「レコーディングお悩み一刀両断」Take.2
【Q1】Pro Toolsとはなんですか?
【Q2】エフェクターは掛け録りと後掛けどちらがいいですか?
レコーディングに関する身近な疑問をプロのエンジニアが丁寧に解説!これからレコーディングをお考えのあなたの疑問も、レコーディング経験はあるけど今まで聞くことのできなかったあなたの疑問も一気に解決です!
Pro Toolsとはなんですか?
米国Avid社が販売しているデジタル・オーディオ・ワークステーション(DAW)。平たく言うとパソコンで録音、編集する為のシステムです。
「Pro Tools」はソフトウェア自体を差すものではなく「Pro Tools」というソフトウェアと専用のハードウェアを含めたシステム全体の総称です。現行のPro Toolsは音声処理に専用のDSPを用いるHDバージョンと音声処理がパソコンの処理能力に依存するNativeバージョンが存在します。
HDバージョンとNativeバージョンの間で操作方法に大きな違いはありません。CubaseやLogicなどの他社製のDAWソフトが元々シーケンサーとして開発されたものにオーディオの録音機能が追加されたのに対しPro Toolsは始めから録音業務用として開発されたDAWです。安定した動作と充実した音声編集機能等を理由に現在の録音の現場ではほぼPro Tools HDが使用されていると言っても過言ではありません。
エフェクターは掛け録りと後掛けどちらがいいですか?
何が何でも掛け録りor後掛けという訳では無くケースバイケースでどちらかを選ぶのが良いと思います。ミックスダウンの段階でなるべく音のバランスを取る事に集中したいので基本的にはモジュレーション系のエフェクト等音作り的に決まっているエフェクトに関してはなるべく掛けて録ってしまいます。
生楽器の録音段階でも必要に応じてミキサー側で補正的な目的のイコライザーやコンプレッサーを掛けてしまいますし、ドラム等は積極的な音作り目的で掛けて録る事もあります。ですがリバーブやディレイ等の空間系のエフェクトに関してはミックス段階で吟味したいのでフレーズ的に必要なディレイ以外はたいがい後掛けにします。
掛けて録ってしまうと後から減らしたり無くしたり出来ないので保険を掛けて後掛けという判断になりがちですが、掛け録りと後掛けでは楽器によってエフェクトの掛かり具合やニュアンスが変わってしまいます。例えばギターをアンプ録りしている際に掛け録りするとなるとほぼアンプの前段にエフェクターを挟む事になると思いますが、後から掛けるとアンプを通ってマイクを通った後の音にエフェクトを掛ける事になります。
大抵のエフェクトに関しては後から掛ける事が出来るのですが、後から掛ければ良いやと後回しにすると思った効果が得られない事もあります。ですが、ミックス段階でエフェクトのアイデアが浮かぶ事もありますので、つまりは思った効果を得られる手段をその時その時選択すれば良いのでは無いでしょうか。
なるべく録音段階から完成形をイメージしながら楽曲の魅力を最大化出来る様に一つ一つの音を決めて行くのが良いと思います。その積み重ねが最終的な仕上がりに大きな差を生むのではないでしょうか。
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