始めたのも、大学から?
最初は作り方も分らなくて、Scenarioartの康介君が大学の先輩で、康介君に「どうやったら曲書けるの?」って聞いたら、「いやぁ、フィーリングで出来んで」って言われて(笑)「そうか、フィーリングか!」ってなって、始めましたね(笑)
影響を受けたアーティストというと、やはりバンプがド・ストライクですか?
そうですね。あと影響というか意識はする、くらいですけど、同い年のアーティスト「清竜人」とか。「MILKBAR」も好きです。歌ものがやっぱりいいですね、影響を受けています。父親が音楽好きで、R&Bとかブラックミュージックをクルマの中で流しているのを聴いて育ったから、音楽はずっと好きだったのかなと。歌が好きになったのは父親の影響が大きいですね。
もっと古い音楽とか好きなのかな、と勝手に思っていました。いい意味で、この年代の人から生まれる音楽か?という印象を受けた曲もありますし。
アルバム通してとか聴かないですけど、昭和歌謡とかも、流れてたら聴き入ってしまうこともあります。平成の歌もののポップスも好きです。
「小幸」としてバンドで活動していたけど、今はソロ、弾き語りなんですね?
「小幸」も解散ではなく、残ってはいるんですけど、単純にメンバーが社会人になったり、後輩の子達もバンドを頑張るより他のことに力を入れたりで。
本当は、バンドとして活動したいけど出来ない状況、ですか?
いえ、ソロプロジェクトとしてはバンド形態でやりたいなとは最近思ってて。でも弾き語りのグルーヴ感とか良さというのを、最近やっと自分で表現できるようになってきたから、どっちも突き詰めてやりたいですね。「どっちがやりたい」ではなく「どっちもやりたい」です。
ソロ、バンド形態、両方のパフォーマンスが出来るキヨシ君にとって、それぞれの魅力や強みとは?
バンドはバックに支えてくれるメンバーがいるんで、表現も音数も割と好き勝手できると言うか。あと、僕は人がすごく好きなんで、「一緒にやってるんだ」「他の奴らのパワーも借りてやってるんだぜ」みたいな、人がいると自分らしさがより出る感じかな?
弾き語りは逆に侍的な感じで、丸腰に近いスタイルでやってるから、その緊張感とか、いい意味でメンバーがいない分「僕が伝えたいことを伝えられている」かな。というのも、言葉がはっきり伝わる、メッセージ性を込めて曲を書いているので、歌詞もそうだし歌詞にひっぱられるメロディもそうだし。メッセージ性はより強いと思いますね。あと歌っていうメッセージはあるけど、それ以外のところ、僕から歌が生まれた背景、バックグラウンドがより伝わるようにっていうのはすごい意識してますね。その人の人間性が、お客さんが見た時に浮き彫りになって見えたら、歌がより強く伝わるんじゃないかと感じてて、意識してやっています。
具体的にはどういう行動だったりで、そのバックグラウンドを伝えることができるのですか?
人間性だと思うんですよ。ステージの下の山下キヨシ、へらへらしてる、おちゃらけてる普段の明るい山下キヨシ、プライベートな山下キヨシを、そのままステージの上に持って行く、みたいな。ステージの上でもお客さんとキャッチボールしたり。
なるほど。多くのアーティストは恐らくステージの上では違う自分を出そうとするけど、その逆ということですね。
僕はナチュラルをすごく出したい。ナチュラルな山下キヨシを、そのままステージに持って行くというか。僕も、ステージ上では違う僕なんだっていう意識でやってる時もあったんですけど、僕の「味」そのものが包み隠されていってる、すごい萎縮していってるなっていう時期が長い間あって。それって何か違うなと思って、僕の「素」を出してナンボだろうというところがあって、今はそうしています。
近々ミニアルバムがリリースとのことですが、そのスタンスは音源制作においてもですか?
「そのまま」ということをテーマにして話すなら、バンド上がりの弾き語りの人間というところもあるので、音源ではバンドサウンドも取り入れたりはしています。頭に思い描いて鳴ってる音って作曲者ならあると思うんですよ。ギター1本で歌っていても、頭の中で鳴っている違う音というのを、大分そのまま表現できた気はします。自分が思い描いていたものを、ちゃんと音源として持って来れた気はします。
今回は5曲入りですよね?全部の曲がバンド形態ですか?
弾き語りもあります。
タイトルは?
「震える掌、拡声器」です。
これはどういう意味でしょう?
「カルマメガフォニック」という曲が1曲目にに収録されていて、カルマっていう人間の「業」っていうものを表現したかったんです。メガフォニックとはメガフォニカリーとかっていう語源で「豊かな音」とか「壮大な音」っていう意味があって、プラス「拡声器」=メガフォンから来てるらしいんですよ。
あ、なるほど、メガフォンってそういうことなんですね!
