スペシャルインタビュー ワゴンズ 4/5|スタジオラグ

ワゴンズ | スタジオラグ

スペシャルインタビュー ワゴンズ

なるほど。それでは5曲目「Colors」です。
梶本:これは、人生の縮図と先ほど言いましたけども、これは俺が見た京都の縮図ですね。
「この街」というのは京都のこと?
梶本:京都のことですね。なんなら左京区に限定してもいいかもな。左京区って学生街じゃないですか。だから人の入れ替わりがすごい激しくてね。そこでの出会いとか別れというのは、出会い別れそれ自体に麻痺してしまうほどのすごい入れ替わりの激しくて、どんどんどんどん景色が変わっていく。その度に違う色が見えてくるんですよね。だから「Colors」というタイトルにしたんですけど。思い出している色と今見てる色と、本当に違うし、景色のこととか、関わる人のこととかを全て色に喩えてて、それが何色とは全然書かれてないけど、何色かは分からないけど全部違って見えるなって。一時期俺東京行ってたんすけど、東京から帰って来てくらいの喪失感みたいな、何か全部なくしてしもうたな、みたいな喪失感の中でギターつま弾いてたら最初のコード進行が、フレーズが出てきて、これ形にしてみたいなって思って。6年前くらいになるのかな?
斎藤:作られてから、めちゃくちゃ長い曲なんですよ。今だにやってるという意味で長い曲なんですけど。4人の時からやってる曲で今回入っている曲ってそれだけじゃないかな?
梶本:シングルは出したことあるんですけど、アルバムには入らないのか、というのもよく言われたし、3人になってからもずっとやってたしね。いつやっても古くささが何故だかないんですよ、この曲。
斎藤:その時旬の曲ってあるじゃないですか、バンドって。うちら4人から3人になって、アレンジ的に難しくなった曲もいっぱいあるし、今この曲俺らがやっても今のワゴンズの音じゃないよな、みたいなというのもいっぱいあるんですけど、バンドの編成とかメンバーが変わっていく中で、「Colors」はずっといるんですよ。3人になってやっても「Colors」だし。多分だから名曲ですよ、これ。
北村:アレンジ的にも、全然難しいことしてないんで、すごいシンプルなんですけど、でも変わらない良さがずっとある、みたいな感じがありますね。
梶本:3人になってからコーラスを頑張るようになりましたな。
斎藤:前のギターがコーラス上手かったというか、メインでコーラスしてた感じなんですけど、いなくなって2人ともしなかったらコーラスゼロじゃないですか。しかもギターの音減ってるじゃないですか。「、、、やらなきゃ!」という感じで始まったんですけど、ちゃんとやると、あるのとないのとでは全然ちゃうなというのがやってても思うので、頑張ってやるようになりました(笑)
梶本:3人になってからも「Colors」は変わらない良さがあるって北村が言いましたけど、今ある感情とかやりたいことみたいなのを、この曲は拾ってくれる器の大きさがあるんですよね。色んなアレンジにも多分対応すると思いますよ。だからずっと廃れずに居残り続け、これからも多分居残り続ける、俺の傍らにいる、聴いてくれる皆さんの傍らにいるだろう曲だろうな。地味にね、一番好きかな、俺。
ようやく収録されたマスターピースという感じですね。では最後の曲「くるまるリズム」です。
梶本:シーツにくるまるとか、毛布にくるまるとか、「包む」って書くんですけどね、くるまるって。音楽やってる発想ですよね、リズムにくるまる、というのは。リズムに乗っかるとかはダンサブルなイメージじゃないですか。そんな表現だけじゃなくて、ふんわりとか、ゆらりとした、みたいな感じでもあるけど、そういうぼんやりした感じじゃなくてリズムに包まれているという気持になりたいなっていう。気持のいい、心地いいリズムを聴いてるときって、自分がそのリズムにくるまれているような安心感があって。言葉遊び的につけたタイトルなんですけども。あと女の子に対して、好きな子に対してとか、完全に「俺対その子」みたいな目線で作ったんですけど、だからその好きな子と過ごす時間、空気感というのは、それこそ世界を止めて、このままでいいと。この時間、空気感の中にくるまっていたいと思わすような、すごい平和なシーンがいっぱいあると思うんですよね、この歌の中には。
斎藤:うちのバンドは梶本が弾き語りの状態で曲を持ってきて、それをうちら全員で聴いて、どういうアレンジにしよう?っていう感じで進めるんですけど、この曲を最初聴いた時に泣いてしまって。それは初めてなんですよ。自分らで作ったアルバムを後で聴いて涙することはあるんですけど、裸の段階で持ってきた曲を初めて聴いて、メロディもまだ分からない状態で聴いて涙が出てきたのが初めてで。すごく平和な感じというのが、歌詞の中の二人の空気感でもあるし、音楽ってものの中にあるテンポ感、リズム感のゆったりした雰囲気であるとか、そういうのにくるまれて気持いい感覚と、好きな女の子と一緒にいて時間がゆったり流れている気持いい感覚っていうのとかがすごく相俟って、しかも別に好きだどうこうという話じゃないじゃないですか。その時間をすごく大事にお互いが思ってる、すごく弱音を吐いてもいいし、結果でもその子は笑っていて、みたいな画が素晴らしかったんですよ、僕にとって。理想の図なんですね。多分すごい正直な、これは本当の梶本のラブソングだなと思ったんですよ。強く好きだと言う訳でもなく、押し付ける訳でもなく、待つ訳でもなく、そういう時間をゆったり見てる感じがじんわりくるラブソングだなっていう感じがあって。
梶本:すごいいい話をしてくれたよ、彼は。そういう風に受け取ってくれたのは、作った本人としても最高に幸せなんですよね。ただ、実際の俺はそれを持って来た時、38度超えの高熱で、歌っている内容とかなり真逆の状態やったんですよ(笑)
斎藤:アレンジの話をすると、この曲だけアコースティックでやってるんですね。ウッドベースとカホーン、アコギでやってるんですけど、最初は普通のバンドアレンジでやろうとしてたんですけど、すごい苦労したんですよ。初めて聴いて泣いたくらいの曲やったんで、中途半端なアレンジでやりたくなかったんですよ。別にちゃんとしたメロディと歌詞があるから適当につけてやろうと思えば出来るんですけど、そうじゃねえな、と思って。今しゃべってて余計に思ったんですけど、この空気感出すのはやっぱアコースティックなんだなって思いますね。今だにアコースティックでしかやってないんですよ、この曲ライブでも。アコースティックが出す優しい感じの音と、楽曲が持つ優しい感じが合うんだと思うんですよ。この曲はアコースティックで入れて良かったと思います。
北村:空気感含めて曲、みたいな感じかありますね。エレキでは出せへんかなって思います。
梶本:最初ね、奥田民生&Dr.ストレンジラブ的な発想もあったんすけどね、合わないんですよね。普通の8ビートでやると。その時新風館で毎月レギュラーで出てたんで、新風館ドラム禁止だし、アコースティックで、カホーン、ウッベ、アコギっていう編成でやってたんで、その経験があったおかげで、アルバムもアコースティックでっていう新たな可能性を見つけられたから、良かったなって思いますね。
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