スペシャルインタビュー piano girl |スタジオラグ

スペシャルインタビュー
piano girl

スペシャルインタビュー piano girl

喩えるならば、ベンジーこと浅井健一と、あるいは甲本ヒロトと対峙しているかのような。piano girlのギター・ヴォーカル:内田秋からは、そんな"ロック"なオーラを感じずにはいられない。今の時代においては異端児か、あるいは寵児か。1st シングル「赤心」をリリースしたpiano girlが10年代に突き刺す、ソリッド極まりない"ロック"の全て。

インタビュー

ベストなやつらばっか、一番上手いやつを集めようと思って

バンドの結成は2009年とのことですが、piano girl結成の経緯についてお聞かせください。
内田(敬称略):高校の頃からずっとバンドはやってて、地元は広島なんで、大学で京都に来て。高校の頃にやっていたバンドは解散して、来たんです。もちろんずっとバンドはやりたかったんで、大学で組もうと思ってサークルに入ったんですけど。結構周りの人間、先輩とか、俺の中で大学のサークルでやってる人達って、音楽で一生やっていくんやってやつが多いと思ってたんですけど、全然皆そんなことなくって。だから最初は幻滅、「まじか」って感じやったんですよ。やからこそ、一番上手いやつを集めようと思って。1回生の時に演奏会みたいなやつで、ベストドラマーとか色々あって。それのベストなやつらばっか集めて。俺は何のベストでもなかったんですけど(笑)。それで集めて組んでという感じなんですよ。今残ってんのは、最初のドラムのやつはずっと5年間一緒にやってます。
メンバーチェンジしていく中で、現在のメンバーさんとはどのように出会ったのですか?
内田:最初のメンバーとは2年やって、やめて。2年間の活動の中で、奈良のライブハウス:Never Landにライブしに行った時に、そこのブッカーか何かの人がいて、その人とその日に仲良くなってて、かつその人も自分のバンドがあってベースを弾いている人だったんですよ。それで、その人のバンドとも対バンすることがあって。俺の中でメンバーってなったら、ステージ立っている時の雰囲気だったり、ああいうのがすごい重要なんで、この人いいなというのは軽く思ってて。それで縁があって、俺が直接声かけた訳じゃないですけど、間接的にその話がいって、そしたらその人も結構嬉しかったっぽい、「やりたい」みたいな感じやったんで、「ああ、じゃ、やりましょ!」みたいな。ベースはそんな感じですね。
それが長友さんですね。
内田:ギターも新しく入ったんですけど、そのギターはそれこそサークルの俺と歳は一緒なんですけど回生的には1個下のやつで。そいつも特別上手いとかじゃなかったけど、何か気になる存在みたいな感じやったんで、そいつにぷっと声かけて。そしたらぷっと入ってくれた、みたいな。
ということは、内田さんとドラムの米谷さん、ギターの有村さんの3人は京都産業大学出身ということですね?
内田:ギターは中退したんですけど(笑)。ドラムは6回生になって、こないだやっと卒業したところです(笑)。
2009年に最初のメンバーで活動していたころから、バンド名はpiano girlで?
バンド名「piano girl」はくるりの楽曲が由来なのですか?
内田:まあ、そうですね。それこそ俺、京都に来た理由も、くるりが昔から好きやったから京都来て。やっぱりロックコミューンとか入りたいなぁとか思ってたんですけど、立命館は受かんなかったから。っていう理由なんですよ、京都に来たのは。
そこまで好きとは意外です。
内田:最近はあんま好きちゃうんですけど(笑)。
あれ?そうなんですね。
内田:俺がtwitter始めて岸田さんをフォローして、あの人の言ってることとか見てたら、俺が全然好きじゃないバンドをめっちゃいいと言ってたりとか、俺がかっこいいと思ってる曲の感じ、めっちゃ具体的に言ったら、BPMが速い8ビートの中に言葉・歌詞も8やったり16とかでバーッと入れてみたいな音楽全然好きちゃうわ、みたいなこともあの人が言ってたんですよ。「俺それ好きなんすけど。。」みたいな。で、俺結構自分が好きなもん嫌いとか言ってたらその人に興味無くなってまうから、それで何か。聴くのは聴くんですけど、なんかちゃうな、みたいな。
好きな音楽というところですが、メンバーの皆さんも共通してこういう音楽が好きだとか、ここはバラバラとかはありますか?
内田:あんまり共通はしてないと思いますね。めっちゃ簡単に言ったら、もちろん皆ロックとかは好きなんですけど、結構俺の中ではロックの中でもパンクだったりとかが好き、ルーツ的なところがあって。で、ベースとかどっちかと言ったらJ-POP寄りなところとか、すごい音楽的な感じの人間で。ドラムは多分メタルを昔から好きで、サークルでもキャラ設定みたいなやつあるじゃないですか。あんなんでメタルドラマーみたいなキャラ設定が結構あいつは好きっぽくて。ギターは、、何なんすかね?ちょっと分かんないすけど(笑)。