人が産まれ落ちてから隣り合っている業みたいなものを、言葉もそうなんですけど楽器の音で表現したかったというのがすごく大きくて、曲の節々で言葉にはしてないけど人の気持ちをすごい表現しています。「ミとソとラの不協和音で美しい空書きます」っていう歌詞があるんですけど、人がもしドレミファソラシドだとして、僕が「ミ」誰かが「ソ」「ラ」だったらということを考えると、和音じゃないですか。和音を「ミ ソ ラ」でバーンと鳴らしたら不協和音になっちゃうんですよね。それを弾き方とかコード進行を変えることによって聴こえがよくなったりとかあると思うんですよ。曲の弾き方とか楽器の弾き方とかを人間関係に置き換えると、人との接し方だったり話し方だったりとか目の合わせ方だったりとか、節々の行動のことかなと思って。もしそう言うことができたらミとソとラってミソラ=美空なんですよ。そう言う風に弾き方なり変えたら、美しい空にもなる。人間って同じ空の下生きているって思える生き物だと思うんで、伝わりにくいと思うんですけど何となくそういうことを描いてますね。人のあり方、23歳そこそこの若い兄ちゃんがいうのもなんですけど、そうやって考えて作りました。普段からやっぱり考えていることで、ナチュラルに書けたなって思います。思い悩んで書いた曲ですけど。
いやいや、23歳の若さでそう深く考えるのはすごいと思います。で、タイトルですが。
で、タイトルですよね。要は「カルマメガフォニック」を表題曲みたいに捉えているんです。「震える掌」っていうのは、人が震える時はどっちもあると思うんですよ。震えるくらい嬉しいとか、震えるくらいの気持ちで泣いたとか、震えるくらい怒るとか。人の業というのは色んなところで作用すると思ったんで、どっちとも捉えられる。手ってすごい人の感情が詰まった場所だと思ってて、太宰治の「人間失格」の冒頭で写真のことについて書かれてあって、「人は拳を強く握ったまま笑顔で写らない」みたいな内容です。笑顔って気が抜けている時にする動作じゃないですか。人は拳を強く握っている時に気の抜けた笑い、笑顔は作らない。感情が詰まっている場所の総称としての手、それを形容する「震える」って言葉、どっちともとれるみたいなことを考えてましたね。アルバムの内容も幸せな部分もあるしちょっと暗い部分もやっぱりあるので、どっちとでもとれるような感じにしたかったんで。あと語呂ですね。「震える 掌 拡声器」っていう言葉の羅列なんですけど、読みやすい、リズム感がある気がして、このタイトルを付けました。
なるほど、ありがとうございます。収録されている他の曲についても、ご紹介いただけますか。
2曲目は「舞い散るハタチ」という曲です。昔の恋人を思い出す歌なんですけど、ハタチって多感期で、若いからこそ間違うこととか、逆に若いからこそ純粋な気持ちで「好きだよ」とか伝えられる強さもあるじゃないですか。ハタチの頃の恋人を、夏から秋になるにつれ季節の変わり目でふとした瞬間思い出す、みたいな歌で。「あの頃の僕らはどうしようもなくハタチだった 不意に秋の気配で君を思い出す」っていう歌詞があるんですけど、本当に歌詞の通りできっと誰にでもそういう経験ってあるんじゃないかなって。「あるある」みたいな感じですね(笑)秋って人の心の隙間に入ってくると思うんですよ。でもそんなに悲しい歌じゃないんですよね、ちょっと切ないですけど。
ありがとうございます。では3曲目は?
