RAG Music楽器入門
楽器をもっと楽しむWebマガジン
search

【京都の弾き語りシンガー】小倉悠吾×Pon Wレコ発ツーマンライブレポート

2022年2月5日(土)、「小倉悠吾×Pon Wレコ発ツーマンライブ」が、京都府立文化芸術会館にておこなわれました。

2組のアーティストによる、さまざまなチャレンジも盛り込んで行われたホールライブの模様をレポートします。

小倉悠吾ライブレポート

小倉悠吾

しばしの休憩時間を挟み、ライブは2nd、小倉悠吾さんのステージへ。

現在の小倉悠吾さん名義のライブにおけるレギュラーメンバー、ドラムス:長尾琢登さん、ベース:渡辺健二さんの3ピースサウンドをベースに、このところ共演も多いサックス:グラント・ビリージーンさん、そして1stのサウンドを固めたギター:渡辺智哉さん、キーボード:藤井嵩洋さんも参加ありと、バリエーションに富んだサウンドで楽しませてくれました。

1曲目は『駅』。

新作『トップ画面』の最後(ボーナストラックは除く)に収録されている曲で、小倉悠吾さんが1人でピアノ伴奏のオケを使って演奏されていました。

「夢」と「恋」、必ずしも二項対立する訳ではありませんが、選択を必要とするシーンはありますよね。

とくにミュージシャンは常に夢を追い続ける人たち、その葛藤は人一倍大きいのかなと思ってしまいます。

打って変わって激しい曲調の2曲目、こちらも新作より『On The Ground』。

ここからは3ピースで、がっつりバンドサウンドを聴かせます。

かなりハードな曲ですが、こういうリフでぐいぐい押せる曲を書けるのも、長らくエレキギター&ボーカルで活動してきた小倉悠吾さんの魅力の一つかと思います。

3曲目は新作のタイトルトラック『トップ画面』。

サビの四つ打ちに心踊るポップソングです。

小倉悠吾さんはしばし「ネット社会」を題材に扱った楽曲を書かれますが、この曲もそのテーマに沿っています。

小倉悠吾

このコロナ禍では人との接触を避けざるを得ず、ライブ活動にも制限がある中でライブ配信やYouTubeでの動画投稿に力を入れてきた小倉悠吾さんならではの、今の世に刺さる楽曲ではないでしょうか。

「スカートの中に入りたい」で始まる歌詞にびっくりしてしまう、新作より4曲目『心のスカート』。

いえ、決して変態の曲ではありません!

どんなに愛している人でも、生まれや育ってきた環境など他人であるのはどうしようもない事実、100%以心伝心とか到底無理なことです。

しかしそこに近づきたいとは願うもの、「スカートの中」という言葉を選ぶセンス・着想がぶっ飛んでいるなと感じました。

4曲続けて演奏してきましたが、短いMCで次の曲を一緒に盛り上がるための演出をアナウンス。

エレキギターからアコギに持ち換え、「この時代だから生まれた」という新作よりの5曲目『スーパーチャットの唄』。

スマホをライト代わりにして、お客様に振ってもらうという演出。

ミュージシャン視点からもお客様視点からも、しばらく見ることのできなかったこのビジュアルには、やはりぐっとくるものがありました。

ここでMCを挟み、次曲でのゲストを紹介。

キーボード:藤井さん、サックス:ビリージーンさんを迎えて演奏された6曲目は、CD『この日々よ』に収録されている『泳ぐ』。

もう、これでもかというくらい、小倉悠吾さんの歌世界にどっぷり浸れる「鉄板バラード」です。

バラード連続の7曲目は、CD『道標』収録の『河川敷』。

ソロでの活動を始めた初期からの楽曲で、何度も聴かせてもらう機会がありましたが、ここにきてバラードながらさらにリズムがタイト&ソリッドになったような印象を受けました。

小倉悠吾

こういった聴き入るバラードから、2曲目の『On The Ground』のようなハードナンバー、もちろんほかの楽曲もそれぞれの色があり、作風の幅広さには本当に豊かで驚かされます。

そして次の8曲目『Cutey Baby Beauty Baby Special Baby』がこれも新機軸。

テイストとしてはシティ・ポップなこのナンバーは完全に意外でした。

いわばノリノリの曲で、ハードな曲も絶対的バラードも常にシリアスな印象でしたが、この曲のようなアッパーチューンも出てくるのかとはびっくりです。

とは言えBメロやサックスソロ後のコード進行などには小倉悠吾的フックも盛り込まれ、一筋縄ではいかない現代的シティ・ポップです。

9曲目、新作よりの『月を見るより月に行け』で、小倉悠吾さんはメインギターであるキャンディアップルレッドのテレキャスターから、ラージヘッド・メイプル指板・オフホワイトのストラトキャスターに持ち換えます。

