スペシャルインタビュー 六合 3/5|スタジオラグ

スペシャルインタビュー
六合 | スタジオラグ
積田さんがおっしゃられるように、楽曲のタイトルも難しいので、収録曲の解説をお願いできればと思います。1曲目は「求世輝導 (ぐぜきどう)」ですね。
仲出:この曲は一番気合いの入ったギターソロを弾いてますね。ミックス段階で、雰囲気を出すためのギターを後ろに下げたりとか、プリプロの時よりもより空気的になって入っているものが多いんですけども、この曲は空気感を出すためのギターが色々散りばめていたりして、そういう意味では僕のギターが一樹のギターよりちょっと前に出てると思います。
原田:メタルばっかりよだれたらしながら弾いてる人ってね、頭を合わせるのはすごく得意なんですけど、「ウラを意識して」って言われたら途端に、「あれ??弾かれへん…」ってなるもんなんですよ。頭さえ合えば良いという弾き方をしていたところ、「ウラをもっと聴きなさい」と内田さんに言われて、「ウラって大事なんや!」となったというエピソードが。
積田:曲の解説は?(笑)
内田:ウラを意識して弾いたところを聴いてくれってことやろ?(笑)1曲目っぽくないというか、アルバムのオープニングとしては意外な持っていき方というか。今回は敢えてそういう曲順にしたんですけど、イントロの数秒だけで僕らの世界観が伝わる曲ですね。アレンジが特に凝ってますね、リズム的な部分で。変拍子がどうこうっていう話じゃないんですけど、4/4の中でも色んなリズムのアプローチが出てきたり。ドラムもアルバムの中で一番カラフルなサウンドですね。タムの音程差とか細かくシンバルを使い分けたりとか。聴いていて色んな音が聴こえてきてイマジネーションを刺激される曲に仕上がってるんじゃないかと思います。
積田:曲全体としてメロディがすごくキャッチーなんですよ。ダークでヘヴィなバンドサウンドに、歌詞も恐そうな言葉を使ってるんですけど、サビはメンバーに最初に聞かせた時に、「昭和歌謡か?」って言われた(笑)
内田:野口五郎っぽいんですよ(笑)
積田:ある意味日本人の耳にすごく入ってきやすい印象的なサビがポイントかなという曲になっています。
内田:アレンジ変えたら、多分まんま歌謡曲になると思う。
原田:確かに、「野口五郎にして」って言われたらすぐ出来る(笑)
内田:歌謡曲的なメロディというのは今まで六合にはなかったんですよね。そういうところも聴きどころじゃないかと。
ありがとうございます。2曲目「暁光に至 (ぎょうこうにいたる)」はいかがでしょう。
積田:意識したのは、メタルっぽい曲にしようと思って。躍進とかそういうテーマはアルバムには持ってるんですけど、一本筋を通した進化みたいな、バンドとして。自分達が昔からやってきて好きなものって、やっぱりヘヴィメタルであったりするので、それを貫きつつ今のバンドで出来る一番良いものになったらいいなと敢えてメタルっぽい曲にしたので、そういうアグレッションを是非とも感じて欲しいと思います。
となると、原田さんが大活躍される訳ですね?
積田:これは曲を聴かせた時に、「これは僕へのご褒美ソングですか?」と言われました(笑)
原田:「これ、何したらいいんやろ?」って1ミリも思わなかったですね。「出来る!これ俺弾ける」って(笑)
内田:今までもメタル要素の強い曲はあったんですけど、特にイントロのギターサウンドは今までで一番「悪い」サウンドに仕上がっています。1曲目の「求世輝導」とは違った意味で今までの六合を知っている人は驚くかも知れないですね。
原田:リズムギターは全曲ほぼ俺が弾いてるんですけど、仕上がった曲を聴いて思ったのが俺が弾くと絶対後ろノリになるんですよ。リズムが速くなってからのとことかね。あの音量のあのくらいのミックスのギターで、もし前ノリで弾いてたら、凄くギターがうるさく感じるんですよ。後ろノリだとそんなにうるさくないけど、実は結構音量出てまっせという感じに仕上がってます。
3曲目「共心(きょうしん)」ではガラッと雰囲気が変わりますね。六合と言えば和のイメージが強いですが、あんまり日本ぽくないと言うか。
積田:これは1つ前にリリースしてる「真神楽」というコンピレーションアルバムに1曲、似たタイプのちょっとデジタリックなビートを使った曲を入れたんですけど、それが僕の中では一つの方向転換というか。自分達はメタル寄りのサウンドだけど、色んなものを取り入れていきたいなというのが、そもそも六合を始めた時にあったんです。前作の時にデジタル要素を取り入れていきたいな、折角キーボード居て色々出来るんだからと思って作ってみて、個人的に満足の行く作品が出来たので、こういう路線も六合の一面として確立したくて今回この曲を作ったという感じですね。
内田:この曲、難しいよね。というか難しくしちゃった感じ。最初はシンプルな曲構成で、ビートもそこまで複雑な展開っていうのはなかったんですけど、アレンジを詰めていく内に、ここはもっと盛り上げて最後のサビにいきたいとか、そういうところが出てきて、ギターソロがあってその後にユニゾンでキメのパートが変拍子がちょっと入ったりとか。自分で自分の首を絞めるいつものパターン(笑)あとバンド的な部分ではないんですけど、パーカッションや色んな音を加えて、頭から最後まで、どんどん変化があるアレンジになっています。
仲出:ギターアレンジも結構凝ってますね。本来キーボードがやりそうなシーケンスフレーズを、敢えてバンドサウンドっぽく聴こえるようにギターのギターらしい歪みの音でやってみたり。上モノは色んな冒険をした曲ですね。
たくさんの変化をつけたというのも、コンセプトである「変革」とも通ずるところですか?
