スペシャルインタビュー ばんばひろふみ 3/5|スタジオラグ

スペシャルインタビュー
ばんばひろふみ | スタジオラグ
雰囲気は大きく変わり「霧雨の朝突然に」です。本作に収録されるにあたり初めて私も知った曲で、歌詞の内容はシリアスですが、すごくいい曲ですね。
この曲はユーミンの曲で。「いちご白書をもう一度」に次ぐユーミンとのコラボの曲の第二弾だよ。歌詞が子供をおろしたうんぬんかんぬんという歌やけど、最初はもっとすごかってん 。でも、俺は「やろうや、このまま行こうやって。」でもそれは当時の社会状況とかレコード会社が発売禁止になるっていうことでそれを許さなかった。そういうことで、あそこまで緩やかな表現になったんやね。今聴いてもそんなに違和感はないのかもしれんけど、当時すごい衝撃的やったわけ。だから、思っている以上に売れなかった。だから、あんないい歌をもったいないなぁって。今まで、「いちご白書~」とかはリメイクをやってきたけど、あれはリメイクをしなかった。あまりにも重いから。だから、今回は「よっしゃもう一回やったろう」という、ある意味決意だね。というのは、あの曲は歌い手として表現の仕方が難しいからね。ポッと歌って歌える歌じゃないから。どう表現しようかというのは今回一つの大きなテーマだったね。でもあれをやりきれてすごい良かったと思う。それで、岡本君がまたいいアレンジをしてるんだ。ああいうアレンジやからこそあの曲が蘇ったなという気がするね。
続いてはタイトル通り優しい曲「Tenderness」です。J&Kによるアコースティックギターが本当に優しく響く仕上がりですね。
この曲はロスでレコーディングをしたときに収録した曲で、すごい好きな曲やった。カリフォルニアに行って、アメリカのロッカバラードってゆうか、ハチロク(8/6拍子)のこういう曲を作りたかったわけ。それで、むこうで書いた曲。参加したミュージシャンがリトルフィートとかそういう自分の好きなミュージシャンを集めてやった思い出の歌なんやけど。だから印象はロスでのレコードの印象が強い。もともとはキーボードのアレンジの歌なんやけど、今回は梶原くんがすごくアコースティックにしてくれたわけ。それがまたすごい良かった。全然違う曲になって。最初はアメリカのウエストコーストサウンドで作ったんやけど、今回はものすごくブリティッシュを感じたわけよ。 60年代から70年代のピーター&ゴードンとか、そういうアコースティックの使い方を感じたわけ。だから、最初はアメリカのロッカバラードを作ったんやけどイギリスに行ったらこういう風になるんやと思ったね。
「できるだけ遠廻り」は、若手陣がバックを務めていますが。
これは一番最初に小倉くんとかと一緒にやろうと思った時に、この曲をやろうと思ったわけ。実際にやってみたら、思う通りに音が出来てきたなと。子供も使って、歌ったりして、思い描いている通りの楽曲になったなぁと。
若手の演奏はいかがでしたか?
良いよ!みんな大変やったみたい。すごく遅くまでやってたみたいで。俺は、体力的に限界やったから途中で去ったけど、最後の最後まで頑張ってくれてて。いいもんできたね。松井里衣ちゃんもいいベースを弾いてるね。偉そうな言い方するわけやないけど、日頃から彼女が一生懸命自己鍛錬している一つの結果だと思うよ。ご両親に対しての証にもなるだろうしね。そういうことも含めて「メイド・イン京都」なんだよね。
「Tenderness」のシンプルさとは対照的に、弦楽や合唱団も入りもっとも音数の多い曲ではないかと思いますが、ごちゃごちゃはせず爽やかに聴こえます。
そうだね、あれも一つの人生だね。あんまり生き急がないでおこうっていう。あれは俺が30代で書いたんだけど、今でもまだ思うわけさ。俺なんか、もう残り少ないかも知らんけど、それでもやっぱり生き急ぐのは嫌なわけさ。マイペースで生きていくのがいいんちゃうかなっていう思いがあの歌にあるよね。そういう思いで今回入れたんだけどね。
「それも人生」は、茶木みやこさんの曲で割と最近の楽曲だと思いますが。
そうだね。茶木が「都雅都雅(京都のライブハウス)」でライブをやった時に見に行ったんよ。で、この歌を歌った時にええ歌やなって思ってて、で、今回これを入れようって。そうしたら、ものすごく茶木も喜んでくれて。京都からの発信ていう部分においては、僕は彼女と同い年で、ほとんどデビューも一緒で、彼女はピンク・ピクルスというグループですごくメガヒットを出して、一旦普通の生活にリタイアをして、それからまた戻ってきて。京都を本拠地にギター1本でいろんなライブハウスを回っていて、絵に描いたようなフォークシンガーだよね。そういう人が京都でやっているということをやっぱり知って欲しいから、彼女の作品を取り上げたし、彼女自身にもコーラスで参加してもらった。こんなにいいシンガーがいて、京都ってのはやっぱりフォークのメッカなんやぞっていうアピールもあんのよ。だからこの曲を選んだわけよ。
次は「胸が痛い」についてお聞きしたいのですが。
この曲は、憂歌団の曲だね。この曲はラジオか何かで聞いたときにいい歌だなぁと思ってコピーをしてステージで歌ってたわけ。それで、あの曲はどのアルバムに入ってるのとかよく聞かれたんだけどアルバムには入ってなくて、コピーなんですっていう話をしてて。だから、絶対今回はこれを入れようと思ってたわけ。自分のアルバムに入れるとなると、やっぱり、自分のオリジナルにしないといけないから。そこで、西野君が出てきて。あの人は大工の棟梁みたいなブルースマンだよね(笑)素晴らしいアレンジをしてくれて。ブルースが好きなんやなというのがものすごくよくわかるいいギターを弾いてくれて。京都っていうのは、昔からウエスト・ロード・ブルース・バンドだったりブルースが盛んだった街で、今もブルースをやっている人がすごく多いんだよね。それ一つ取っても「メイド イン 京都」っていう発信の中で、ブルースやろうって。それで、彼がものすごくいい仕事してるね。いいギター弾いてるよ。
ばんばさんがブルースを歌われる、ということがすごく意外でした。
俺も京都の人間だからね。昔は西部講堂とか行って友達とブルース歌ったりしてたよ。ブルース好きだよ。憂歌団とも一緒にステージやったりね。