スペシャルインタビュー 江添恵介さん(LIVE&SAKE陰陽)|スタジオラグ

スペシャルインタビュー
江添恵介さん

スペシャルインタビュー 江添恵介さん(LIVE&SAKE陰陽)

今年で18周年を迎える老舗ライブハウス、陰陽(ネガポジ)のブッキングマネージャーであり、居酒屋「よるぽじ」を仕切る彼は、無二のパフォーマンスで京都のサブカルチャーを盛り上げるアーティストの顔も併せ持つ。「クソみたいなモノにクソ」と言えないこの腐った音楽シーンに体当たりで挑戦し続ける彼は解放者か?それとも破壊者なのか?本音で生きるこの男の深淵に迫る。

インタビュー

PAっていうのは絶対やりたくなかった

本日はネガポジより江添恵介さんにお越しいただいています。江添さんは現在どういうポジションですか?
ブッキングマネージャです。ブッキングマネージャと主にPAという感じですね。
少し前に店長さんも変わったのですよね?
名前が「しゅう」で、「エンペラーめだか」っていう名義で活動してるやつが今店長やってますね。「生き仏」というお笑いもやっています。
ブッキングはほぼ全面江添さんですか?
僕としゅうと、山崎ゴローさんの主に3人でやっています。
お店のオープンからすると、どれくらいになりますか?
2014年の7月で18周年です。
もうそんなになるのですね!18年の歴史の中で、江添さんはいつからネガポジに?
僕は2008年だから6年になりますね。
6年前には、PAオペレータとして?
そうです、PAとして誘われました。ちょうど前のPAさんが辞める時で、人手が足りひんということで声がかかって。僕はでも、PAっていうのは絶対やりたくなかったんですけれども。
PAをやりたくなかったのはなぜですか?
やはりバンドをやってる側だったんで、裏方にまわると音楽がブレてしまう恐れがあったんですよ。それが、ゴローさんの言い方で、「やってみよう」という気になって。
もともとは、ネガポジの出演者としての関わりですか?
そうですね。

歌をダイレクトに伝えられる、というとこですかね、シンプルに

今は江添さん自身も音楽活動はされていますか?
今は、ソロとFateh*lia band、主にその2つです。
ここ1,2年ほど、各ライブハウスで「江添恵介」の名前をよく見る気がしますが。
2年くらい前からソロ活動もしれっと始めて楽しくなってきています。西院ミュージックフェスティバルとかも去年出ましたし、ちょこちょこと。そんなに多くはやってないんですけど。
ここに来て、アーティスト熱が沸々としてきた感じですか?
やっぱり30歳を超えると考え方がシンプルになると言うか。自分の向いていることと向いてへんことが分かると言うか。「自分の向いてることだけやっといたらいいわ」っていう方向でソロを始めた感じですね。
それまではソロとしては活動してなかったのですか?
やってはいましたけど、そんなに力は入れてなかったですね。バンドの方がやっぱり力を入れていました。
ソロ活動が自分に向いているというのは、どのような点が向いていますか?
歌をダイレクトに伝えられる、というとこですかね、シンプルに。自分の声で発せられるというかね。ダイレクトさは弾き語りが一番強いですね。
ネガポジでPAをすることで、表現の仕方は変わりましたか?
いや、それは変わってないですね。