大見栄きって言い切れる自信みないなのがついてきたから

先ほど内田さんが仰られていたように、速めのBPMにソリッドなギター、そして8や16で畳み掛けるヴォーカル、といった独特のpiano girlサウンドがあると思いますが、歌詞も同等もしくはそれ以上に独特だと感じます。とてつもなく文学的な方向に寄るでもなく、ドストレートでもなく。歌詞のスタイルはどのように確立されたのですか?
内田:小学生くらいの頃から、歌詞とか小説とか書いたりしてて。多分言葉書くのが昔から好きで、書いてたらどんどんどんどん、色んな言葉も知っていくし、常に自分の中での言葉のハードルと言うかレベルみたいなのを上げていきたいみたいな向上心みたいなのが出て来るじゃないですか。面白い言い回しだったり、日本語でかつ日本人にじゃないと伝わらない感じやったりとか、っていうのがええなあと思い始めて。それで今おっしゃられた、文学的に行き過ぎる訳でもないのも、多分あって。最近は逆に、誰もが簡単に言えるように見えて、実は歌詞とかではあまりなかったようなことやったりとかっていうのも、大見栄きって言い切れる自信みないなのがついてきたから。今まではやっぱこっ恥ずかしいみたいなのがあったんですけどね、歌詞をこねくり回したりもありましたけど。最近はそういう恥ずかしさとか、どんどんどんどん無くなってきてる感じですかね。
そして9月10日に、1st single「赤心」がリリースされました!おめでとうございます!
内田:ありがとうございます。
初の全国リリース盤ですが、リリース直後の今の心境はいかがですか?
内田:昔から絶対全国にCDリリースしたりしてどんどん、と思ってたんですけど、いざやってみたら、もう「やってまったこと」。あんまり今はそこまで興味がなくて、実は(笑)。それより明日のライブとか、今作っている曲やったりとかしかあんまり考えれないから。CD出して「いえぃ!」みたいなのはあんまりないですね。
クールですね。
内田:レコーディングし終わった時とかは、「もう最高や、最高や!」っていう感じはもちろんあるんですけど、もう時が経てば、という感じですね。
アルバムタイトルの「赤心」、これはどういう意味を込めたのでしょうか?
内田:俺が昔から、大学の頃からよく行っていた近所のラーメン屋さんがあって、それが「赤心」って名前なんですよ。だからすね。タイトル何にしようかな?って考えてて、ホンマ色んなタイトル考えたんですけど、あんまりぴっとくるのがなくて。で、その日の夜にまた赤心食いに行こうと思って一人で食いに行って。それで、「あ!『赤心』でいいやん!」と思って。俺使ってるギターも真っ赤っかですし、やっぱり赤い色って情熱やったりみたいなのってあるじゃないですか。俺らのpiano girlっちゅうバンドのイメージカラーみたいなのも、多分赤色なんですよ。だから、全然いいやと思って。「赤心」ってラーメン屋も働いている方みんな「赤心」って背中に書いてる赤いTシャツ着ててて。それがいいなと思って。
piano girl効果で行列が出来るかも知れませんね(笑)!1曲目が「Nevermind」というタイトルの曲ですが、これはやはり狙ってるのでしょうか?
内田:そうっすね。いつかは作りてぇなってタイトルの曲、っていうのがあって。それで作ったろうと思って作りました。
これは、ニルヴァーナの方ですか?
内田:いえいえ、ピストルズです、セックス・ピストルズです。アルバムタイトルですね。
なるほど、そちらでしたか。
内田:何なら、俺ニルヴァーナとかあんまり好きちゃうんすよ。
そうなんですね?
内田:かっこいいなとは思うんですけど、俺セックス・ピストルズが昔から大好きで。カート・コバーンってすごいネガティブな後ろ向きで、ジョニー・ロットンって実はああ見えて超前向きな人で、多分。色々言ってることとか読んだりすると。俺は絶対前向きな人間やと思ってるんで、だからニルヴァーナはそこまで好きになれなかったですね。
4曲目「エレキナイト」の歌詞の中に「smells like teen spirit」という歌詞も出てきますので、てっきりニルヴァーナかなと思っていました。
内田:あれはただの皮肉っちゅうか、嫌いなやつの言葉借りて、みたいな。ま、でも「smells like teen spirit」って言葉自体はめっちゃいいじゃないですか。それはそれで。
そして「Nevermind」の歌詞の中には「尾崎世界観」という名前も出てきますが、これもクリープハイプはあまり好きでないと?
内田:あんまり聴いたことがなくて、クリープハイプは。クリープハイプどうのこうのじゃなくて、俺がそれで言いてえのは、例えばクリープハイプが今のインディーズ・ロックの表立った世界ではすごくいってるじゃないですか。好きな人達も多いし、ロックバンドやな、みたいなのは俺も思うんです。ただ俺が思ってるのは、日本のロックバンド・日本のロックとかを好きな若い人達が、「尾崎」つったら尾崎豊をまず聴いとって欲しいんですよ。尾崎豊を聴いて感動する心とか。俺が尾崎豊が大好きというのもあるんですけど。尾崎豊も知らんくせに、尾崎イコール世界観、その感じが俺はむかつくというか。そういう歌詞ですね。
流行追うのではなくてロックの歴史も勉強してね、という感じでしょうか?
内田:まあまあ、みたいなね。
内田さんの世代で尾崎豊が好きというのも意外な気がしますが。ルーツミュージックとかはかなり遡る方ですか?
内田:親父が全然ロック聴かないんです。クラシックとかジャズとかの方なんですけど、唯一尾崎豊は親父が好きで、俺が小さい頃から家の中で流れてて。だから俺ん家で唯一流れてたロックは尾崎豊くらいなんで。それも大きいすけどね。
全体的に、piano girlのギターのサウンドってめちゃめちゃいいですよね。
内田:あー、どうですかね?俺めっちゃ適当ですけどね。上手のリードギターは、すごいそういうところ意識してやってるんで、俺も「ええ音やなあ」と思いますけど。俺の音はくっそ適当ですから。
いえいえ!内田さんがテレキャス、リードの有村さんはストラトですか?
内田:彼はジャズマスターですね。俺は本当に適当で、レコーディングの時でもEQなんか適当で。
それであの音を出されたら、世のギタリストは平伏しますよ(笑)。それほどギターに対するこだわりはないのですか?
内田:ないですね。もちろん、「パーン」という自分の出した音で自分がゾワゾワする音を目指してガッと作りますけど、「誰もが聴いていい」とか、「いい音」って意識はあまりないですね。「自分の中でかっこいい音」をただ出すと言うか。