「中古六弦と愛しい感電」という曲で、これは性描写の曲なんですけど、中古のギターと女の人の体を比喩させたというか。ギターのペグのあるところをヘッドって言うし、弦を張っているところをネック、本体をボディって言うじゃないですか。人の体の部位で名前がついてて、それってすごい面白いことだなと思って。深夜にギターのことをたまたま調べててそれを知って、これは面白いぞと思って、一晩で書きましたね。夜中の1時くらいから書き始めて朝の6時くらいにはもう仕上がってた。
なるほど、言われてみればそうですね。アームとかもありますね。
4曲目は「CASTER」、タバコのCASTERです。ライブのMCでもよく言うんですけど、すこぶる落込んだ時とかどうしよもなく思い悩んだ時とかにCASTERっていうタバコを吸うんです。おじいちゃんが吸っていたタバコで、あまり煙たくない、いい匂いするじゃないですか、甘い匂い。おじいちゃんの家に行った時に、このタバコなんかいい匂いやなって子供ながら記憶に残ってて。実話に基づいた曲ですね、歌詞を見てもらったら分るんですけど。
そしてラストを飾るのが。
「フタリデヨルヲコエル」という曲で、全部カタカナにした理由は、タイトルっぽいから(笑)友達が結婚する、結婚式で余興で歌ってくれってなって、たまたまこの曲を作ってた時と被って、後付けに近い感じで結婚式のために作った曲なんです。どうしても辛い時とかあると思うんですけど、それを二人で超えるぞ、みたいな感じの曲になったのかな?どっちかって言うと男性主観の曲かなって思ってて、後半でテンポが変わるんですけど、テンポが変わったところで、寝てる恋人をおいて仕事に出かけるぞみたいなシーンがあって、やっぱり夜を越えられたなっていう。すごい苦しいこととか辛いこととかもあるけど、この人といるから幸せだしこの人といるからこそ幸せだぞ、それで強くなれるとか、回りの出来事を受入れられるようになるとか、パートナーがいるからこその強さっていうのはすごくあるんじゃないかってところを歌ってますね。パートナーを思う気持ちっていうのを歌ってる気がします(笑)まぁ聴き手に任せますけど(笑)
このミニアルバム「震える掌 拡声器」が2/21のライブより発売ですね。
ライブ会場限定です。
録音に参加したミュージシャンはどのような方がおられますか?
1曲目はドラムにバーバーブラックシープスというバンドのドラマー:江口匠君、ベースはラグのきよたっきが弾いてくれてます。あとティンパニやタンバリンなどのパーカッションが入ってます。3曲目には弦、ストリングスが入ってます。5曲目にはカホンが入ってます。で、コーラスにはMILKBARのヴォーカル:北小路直也さん、カホンにはMILKBARのドラム:梶谷さんを迎えています。
めちゃめちゃ豪華ですね!
小倉悠吾さんも、まだ録音してないけど、コーラスで歌ってくれます。サウンドメイキングではすごくお世話になりました。
ミニアルバムは初とのことで「これが山下キヨシだぜ!」的な作品になっていますか?
もちろんなってますけど、「もっと出来るな」と思いましたし、「もっとやりたい」と思いましたね。こんなもんじゃねえぞ、と(笑)でも、今出来る全部は詰めこんでますね。
これをきっかけに、まだまだやっていくぜ、という感じですね。話は変わって、LIVE KIDSについてお伺いしたいと思います。今回応募されたきっかけは?
デカいところで歌ってみたい(笑)ドライなことを言ってしまうと、関係者の方も来られるし、売り込みたいというのはもちろんあります。あと、ライブハウスってある種閉鎖的な空間じゃないですか。開かれている窓口は広いにしろ、ライブハウスに普段行く人しか来ない場所じゃないですか。それ以外の人の前で歌えるっていうのは、すごくいいチャンスだなと思ったんで。
LIVE KIDSに対するイメージや印象はありますか?
去年のサモナイタチ(笑)ここでグランプリとったら、京都で一番になれるかなと(笑)
23回目と、伝統ある祭典ですものね。
あ、じゃ僕の生まれた年に始まったんですね!同い年なので是非優勝したいです!
先ほどライブにおいては「素」の自分を出したいとのお話しがありましたが、LIVE KIDS本戦ステージではどのようなステージを披露したいですか?
今回弾き語りが僕だけみたいなんです。過去にも弾き語りで優勝した人はいないらしいので、史上初は狙ってますけど、そういう誘惑に負けないよういつも通りに。自分らしさを認められなかったら仕方がないなって感じです。自分らしくいきたいですね。やっぱり出たいと思ったきっかけは、「認められたい」ところがすごいありますね。同業者、音楽を媒体に表現している人達の中で優勝するっていうのは、一番になるというのは自信につながるかなと。
また話は変わりますが、キヨシ君とラグとの関わりも長いですよね。
シェケナベイベーからですかね、こんなに関わるようになったのは。もちろんそれまでにスタジオも使ってましたけど。
いつのシェケナからですか?
マンスリーでやってたときの5月だったと思います。今度の3/12にも出ますよ!
楽しみです!今後の活動の展望をお聞かせください。
せっかくバンド音源も作ったし、それに引っ張られる形で思っているのが、サポートメンバーを迎えてやりたいなという展望は考えていて。あと来年度はがっつりとしたバンド音源をリリースして、流通にものせたいですね。
今後チャレンジしたいことはありますか?
イベントをいっぱいしたいですね。イベントを立てるのはすごい好きで、大学でも学内でやったりしました。フロントマンの個性を存分に味わえるような、「フロントマンの中のフロントマン」みたいなイベントがしたいですね。
いいですね!ゆくゆくはキヨシ君イベント meets シェケナで共催しましょうよ!
それ、めっちゃいいですね!「あぐりかるちゃーず」の梅さんは絶対出場みたいな感じで(笑)
是非実現しましょう!ありがとうございました!