誰でも出れますよという、そういうぬるま湯な感じは無しでいい

ネガポジは7月が18周年にあたるということですが、7月は周年企画ですか?
そうです。7月21日~27日までの、ちょうど1週間ですね。
やはり今ネガポジに出ている出演者でおススメのアーティストが大集合という感じですか?
はい、どれもおススメの日で平日はノーチャージ。火・水・木曜日はノーチャージにしています。だから、居酒屋感覚で見に来て欲しいですね。
それはまたライブハウスとして斬新な試みですね!噂では、平日ノーチャージは9月からシステムとして採用するとか。
基本的に、月~木までノーチャージでやろうということになっています。
かなり大胆な決断だと思いますが、そこに至る背景をお聞かせください。
まず、お客さんにとにかく気軽に来て欲しい。居酒屋感覚として、普通に遊びに来る、呑みに来る感覚で来て欲しいというのと、その分、出演者のクオリティは上げていきたいですね。ノーチャージにすることによって、誰でも出れますよという、そういうぬるま湯な感じは無しでいいですね。お客さんは誰でも、「ネガポジ行ったら何か面白いことが絶対あるよ」と。そういう感覚を持ってもらえるようになりたいと思っています。
チャージバック的なものはどうされるのですか?
その辺りはまだ明確なものは検討中です。ただ、お客さんにはそういう、ちょっとしたプレッシャーのようなものを与えたくなくて。本気で誰でも気楽に来れるようにしたいっていうのがまず第一です。
経営的な視点から考えることもあると思いますが、この方向でお店としての採算は立つと見込んでの?
それはもう、賭けですね。挑戦、勝負と言うか。居酒屋としてもグレードはもう一段階上げようと思ってるんです。もっと居酒屋としてのポテンシャルも高いような店にしていってという方向は考えています。
ライブハウスというより、ライブもやっている居酒屋という感じですか?
平日は半々くらいの感じで捉えてもらっていいですね。
京都でそういう感じで営業されているモデルのようなお店はあるのですか?
全然ないですね。ただ閃いたというか。もともと、「よるぽじ」ってやってるんですよ。「よるぽじ」っていうのはネガポジのライブのないバージョン、居酒屋営業してる日なんですけど、座敷で歌をやるっていうイベントをやってて。ノーチャージでゲストを呼んで、座敷で歌ってもらいます。で、飛び入りもOK。それが、結構盛り上がってるんですよ。この感じがすごくいいなと思って。それも、なあなあに、ただのノリで酒呑みがやってるような感じじゃなくて、いい演奏したら皆聴くんですよ。シーンとなって聴くし、あかん演奏したら喋ってるんです。それでいいかなと思って。
リアルな反応がある訳ですね。
だから、ネガポジにノーチャージで来て、面白んない思ったら帰ってもらっていいんですよ、要は。別に「面白んない、ああ、帰ろ」でいいと思います。その分ステージでは面白いことやらなあかんと思うんですよ。逆に下手なこと出来ひんと言うかね。でも帰らせない自信はあります。ネガポジに出てるヤツはスゴい奴が多いですよ。

完全にアンテナがぶっ壊れた感じ

このアイデアに対するゴローさんの反応はいかがでしたか?
案外良かったですね。「いこう!」ということになりました。
バンドマンの反応はいかがですか?
結構いい感じですね。賛否両論はあるでしょうけど。ある意味邪道な事やる訳ですからね。僕等も覚悟を決めて、せめてなあなあな感じにはとどまりたくはないです。
「なあなあな感じ」とは具体的にどういうことでしょうか?
ぬるま湯でクソみたいなモノにクソと思えない感覚ですね。完全にアンテナがぶっ壊れた感じってあるでしょ。そして残っていくべきライブハウスが残っていけばいいとは思ってて。ブレずにライブハウス側がちゃんと方向性を持っていくことが大事ですし、集客にしても出演者とハコが協力しくべきだとも思います。9月以降の話なんですけど平日はノーチャージで、金・土・日は基本的にはワンマンやツーマンでもっていきたいと思ってるんですよ。ちゃんとガチでチャージをとってやる週末と、平日はノーチャージで誰でも来れる。にぎわった環境で、表現をそこでしてもらう。それを、金・土・日に繋げていきたい。平日にやっている人も、いずれはワンマン・ツーマンとかも考えて欲しいし。
なるほど、その2ラインでやっていくということですね。他のライブハウスのブッキングマネージャさんとも、そういう話はしていますか?
nanoのモグラさんとか、Silverwingsの登山君とかに話したぐらいですね。
業界関係者は興味津々で見てるでしょうね。
興味津々かは分かりませんけど(笑)。核兵器を撃つみたいな感覚でやりたいですね。
京都音楽シーンの何かが変わる、潮目になるかも知れないですね。
そうですね。変わって欲しいですね。
京都音楽シーンというところで言うと、江添さんはいつ頃から音楽活動をされていますか?
2000年くらいからやってるでしょうね。もう14年くらい?
2000年頃と比べて、今のシーンはどのように感じていますか?
全て変わったなとは思いますね。まず、お酒呑む人が減ったなと思います。お酒呑んでアホになることを、あんまりせんようになったなという感じはありますね。
昔はその辺りが、全部セットだったような気はしますね。
呑んで、ああだこうだとぐちゃぐちゃになって、終わるみたいな。今の子らは、もうちょっとクールですね。音楽に対してもクールなんじゃないかなと思います、どこか。
「音楽に対してクール」というのは、どういう状況でしょう?
熱くない。熱くなってない。
学生時代にはそこそこ音楽して、就職できっぱりやめる、というような感じですか?
それも多いと思いますけど、多分僕らが同じような年齢だった時より、音楽に対する夢がないんですね。CDも売れないとか、それは皆も分かってるでしょうし。でも、だからこそやればいいのに、逆にチャンスなんちゃうかと思いますね。