カオティックなんやけど、すげえダーティーなんやけど、そこに絶対ビューティーもある、みたいな

テレキャスターに対するこだわりというのもないのでしょうか?
内田:あんまり実はなくて。今のギターも高校を卒業するちょっと前くらいに買ったんですけど、俺本当はレスポールとか買おうと思ってて、仲の良かった楽器屋のおっちゃんに「お前はレスポール似合わん」「テレキャスターにしろ」みたいに言われて。俺も「まじすか?」「それじゃ」つってテレキャスター買って。で弾き始めたけど、俺エフェクターとかも全然持ってなかったから、テレキャスターとか、例えばジャズコーラスにつないでも全然アレですし。しょぼいギターやなって思ってたくらいで。こだわりはそんなにないですね。ただ、買い替える気も別にない、くらいの感じで。あるもん使ってる、みたいな。
いいギター&ヴォーカルの方はテレキャスター使っている方が多い気はしますが。
内田:きれいなっちゅうか、独特な攻撃的な音とか、「混沌美」みたいな。
「混沌美」?
内田:カオティックなんやけど、すげえダーティーなんやけど、そこに絶対ビューティーもある、みたいな。そういうのって結構テレキャスターは出るなっていうのは、俺の中でありますね。
ありがとうございます。2曲目のタイトルに「安田講堂」という言葉が出てきますが、これはやはり学生運動に関する歌でしょうか。
内田:そうですね。
内田さんの世代でも、学生運動に関するような何かがあるのでしょうか?
内田:全然ないですね(笑)。
むしろよく知ってらっしゃいますね?
内田:若者が何かに立ち向かって・立ち上がってっていうそのエネルギーみたいなのが、俺にはあるんすけど、今の回りの若者達ってほぼないっていうのは俺はずっと思ってて。あの頃からしたら安田講堂とか学生運動とかも、色んな思いがあったんでしょうけど、ああいう若者のエネルギーみたいなものいいよね、みたいな曲なんで。
若者のエネルギーが同世代には感じられない?
内田:う~ん、感じないっすね。持ってるやつはいるんですけど、それが日本中に広まることだったりってまずないじゃないですか。その頃の時代とかはそれがあったし、それはすごいなあと思って。出来ることならこれからは俺らが、俺らで、エネルギッシュな時代を作っていけたらと思ってるんですけどね。
今の若い方は大人しいというような話は他でもよく聞きますが、やはりそうなのでしょうか?
内田:俺も言うたらまだ若者やと思ってるから、全然。多分俺なんか30歳、40歳になっても一生ガキのままの自信あるんで。俺からしても、元気が無いっていうのもあるし、何より理屈っぽいところはありますね、周りのやつらが。俺らってもっと、そんな理屈で色々物事考えてから体動いてとかじゃなくて、そういう形式上のこととかじゃなくて、そんなんじゃねえところで面白いことできると思うんすけどね。
何ともロックですね!
内田:それがホンマ、ロックっていうとこやと思うんですよ。だからこそロックバンドやってるんやったら、そうじゃないと絶対ダメやと思うんですけどね。そこがやっぱ大人しいってとこなんでしょうね。周りのロックバンドって言うてるやつらが。
3曲目「瞳」はうってかわって綺麗なバラードですね。
内田:速い曲しか書けん時とゆっくりの曲しか書けん時、っていう時期が結構あって。「瞳」は今ある俺らのバラードの中だったら一番俺も歌っているとき涙が出てくるくらい、俺の中でも感動的な曲ですね。
この曲はいつ頃書かれたのですか?