小倉悠吾

見慣れているせいか悠吾さんにはテレキャスのシェイプが似合う気がしますが(笑)、ストラトならではのミドルレンジをセレクトしたのでしょうか。

この曲からは「傍観するより行動を起こせ」そんなメッセージを感じる楽曲です。

一旦MCを入れて紹介されたのは、ギター:渡辺智哉さん、そしてボーカリストの顔も持つビリージーンさん、そしてドラム:長尾さん、ベース:渡辺健二さん。

ライブも終盤、演奏された10曲目は『ハイウェイ』収録曲の『ハイウェイ』。

個人的な主観が多分に入りますが、この曲が大好きなのです。

UKロックを感じさせるようなザラついた質感、特別にキャッチーな訳ではないけれどもグッとくるメロディ、英語のように当てるでもなくストレートに伝わる日本語詞。

Aメロを聴いた瞬間から、「あ、これ!この感じ!」という感触がサビ、曲終わりまでずっと持続するキラーチューンだと思っています。

11曲目『桜舞うインクライン』はデジタル配信でのシングル曲。

「インクライン」は京都の人以外にはなじみのない言葉かと思いますが、京都市と大津市の高低差のある水運を担うため、台車に船を乗せて輸送していた傾斜鉄道だそうです。

現在は春の桜名所の一つともなっています。

とは言え、今のご時勢ではインクラインを訪れることもそこで桜も見ることも叶いにくいですよね。

また時季が来たら、ぜひ現地でその感触を味わってください。

MCでエピソードを披露され、本編最後の曲12曲目は『米の生る大地』、新作収録曲です。

小倉悠吾さんはギターを外し、歌に専念します。

ギターは渡辺智哉さんに任せ、歌に集中していることからもこの曲にかける「歌」「メッセージ」の情熱が伝わってきますね。

ボーカリスト:小倉悠吾ここにあり、その存在感を存分に印象付ける熱い歌です。

これだけのステージを披露してくれては当然起こるアンコール、それにお応えして演奏してくれたのは、Ponさんと悠吾さんによる共作の未発表曲『no title』。

お互いのスタイルがドッキングして生まれた新曲、最後はお2人によるアコギ弾き語りで、シンガーソングライター・ツーマンによるライブをしっかり締めくくっていただきました。

この曲が今後リリースされるのか、とすればどんな形で?

気になるところですが、楽しみに待ちましょう!

そしてなんとなんと!!お2人によるライブツアーが決定しております。

小倉悠吾×Pon Wレコ発ツアー東日本編

●3/19(土) 栃木 佐野 カフェMusikOpen 14:00 Start 14:30出演:小倉悠吾、Pon(ふらっと♭)料金:4,000円(1ドリンク別途必要)

​●3/20(日) 東京大塚 LIVE×BAR○(maru)Open 12:00 Start 12:45出演:小倉悠吾、Pon(ふらっと♭)西沢拓海(Dr)遠山陽介(Bs)料金:4,000円(1ドリンク、1フード別途必要)※配信あり、後日詳細はお知らせします。

●3/21(月祝) 名古屋 Music Bar BOBOpen 13:00 Start 13:30出演:小倉悠吾、Pon(ふらっと♭)料金:4,000円(1ドリンク別途必要)

​小倉悠吾×Pon Wレコ発ツアー西日本編

​●4/8(金) 姫路公認ストリート18:00〜 / 19:00〜 / 20:00〜各ステージ3曲ずつ、2人のステージ終了後物販。

●4/9(土) 香川 高松 カフェスタイルHAZUKIOpen 16:00 Start 16:30出演:小倉悠吾、Pon(ふらっと♭)料金:4,000円(1ドリンク、1フード別途必要)

​●4/10(日) 岡山 倉敷 CookiejarOpen 14:00 Start 14:30出演:小倉悠吾、Pon(ふらっと♭)料金:4,000円(1ドリンク別途必要)

チケットご予約は各アーティストサイトからお願い致します。

小倉悠吾  オフィシャルウェブサイト

Pon オフィシャルウェブサイト

また、2/5のライブの模様は近日配信にて公開予定とのことです。

こちらも詳細決定次第、更新いたしますので今しばらくお待ちください!

New ALBUM

“Pon” New ALBUM「Beautiful day」2022/2/24 Release¥2.000(税込) / 通販¥2.200(税込)

Beautiful day

“小倉悠吾” New ALBUM「トップ画面」2022/3/19 Release¥3000(税抜)

トップ画面

トップ画面

ライタープロフィール

平田 浩康

ライブスポットラグ

平田 浩康

Live Spot RAGの平田浩康です。

15歳の時、音楽特にロックのカッコ良さに痺れギターとバンドを始めました。

生まれ故郷の高知県は、ライブハウスやコンサート会場も少なく生の音楽に触れる機会が少ない、当時は情報源も雑誌やCD、VHSビデオ(!?)という時代でしたが、音楽というとてもキラキラしたものに魅了され、勉強そっちのけでギターと音楽を楽しむ毎日でした。

大学進学から京都に移住し、大学では軽音楽部を卒業(笑)。

それまでは邦楽ロックや洋楽ハードロックを中心に聴いていましたが、先輩や同期から世の中にはもっとたくさんの音楽があることを知らされ、今では「いいな」と思えるものはジャンル隔てなく聴いております。

大学卒業後にRAGに入社、約6年のオフィスや約10年の音楽スタジオを経て、現在は創業39年の老舗Live Spot RAGにて勤務、主にプロモーション業務を担当しております。

日本トップミュージシャン達が奏でる「本物の音楽」に触れ、お客様に届けることで、あらためて音楽の煌めきを実感する日々です。

今でもギター、バンドはゆるく継続しており近年は今更ながら歌も歌ってみたりしています。

もうすっかりおっさんになってはしまいましたが、あの頃「音楽に描いた夢の向こう側」を、今後もみなさんと追っていければと思っています。

このライター・クリエイターへメッセージを送る

記事一覧