ブレてないハコが残ってくれたらいい

今、江添さんイチオシのネガポジ出演者はいますか?
いますよ。まず、京大のバンドで「本日休演」というバンド。男5人組のバンドなんですけど、かなりヤバいですね。サイケロックという感じなんですけど、5人とも全員が超個性的で、1回見たら忘れないようなライブしますね。ド肝抜かれます。
かなり興味惹かれますね。
それとか、尾島隆英。僕ともすごく仲良くて、僕もレコーディング担当してたりするんですけど。こいつはホンマに人生が過酷でいつも僕に心配かけよるんですが、歌を聴くと大丈夫だなと思える。全てを歌に変換できるやつなんですね。見る度に進化していってます。風の叉サニーとか、他にも挙げていったらキリがないですけど。
18周年を迎えてからの、大胆なシステム変更、そして2年後には20周年ですね。
20周年に向けて、もっと面白くしていきたいですね。どんどん新しい面白いアーティストにも出て欲しいですし、ブッキングマネージャとしてじゃなく、音楽をやってる人間として、それを見てみたいと、僕はいつも思っていますね。
15年くらい前と比べると、京都のライブハウスは倍くらいに増えていますよね?
倍くらい増えているし、アーティスト自体は半分くらいに減ってるんじゃないですか(笑)。
やっぱり減っていますか?
減ってると思いますよ。減ってるし、同じ人が色んなバンドやってるパターンも多いですね。掛け持ちするっていうのが結構当たり前の感じになってきてるのはありますね。昔は一つのバンド、「このバンドしかやらへん」っていう感じやったけど。
ということは、やはりバンド人口は減ってるんでしょうかね?
やと思いますよ。
ライブハウスの人間として、ライブハウスが倍くらいに増えた今の状況はどのように感じていますか?
本当に残るとこだけ残ったらいいと思うんですよ。最終的には、本当にいいハコだけが残ると思いますし、ブレてないハコが残ってくれたら僕は一番いいと思ってますね。
今後は逆に淘汰が進んでいくと、江添恵介は見る?
見る、かな?分からへんけども(笑)。そうなってくれたら嬉しいですね。
そしてネガポジは残るべく確固たる勝負を。
そうですね、勝負をかけようと決意しましたんで。
音楽人口自体は減っていると感じることはありますか?
音楽の数が減ってる訳ではないと思うんで、別のシーン、クラブやったりとかは盛り上がってると思いますよ。ロックバンドは減ってるし、ライブハウスは難しいんじゃないですかね。
盛り上がっているところで言うと、アニソンやヴォーカロイドに対してはどのように思っていますか?
何とも思ってないですね(笑)。見る機会もないですし、見たら見たで面白いと思うかも知れませんけどね。やっぱりオリジナリティを持ったバンドやアーティストに出演してもらいたいですね。自分の表現が出来てる人にステージに立って欲しいし、ステージを重ねてどんどん進化していって欲しい。

時代を逆再生する

数多あるライブハウスの中で、江添さんにとってネガポジはどういうライブハウスだと思いますか?
ネガポジは、アーティストの知名度とか関係なくいいもんはいいし良くないもんは良くないとハッキリ言える所です。そして発展途上のアマチュアバンドがどんどん進化していく所です。
発展途上のネガポジが今後さらに発展すると、どんな未来が待っていますか?
やっぱり音楽の文化と、あと酒の文化も僕大事やと思ってて。一緒に酒を呑んで、音楽を聴いたり騒いだりする、そういう文化をもっともっと広げていきたいですね。ネガポジという場所とともに。
ある種、時代に逆行しているかも知れませんが。
ゴローさんも「時代を逆再生する」ってよく名言のように言ってはるんですけど、まさにその通りかも知れませんね。
歴史は繰り返すとも言いますね。
でも古い時代を望んでる訳では全然なくて。常に新しいものを見たいですし。酒文化というのは、古いとか新しいとかではないような世界やと思うんですよ。もっと楽しみ方が色々あるよってことを、もっと知って欲しいんです。
「ネガポジに出演したい!」という人は、まず何をしたらいいですか?
CDとか音源持って来てもらって、あるいはメールとかでもいいですし。必ず音源を添えて。
最近ではメールやネットからの出演希望者は多いですか?
案外、持ってくる人が多いですね。そっちの方が僕らも信用できますね、顔を見る訳やから。ちゃんと会って喋った方が。普通に呑みに来てた人が「出たい」というのも多いですよ。
出演希望者もかつてより減っているという話も聞きます。
それで、ライブハウス側が誰でもいいし「出てや出てや」みたいになってるでしょう?今って。その悪循環やと思うんですよね。そんなして呼ばれたら、アーティストも「まぁ、やってもいいけど、そんなに力入れんとやるし」みたいな、そんな悪循環があんまりよくないなと思ってます。もっとブレずにぴしっといった方がいい。
最後に、ネガポジから、そして江添さんから言っておきたいことがありましたら、お願いします。
9月から本当に楽しい場にするので、誰でも呑みにきてください。絶対面白いことをやってる自信がありますので!
ありがとうございました!
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