内田:・・・あんまり覚えてない。。
収録4曲は、全曲今回のリリースのための書き下ろし、という訳ではないのですか?
内田:では全然なくて。最後の「エレキナイト」なんかは、それこそ2009年とか2010年とかその辺に作ってて。1回自主制作のCD、初めて出した2曲入りのデモに入っているやつで。その曲はいつもライブでやっても盛り上がるし、でも古い曲やからアルバムに入れんのもなって感じやったから、それじゃ最初のシングルに入れよっか、みたいな。
そんな昔からあった曲なんですね。
内田:再録したんですけど、前回のやつよりBPM多分クソ上がってて(笑)。あり得ん、別の曲くらいの(笑)。
ということは、前の録音は今とは違うメンバーさんでの録音ということですね?
内田:そうですね。
今回、999円&999枚の限定発売ということですが、この数字にはどのような意味があるのでしょうか?
内田:その辺、音楽以外のところは、メンバーに丸投げしてるんで。だから俺もその辺の理由とかは全然知らないんですけど(笑)。なんでもいいやって思ってたんで。
これはメンバーさんや、レーベルであるDAYLIGHT RECORDSさんが決められた?
内田:そこの社長さんとうちのメンバーが話し合って。
DAYLIGHT RECORDSはGROWLYの角田恭平さんのレーベルですよね?
内田:そうです。恭平さんはこの5年間、俺らの活動を最初から見てくれてて、ウーピーズとかも出てたし。昔から言ってくれてたんですよ。「お前らのCD、いつか俺出したいな」みたいな。今回、それが形になったというか。
DAYLIGHT RECORDSで目指しているところはどういうところですか?
内田:恭平さんも言ってることで、色んなジャンルの音楽があるけれど、例えば俺らpiano girlっていうバンドと、あと1個仮に何とかいうバンドがいたとして。やってる音楽は全然違って、普段やってる世界も全然違って、お客さん達も全然違って。っていうバンドでも絶対に抱えてる気持ちというか、さっきから言ってるような気持ちを持ってる人って絶対にいるやないですか。それは俺にも何人かいますし、そういうのをレーベルっていうのがまとめやすい存在っていうか。抱えやすい、そういう世界を一緒にするっていうことが。それで、どんどんどんどん巻き込んで行こうみたいな、そういう気持ちをあの人は多分持ってると思うんですけどね。
これまでMVも何本か制作されていますね。何本作られましたか?
内田:ライブの音とかで、音悪いけど一応編集したのを合わせれば5本?6本とかですかね。映像とかを専門的にやってる仲間もいますし、ちょっとした編集で俺らの色出しつつという感じのはうちのベースが結構出来るんで。
これまで映像制作会社に依頼して、というのはなかった?
内田:ないすね。俺の中で基本的に、元から力持ってるやつとは一緒にやりたくないんですよ。だから映像会社とかに頼んだりして、今まで頑張ってきた監督やったりとか、ナンボ程金出すねんっていうくらい金出したりして、っていうのは俺絶対やりたくなくて。自分らの力で一から作っていくみたいなのがしたいから。
「玉屋ビル奇譚」はストーリー的にも映像として楽しめるMVになっていますね。脚本も書かれたのですか?
内田:あれは玉屋ビルっていうビルがあって、そこに住んでる人がいて、その人、今はどこか行っちゃったんですけど、その人が結構映画作ったりとかしてた人なんで、その人と俺仲良くて。その人に「脚本書いてくださいよ」って書いてもらって。