内田:シンプルなものはシンプルなもので好きなんですけど、六合としてのサウンドを考えた時に、この独特な世界観をいかに広げるかが大事だと思ってるんです。僕らは作る側ですけど、リスナーとして聴いた時に、単純に聴き流されたくはないんですよね。聴いていて何かしらイメージが浮かぶような音、それは単品でのギターの音だったりパーカッションの音だったりもそうですし、曲全体としてもそうなんで、単純に複雑にするという意味じゃなくバリエーションに富んだものにしたいというのは、どの曲もアレンジする時には心掛けてますね。「共心」はそういう意味で、全パート凝ってるんじゃないかな?
積田:かなり遊んでるね(笑)
4曲目「獅士、玉虫の背に(しし、たまむしのせに)」はすごくキャッチーな曲ですね。
積田:これは3~4年前にコンピレーションアルバムに提供したことのある曲なんですけど、作品として聴いてもらえる機会がなかなか少なかったので、今回是非入れたいと主張しました。「陰」と「陽」でいうところの、どちらかというと「陽」の部分が出てる曲ではあります。ヘヴィなサウンドだけじゃない、こういうキャッチーさというのも共存できるんだぞ、っていうのを僕の中では思ってます。
内田:これも、演奏は大変やけどな。
仲出:楽しいですけどね。このアルバムを作って行く中で、上モノは綺麗だったり広がる感じだったりとか、ヴォーカルのメロディーを裏メロっぽくなぞっていったりとか、そういう役割が多かったんですけど、この曲は上モノもアグレッシブでかつ高音、そういうフレーズがいっぱい盛り込まれてます。ギターは全部アゲアゲみたいな(笑)
内田:この曲は前のバージョンからギターソロが加わってます。実はギターソロっていうのは今まであんまりなかったんですよ、六合って。ギターソロというセクションはあまりなくて、曲展開でどんどん次のパートに進んでいくという。ちゃんとギターソロというのがあるのって、数える程。静かめのバラード寄りの曲ぐらいでしか出てきてなかった。
積田:ここはギターソロじゃないと駄目やろ?っていうところじゃないと入ってない感じだった。
内田:ギターソロとかオブリのフレーズとか、ギタリストが二人いるのもあるんですけど、今回今までにないくらい入ってますね。そこはこれまでとの大きな違いです。
ギタリストのリスナーとしてはそのあたりも楽しみですね!5曲目「薄暮へ(はくぼへ)」ですが、前半和楽器っぽい音が入っていますね。あれはシンセですか?
内田:あれは自分の持ってるパーカッションをサンプリングした音と、ソフトシンセのサウンドを混ぜたりとかしてます。あと、今回KORGのWAVEDRUMという世界中のパーカッションの音が入ってる楽器があるんですけど、それを叩いてます。
積田:パーカッションやシンセの比重が割と高い曲かなという感じで、雰囲気的には妖しげな空気を醸し出しているような。ここまではハードな曲がずっと続いてるので、空気を変える位置づけでもあります。
内田:一番アレンジに時間がかかった曲ですね。フレーズをどうするかと言うよりも、曲の構成、例えばA、B、Cとか一般的な構成があるじゃないですか。それをどういう並びにするか、かなり試行錯誤しましたね。
原田:ほぼサビ以外繰り返しないですからね。
内田:そうそう、六合の悪いところなんですけど(笑)
仲出:1回出てきたやつがもう出て来ない(笑)
積田:往々にしてある(笑)
内田:普通の歌もの、ポップスとかだったらA→B→C→A→B→C、2回目のCが終わったらギターソロがあるか大サビのDに行ったりして、次またB行ってC行って終わりみたいな、セオリー的な構成ってあると思うんですけど、六合には割とそういうのがなくて、1回しか出て来ないパートが多いんですよ。だからアレンジする時も、一度ハマると物凄く時間がかかってしまう。それの代表曲、みたいな(笑)すごく苦労した割には、最後はすぱっと。
積田:いい感じに纏まってくれた(笑)
内田:苦労したけど、最後にはこれが正解かなと。
積田:すごく聴ける曲になったというか。