MVは俺からしたら結構どうでもいいっすね。むしろ茶化していくものと言うか

MVは今や音源同様にバンドにとって必要なメディアとなりましたが、内田さんにとってはMVはどういうメディア、存在ですか?
内田:俺的にはロックバンドはライブが絶対一番で、やからこそMVは、ライブでしか見せない真のロックバンドの姿みたいなのを、ちょっとバカにしていくみたいなところがあって。MVとかだけで俺らのことを知らない人が、いざ俺らのライブに来た時に、そのイメージとかを全部ぶち壊すというか。だからMVだったり、タイトルに「赤心」っていうラーメン屋の名前つけるとかも、ライブ見たことない人達とかをちょっとバカにしてるところがあって。バカにしていきたいというか、言い方悪いですけどね。例えば具体的に言ったら、玉屋ビルのMVとかも、めっちゃアホっぽいですし、あんなんとかもちょっと世間を小馬鹿にしてると言うか。だからライブに来た時に全然イメージ違うでしょうし。結局質問に答えると、MVは俺からしたら結構どうでもいいっすね。むしろ茶化していくものと言うか。
現在CDは売れない時代と言われ、メジャーはもちろんインディーズのバンドマンの活動方法も変わってきていると思います。そんな時代にバンドで食べていくには何が必要だと思いますか?
内田:俺らが「食えてるな」って思うレベルが、毎日ライブ出来て・ライブ終わって・酒呑んで今日も最高なライブして、っていうのが俺の「生きる」「食う」っていうことなんですよ。それで言ったら、今後食っていくためには、常に最高なライブをしてお客さんが増えていって、そしたら必然的に物販とかも売れるやろうしギャランティーも上がっていくでしょうし、俺らがライブをやるっていうことでの赤字というか俺らが出す金っていうのは減っていく・なくなっていって、さらにそれが黒字に変わっていって、その黒で生活出来んちゃうかなとは思ってますね。
とにかくいいライブをと。
内田:あんまり考えてないっすね、その辺は(笑)。絶対「まあ、いけるっしょ」みたいな大きな漠然とした理想があって、それをもうただ追っかけてるだけやから。「いけるっしょ」とは思ってるんですけど。
SNSはされていますか?
内田:やっています。twitterだけですけど。個人でというか、piano girlの内田秋みたいな感じになってますけどね。
どのような使い方をされていますか?
内田:昔はライブ告知とかもしてましたけど、最近はもう全然してないですね。やっぱりめっちゃしょうもない世界やと思うし、あれは。呟いてはいるけど、あんなんも全部俯瞰して、アホらしいなと思いながら、バカにしながらやってる感じですけどね。

それが多分、「感動を与え合う」って感じすかね

今回のリリースに伴うツアー予定はありますか?
内田:リリース前に北から南まで回ってたんで、リリース後はそこまでがっつり回りまくるみたいな感じではないですね。
お話しを聞いている限り言葉にするのは難しいかも知れませんが、piano girlのライブの魅力を言葉で表すとすると?
内田:言葉には出来るんですけど、するべきかみてぇな感じなんですけど。俺は一応言葉にはしたい人間なんですると、「俺らのライブは感動を与え合う」。その30分間って人生の中でめっちゃ尊いもので、っていう時間を俺は作りたいなって思ってやってるんですよ。
感動を与え合う?
内田:色んな綺麗なものというかを、すべて壊すというのが俺の中にあって。例えば巷のバンドのライブなんか、どのライブハウス行っても、全くよくないライブをしてても演奏終わってヴォーカルが一言「ありがとうございます」って言ったら、皆台本を読んできたが如くパチパチパチって拍手するし。逆に、クソいいライブをしてるのに「ありがとう」とかバンド側からの何かがなかったら、フロアはシーンとしてたりとか。もっと逆を言えば、めっちゃ人気なバンドが出て来て、俺が見てて「全然よくないやん、こいつら」ってなってても、めっちゃ盛り上がってたりとか。そういう色んな嘘が渦巻いているんですよ、ライブの中にも。俺はそんなんを全て壊したくて、そこに来た人達それぞれが、自分の中の感動をごまかすんじゃなくて、その人達が自分の殻破って素直に感動をぴっと表現出来た時に、俺もまたそれを見た時に感動をもらえるんですよ。それが多分、「感動を与え合う」って感じすかね。

「常に前向きで孤立していく」

今後も活動拠点は京都ですか?
内田:拠点はそうですね。京都に住むでしょうし、ずっと。
以前、「京都は何やってもいいけど、関心は薄い」とおっしゃられたことがありますが、今でもそのように思われますか?
内田:今は、それを逆にいいなと思っていますね。ロックバンドって、変に周りのやつと肩組んだりとかじゃなくて、孤立の道を辿って行って、自分らだけの力で切り拓いていくべきやと思うんですよ。もちろんそれは選ばれた存在で、そういう力を持って生まれなかったバンドが多いから、結局今飽和してしまってるんでしょうけど。少なくとも俺らはそうではないから、切り拓いていく存在やと思ってるんで、だから俺はそういうバンドが増えた方がいいって言える強さを持っていると言うか。それで言ったら京都っていう場所って、孤立的・閉鎖的っていうか。それは俺はいいことやなと、今は思ってます。「Nevermind」とかで歌ってる「アングラ志向の堅物」みたいになってしまってるやつらも多いから、京都は。30歳前後のバンドでも、もう諦めてしまってるみたいなやつらも多いから。それはもう全然しょうもないと思うんですけど。「常に前向きで孤立していく」というか。
「前向きで孤立していく」ってもの凄くかっこいいですね!
内田:ホンマにかっこいいロックバンドが、ふるいで生き残っていくと思いますね。こういうやり方をしていけば。
そしてpiano girlはもちろん生き残ると。
内田:もちろん。
今後のpiano girlの野望についてお聞かせください。
内田:今日言ってたような、俺らがおるから若者が立ち上がれたとか、俺らがおるからしょうもないロックバンドが全部解散してホンマにかっこいいやつらだけが集まって、その時初めて肩組むべきやと思うんですよ。そしたら日本のロック自体がかっこよくなるし、日本という国自体がもっと情熱的になって、かっこいい国になっていくというか。それが多分一番大きな夢ですね。
めちゃめちゃ大きいですね(笑)!
内田:完全ノンポリですし政治とか全く興味ないけど。でも音楽で俺はそういうこと成し遂げたいなっていう野望はあります。
最後に、このインタビューの読者にメッセージをお願いします!
内田:俺がこういうこと考えてるって、ライブのMCでも俺は結構言う方なんですけど、積極策というか。こうやって活字で俺の思いを読んでくれるのは、俺すごい嬉しいっていうのと。自分らが、俺が作る音楽とpiano girlというバンドの存在で、全てに俺が思ってるのが、今言ってきたこと全て俺がひっくり返すような話なんですけど、絶対に人の言葉を鵜呑みにしちゃダメというか。このインタビューで俺が言ったこととかも、例えば俺らのことをすごい好きやったとしても、鵜呑みにせず疑問の目を持つというか。やっぱり、お前らはお前らでやれ。俺にはあるんで。インタビューだけに限らずね、piano girlっていう音楽にもそういう風にかかってきて欲しいというか。
ありがとうございました!
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